当ブログでは、「たくさん歩いた子」という検索ワードでサーチエンジンから来る読者がとても多いのです。
そこで、学術論文などから、歩くことと脳の発達についての補強材料をご紹介します。
『子どものこころとからだを強くする著者: 山地啓司』によると、次のことがわかりました。
運動しなくなると脳にも大きな影響を及ぼすことが動物実験によって報告されている。同じ実験装置に入れて、一匹の猫を自由な移動を制限するが歩けるようにし、もう一匹の猫は同じ方向を向くが歩けないように固定しておく。装置をゆっくりと回転させると、前者は歩けるが後者は風景を眺めるだけとなる。その結果歩けなかった猫は、大脳皮質連合野に関する視覚行動がひどく悪いことが判明し、能動的運動が大脳発達に大きく影響することが示された。(Heinの論文による。表現をわかり易く変えてあります。)
このことから、怪我をして腕や足を治療のためにギプスで固定していると、筋肉が痩せて細くなるように、対応する脳の部位も衰えることが予想されると言っています。
使わないと退化するのが生物の常ということです。
実際、日常的にペンで字を書くことが極端に減った現代、たまに手書き書類を書こうとすると、とても字が下手になっているのに気づきます。
これも、字を書く脳の回路の衰えではないかと思います。
子どもの頃にできていた運動、例えば逆上がりとかが、大人になってできないのは、単なる筋力の衰えや体重増加だけによるものではないのかもしれません。
幼児期に歩くことを推奨する『歩育』という言葉があるようです。
名古屋学院大学の中野貴博氏の研究グループが行った調査では、よく歩く子とそうでない子とで運動能力には差が出るとのこと。
平日1万3千歩以上歩く幼児の体力偏差値は51.6で、それ未満の幼児は49.2と、よく歩く子どもの方が運動能力は高いという結果が得られています。