共有から共感へ -117ページ目

ゼロ

タイトル“「残業ゼロ」の仕事力“を一見すると、

残業しない方法論がロジック立てて説明されていると思うかもしれない。

けれども、そんな優しい記述は一切ない・・・。


さて、著者は、「面白い制度を世に輩出している社長」

として知られている吉越浩一郎氏。ご存知、元トリンプ代表取締役社長。

「早朝会議」、「ノー残業デー」、「がんばるタイム」などの制度は、

実はパクリものだったのである。


そんな吉越氏は、残業ゼロとする方法を、優しく説明はしてないが、

とてもシンプルに回答している。それは、


 ① 仕事のデッドライン(期日)を決める 

  仕事の中の問題点を顕在化(洗い出し)し、細かく分類する

  とにかく“スピード”で片付ける



の3つ。


①はどこの企業でも行っていることである。ましてや、小学生でさえもこのデッドラインはある。それくらい世間に浸透していることだ。けれども、それはなかなか実現化されてない。吉越氏はこの疑問に、日本企業は仕事の範囲を明確化していないからだと、答えている(p.149)。これをきっちり管理することで、会社全体の効率がよくなると説いている。




また、②は担当者別に切り分けられるところまで切り分けろと言っている。評者が思うに、この本の中で一番重要だと感じた。問題が見えれば問題そのものは半分解決しており、解決策も見えているからだ。あとは、どのような経路を辿って解決するのか考えるのみ。評者が高校生のころ、数学の教師に「困難は分類せよ!」と強く訴えかけられた記憶がある。数学の問題は難しいようにみえるが、紐解いていけば、知っている事象の塊だということである。知らない=見えていないのであって、見えるようにすることに一番時間を要する。つまり、この②こそが仕事で時間を掛けるべきものの一つだと考えている。もちろん、「止まったまま」考えるのではなく、「走りながら考える」ことが前提である。




③は、火事場のクソ力、と捉えるとわかりやすいだろう。人間、追い込まれると普段の倍以上の力が働く。このありえない状態を続けることがもっとも効率的なんだ!と吉越氏は経験上、結論付けたのだろう。あくまで、スピードを出すのではなく、スピードを出さなきゃいけない環境を与えるという認識をしてもらえるとよい。従って、人によってはストレスが溜まり、プレッシャーを感じてしまうに違いない。なので、規則を作った後は、それを守るための工夫を凝らし、何か“ご褒美”を与える制度があるとよい。




本には、この3つを成り立たせるための補足が随所に散りばめられているが、著者が日本人に(企業戦士に)一番訴えかけたかったのは、私生活をもっとたのしもう!なのだと感じた。ベンチャーで働くものにとって耳の痛い書籍ではあったが、楽しく生きている?の問に、強く答えられない自分がいることに気づく一冊でもあった。





≪以下、心に響いた文≫

・リーダーになる資格とは、ものごとをほぼ100%の確率で成功させることができる、ということです。

・君子豹変す

・規則を決めたら、それを守らせるための工夫も合わせて考える必要がある

・大切なことは毎日仕事を終えたあとの3時間あまりを、「自分の人生のために投資する」と考えることです。

・私の妻の母国であるフランスには、バカロレアという大学入試資格を得るための試験がある。

・「完璧なたたき台」とは、現状どうなっているのか、何が問題なのか、どう対処するべきか、それにはどれくらいの時間や費用がかかるべのか、そういうことを担当者が会議に先立ち 整理して解決策をまとめてくる、ということです。

・目的地までいちばん速くたどり着くためには、立ち止まらないこと

・実践で勝負を分けるのは、本人もきちんとわかっていない、言葉に出来ない暗黙知をどれだけ持っているかなのです。暗黙知は誰も教えてはくれないので、手に入れたければ盗むより他ないのです。

・いったんビンを置いたら、添えた手を一気に離すのではなく、揺れ具合を見て少しずつ位置を変えていけばいいのです。

・ゲームに勝つためには、「ゲームにあまりのめりこまない」というのも重要なことです。

問題が顕在化することができれば、その時点で問題の8割は解決済みだともいえます

・孫子の兵法:各個撃破

・大きな問題を分けて小さくするのです。

・効率的な仕事の組み合わせに、ああでもない、こうでもないと頭を悩ませるというのは、まだ自分と時間に余裕があるからなのです。

・あらかじめ「できるとわかっていることをやる」のが仕事ではありません。「会社にとって正しいことをやる」のが仕事なのです。

・残業で社員を疲弊させて売上を伸ばしたところで、それになにか意味があるのでしょうか。私にはわかりません。




≪目次≫

第1章 御社の残業がなくならない理由

第2章 問題はとにかく「分けて」考える

第3章 次に「会議」を変えていこう

第4章 「残業ゼロ」の達成まで

第5章 「速くて強い」チームの作り方

第6章 「仕事の常識」はこれだけ変わった

第7章 本当のワークライフバランス




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