前回の「①レジ袋の有料化」の中でも、少し取り上げた「CO2ポイントカード」についてお話します。
たいていのお店では、お買い上げの方に「ポイント」を発行し、「ポイントカード」に貯まるしくみにしています。
「ポイントカード」は、
・紙にスタンプを押す「アナログ」なもの
・リライトカード(繰り返し印字できるコンピューター管理のもの)
・ICカード
などがあります。
実は、e-cycle の現在使用している「CO2ポイントカード」までに2回の試作がありました。
まずは、e-cycle を運営している「衣サイクル研究会」の前身である「新居浜衣料リサイクル研究会」のものです。
ここでは、平成20年の11月29日(ふくの日)~平成21年3月まで、新居浜市内で月1回ペースの「イベント回収」を行いました。
そこでは、紙媒体(二つ折り名刺サイズ)に、市民の方の「家庭に眠る衣類(古着)」の持ち込み1kgにつき2ポイントを押し、1ポイントにつき1円を、「市民活動支援基金」として、資源化工場が、中間支援組織に寄附する形を取っていました。
これは、今の店舗の考え方の基礎となっています。
次に試験的に使用したのは、平成21年4月に発足した「衣サイクル研究会」でのイベント回収での「エニカカード」です。
「エニカカード」は、経産省の助成事業として、商店街の飲食店を中心に、共通のポイントを発行するもので、その「社会貢献事業」の分野で、「衣類の持ちこみ」1kgにつき1ポイントとしました。
新居浜とポイントの割合が変わったのは、1ポイントにつき1円の運営費がかかるため、その分を調整したためです。
中に「ICチップ」か埋め込まれたもので、パソコンで自分のカードの情報を見ることができます。
しかし、発行に特別な機械が必要な上、カード自体が高価な物のため、使用されないと無駄になってしまいます。
そこで、e-cycle は、3か月の期間限定での実験のため、あえて「紙媒体にスタンプ」としています。
さて「しくみ」ですが、通常の店舗では、例えば、100円で1ポイントというように、「お買い上げ金額」でポイントを発行するのが普通だと思います。
しかし、e-cycle では、「重さ」にポイントがつきます。
レジの横には、デジタル秤が設置されており、その上に「レジかご」を置いてあり、お買い上げいただいた衣類(古着)をその中に入れていき、重さをはかります。
重さ500gごとに1ポイントとして、「Tシャツ」の形をしたスタンプを押していきます。
なぜ? 「重さ」なのかについては、500gの化繊を燃やすと、倍の重さ(1kg)のCO2が発生し、その量は、風船64個分となります。
このことについては、これまでの「回収イベント」でも散々啓発してきたことですが、口で言うだけでは実感がわきません。
生活に身近な「買い物」の現場で、「自分が今購入したもの」を燃やしたとしたら、どれだけのCO2が出るのかを意識していただき、「燃やさないことでの地球温暖化防止」に貢献しているということを実感していただくためです。
そのために、実際に500gの化繊を燃やすと発生するCO2量を、風船64個を展示して見ていただくようにしています。
風船が目を引き、子どもたちも寄ってきますので、その時には、子どもや保護者の方にも「64個の風船の意味」を啓発しています。
そして、「衣類(古着)の持ち込み」でも同様にポイントを加算しています。
(ちなみに、50ポイント貯まると、店の「100円商品券」をお渡ししています。)
この「重さ(目方)で貯まる」というのは、普通にお買い物に来た方には「衝撃」のようで、一様に「えっ」と言われます。
ですから、印象に残るようで、数々の「ポイントカード」で普通にお財布があふれる中、ちゃんと携帯していただいていることが多いようです。
これもひとつの「CO2の見える化」だと思います。
売るだけ、回収するだけでは、その場限りでなかなか継続した啓発にはなりません。
「CO2ポイントカード」という媒体があるからこそ、継続した啓発ができると感じています。
ただ、本当は、一律に倍の重さと言うのは間違いです。
衣類の素材は、化繊だけではなく、「綿や麻などの自然素材」があります。
主に綿は、その成長段階で大気中のCO2を吸収しているとして、たとえ燃やしてもCO2は発生しない、という「カーボンニュートラル」という考え方が主流です。(目の前でCO2が出ていても、です。)
ですから、本来は、衣類の中での、素材別割合をだし、その平均的な割合から「係数」を決定して、その係数をかけないといけないわけですが、「古着」に関してのそのデータはどこにも存在しません。
現在、衣サイクル研究会が、今回の事業の一環として、愛媛大学の先生と生徒有志の方々と、サンプリング調査を行い、「素材別データ」を出そうとしています。
(今後にご期待ください)
それまでは、化繊のデータを元に、皆さまに「衣類を燃やさないことでの地球温暖化防止」について考えていただければと思っています。