ブルノフィル ブルノ公演 | ERI`sLeaf

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ピアニスト・黒田映李のBlogです。

シューマンのシンフォニー2番
スクリャービンのシンフォニー2番。


先々月に共演させていただいたチェコブルノフィルハーモニー、
アレクサンダーマルコヴィッチ氏の指揮による公演にご招待頂き、行ってきました。

ウィーンからは電車で一時間半ちょっと。リンツへの旅とそんなに変わりません。それでチェコについてしまうって、陸続きってすばらしい。



珍しいプログラムですが、シューマンもスクリャービンも、緩急緩急(スクリャービン:+急)の流れが同じ。マルコヴィッチ氏によると、暗闇をさまよっているところから光をみつけてそこに辿りつく、両曲共にそれが感じられる、だから組み合わせたんだとのことでした。



会場であったヤナーチェク劇場の音響は吸音がすごく乾いていて、オケが一生けんめい弾いている音がそのままのびてこない印象。それでもどんどんどんどん、マルコヴィッチ氏の世界観にブルノフィルが反応して、特にシューマンの4楽章は細かな部分まで変化に富んでいて、オケと指揮との一体感が感じられました。


休憩後のスクリャービンも、50分の大曲ですがあっという間。

全5楽章を通じて何度もでてくるモチーフのキャラクター分け、場面場面での浮立たせ効果がしっかり伝わって来つつ、それでいて終始一つの流れがしっかとあって、シューマンとの類似性がはっきり聴けた気がします。終わりに近づいたところで、モチーフの宗教的な?連続した扱い方のせいか、リストのピアノソナタが浮かんできました。雰囲気的にはスクリャービンのピアノソナタ、2番も似てるかな。
前後しますが、3楽章ではソロパートがでてくるコンサートマスターの方のバイオリンの音、やっぱりやさしくて自然で、癒されました。
スクリャービン自身は5楽章のキャッチャーなメロディーが露骨すぎると思っていた部分があった様ですが、やりきった感が私は大好き。いいぞスクリャービン。w




日本公演の時と合わせての分析結果。

マルコヴィッチ氏の指揮は高い身長を生かした全身型。

楽譜と彼のやりたい音楽とが同時に的確に見えてくるので、自分がオケの団員として中にいたらこう弾くだろうなということが、客席にいてもしっかりイメージできて、聴いている音楽に調和します。

ブルノフィルも信頼を置いているし、マルコヴィッチ氏もブルノフィルに信頼を置いている。
相互の相乗効果が演奏に更なる躍動感をプラスして、聴いていてのうきうき感がたまらない。

音楽っていいなって、自分たち自身が楽しみながら変なストレスなく聴かせられる音楽、素敵だなと思いました。




そんなこんなでコンサート後、日本食レストランにご招待いただき、マルコヴィッチ氏とそのご友人達と会食。ブルノに日本食レストランがあったのにビックリですが(その後更に2件発見)、おいしくてまたびっくり。

コンサート後に、まさに選曲、演奏された指揮者と直接お話できる機会なんて滅多となく、プログラムについて、指揮法について、スコアの読み方について、自身の解釈について、いろんなお話聞けてとてもお勉強になりました。



ピアニストはオケの全声部を何時も一人で弾いてしまえるわけで、それ故、どんなにたくさんの音を押さえてそれぞれに意味があっても、平面的に弾く、聴くことに慣れてきてしまう。そんな問題を抱えがちです。


マンツ先生の講習会に初めて参加した時、
「ベートーヴェンのソナタを弾く時は、ベートーヴェンのシンフォニーを聴かなくちゃ!」
食事の席でさらっとおっしゃっていたこと、今でもとても大切な教えだと、いつも心にあります。



指揮とオケの面白みにはまってきた最近。
スコア読みつつの自己流お勉強も続けてみよう。


ありがとうブルノフィル!ありがとうマルコヴィッチ氏!


早速モーツァルト作品、頂いたヒントを元に向かってみます。