弾き詠み草 | Electronic Dolphin Eats Noise

Electronic Dolphin Eats Noise

空論上の九龍城

プロデュースは中村とうよう氏であったか・・・


弾き詠み草/桃山晴衣




邦楽(ポピュラー・ミュージックではなく古典の方ね)の世界で家元にまでなっていた実力を持ち合わせながら、その旧態依然な窮屈さから飛び出た才女の1979年リリースの伝説的な名盤。




三味線と唄のみの非常にシンプルな編成ながら、時間と空間がミニマムに迫ったりマキシマムに広がったりする異次元の音場。


そんな空間で詠まれるのは、日本語の美しい響きを吟味し尽くした言葉で綴られた人間の根源的で普遍的な愛。


邦楽が本来持っていたであろう濃厚な色香と挑発的なまでの実験精神。


カテゴライズされる事によってどれだけ“聴かれるべき音”がその存在をスルーされてしまってるのか?そんな事を痛感してしまう作品です。




「泥洹(ないおん)」でのシーク(南米の管楽器)との絡みとかユラユラとした幽玄音で心地酔いのですが、やはりラスト10分強で展開する「虚空の舟唄」での(既にYMOで人気を博していた)坂本龍一氏の(チベットのラマ教の音をモティーフにした)シンセとの共演が凄い!30億光年の愛の唄を切々と詠むバックに広がる電子の音宇宙。トベます!




この後彼女は1981年の横溝正史原作の角川映画『蔵の中』の音楽を手掛けた他、様々な古典を現代にリアルに蘇らせるアルバム制作やライヴ活動を展開しておりましたが、2008年永眠。