芸術と、自然と、現世と。 | ERI`sLeaf

ERI`sLeaf

ピアニスト・黒田映李のBlogです。


昨夜は、ルプーのコンサートへ行ってきました。


シューベルトの二つ目のアンプロンプチュ、フランクのコラールとフーガ。
そして後半はシューベルトのソナタ。

アンプロンプチュではルプーの考える構造美を堪能させて頂きました。


岩影から聖水がわきてでてくるような瞬間がたくさんあって。

フランクでは、天上界ではきっと、こういう音楽がずっと鳴ってるんじゃないかと思わせるような、懐かしいような悲しいようなまっさらなような旋律が聴こえてきて、うるうるさせられた瞬間もありました。

この人は一体、どこからこんな音楽を感じているんだろうと、もはやルプーが聖人に見えてきました。



久しぶりのリンツ日の今日はなぜだか、シューベルトの一つ目のアンプロンプチュの一曲目がエンドレスに頭で鳴っていて、Durになる瞬間が心地よくて、でも簡単にそれを求めたくなくて、帰ってから大切に読みました。





数カ月前までの自分だったら、ここはえいっ!っと押し切り表現したところだろうな…と、
一つの見解を過去のものとして捉えている瞬間が、多々ある最近です。


歳を重ねるということは、ひとつひとつあきらめることかもしれない。
でも、ひとつひとつ、平穏を知っていくことかもしれない。

車窓を移りゆく景色とシューベルトに、感化されっぱなしの土曜日でした。




めまぐるしく変る初夏のお天気からも、
ベートーヴェンのインスピレーションを得ています。



大切に、弾いていこう。