HMC連続ウェブ小説第5話「同音異フレット」 | HMC

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まずギターの構造を疑った方がいい。

え?

ピアノは88本の弦があって、それぞれの弦に対して88個の鍵盤がある。贅沢な楽器なんだよね。それに対してギターの弦は6本で、弦を直接指で押さえて音程を変える。

ベースやバイオリンもそんな感じですね。

そう、何が言いたいかと言うと、ギター自体がマニアックな楽器だということだ。弾く人に、絶対に、創意工夫を強いられる。C4というNoteを出そうと思ったら、3弦5フレット、4弦10フレット、5弦15フレットで同じNoteが出せる。どう選択するか?先生は教えちゃくれない。自分で考えるしかないんだよ。考え尽くして熟成させて、今度はリズムだ。アンサンブルだ。全部自分で考えるしかない。ピアノみたいに「指は卵を持つように緩く曲げましょう」とか、そんなものはない。全ては状況次第で変化させなければいけないし、修行によって無意識下に叩き込まなければならない。

そんなに大変ならギターやめたらいいのでは、、、

でも、逆に言えば、そこが面白い所なんだよね。ピアノなら簡単に弾けるコードをどうやってギターで弾くか?ポジションによっての音色の違いや、どのNoteなら省略できるのか?どのNoteを強調したいのか?そんなの考えたってアンサンブルの中ではほとんど意味がないものかもしれない。一番大切なのは「グルーブ」だ。そんな葛藤を楽しめるのはギターならではだよ。

なるほど。マニアックな楽器なんですね。

機材が安いのもいい。1弦なんて160円だからね。ベース弦なんてセットで買ったら数万円から数十万円するだろ?

では、そろそろ立ち位置のお話に、、、

ジャズの中でギターの立ち位置としては「弾かない」のが一番じゃないかな。