次の日まで、夫は帰って来なかった。


私もなんだか気が重いまま会社に行った。


昨日の怒鳴られた事を引きずりながら仕事を終え、急いで帰っていた。

帰っている途中、夫から電話が入った。


「今日、外にご飯を食べに行こう!」


普通だった。


もう怒っていないのかな?と思った。


甘かった・・・・あせる



いつも行くお店で夫は機嫌よくご飯を食べていた。


話しの流れで一応、「昨日はごめんね」と謝った。

行けなかった事情も話した。


夫は「わかったよ。」と言って許してくれた。


が・・・・


その後、夫はまだ仕事が残っているし事務所のカギが見当たらない

から探さないと・・・と言って事務所まで夫を送って行き、私は洗濯物も干したまま

だったのでマンションに戻った。


マンションに戻って30分ぐらいすると夫から電話がかかってきた。


やはりカギがないので、バイトの子の所に合鍵を取りに行くと言う。

バイトの子は、夫の所で昼間バイトをし、夜は居酒屋でバイトをしていた。


しかしその子のバイト先の場所がイマイチわからない。


私の車にだけナビがついていたので、昨日の事も悪かったなと思い

車を出すことにした。


私は化粧も落としていたのだが、夜だから「いいか。」と思いそのまま夫を

事務所まで迎えに行き、バイトの子の所に向かった。


あまり迷わず、その場所に着いた。


そうすると夫は

「オマエ行ってきて!」と言うのだ。


私は素ツピンだし、洋服も部屋着のままでとてもじゃないが外に出れる格好では

なかった。

ましてやバイトの子のお家ならまだしも、居酒屋なのだからそんな格好で入りづらい・・


私は「え~ こんな格好じゃ無理だよ。行けないよ。」と言うと


夫は怒って

「オマエはオレの事、なにも言う事聞かないし、オレのために何もしてくれない」爆弾


と言って、車を降りて思いっきりドアを閉めてお店に入って入った。


後ろ姿は怒りのオーラでいっぱいだった。


私はその姿をみてまた不安な気持ちになった。



しばらくすると夫は戻ってきた。


私はなるべく愛想良く「カギあった?」と聞くと

夫は「いいから車出せ!」と言った。


私はそれ以上何も聞かず、車を走らせた。


そうするといきなり

夫 「オマエはオレの言う事、なんにも聞かんのやな!」と言い出した。


私 「だってこんな格好で、人前に出れないし・・・」


夫 「うるさいんじゃ!はっきり言って昨日の事もオレは怒ってるんじゃ!」


私 「それはさっき、説明したし、あなたも「わかった」って言ってくれたから・・・」


夫 「昨日、オマエにオレが「書類持っていく気なんかなかったんだろ」って言ったら

オマエ「うん。」って言っただろう。オレそれ聞いてからめっちゃ腹が立ってるの!」


私はそんな事言った覚えもないし、この人は何を言っているんだろう?と思った。


私 「そんな事言っていないし・・・」


夫 「オマエはそう言ったんだ。オレははっきり、そう聞いた!。」


心の中で「嘘ばっかり・・・」むっと少しあきれた。

なぜこの人に何を言っても説明しても変な風に受け取られるし・・


もうはっきり言って、私も少しウンザリした。


なによりも、また言葉では言い表せない心にどんよりとした気持ちを引きずるのかと

思うと、なんだかどうでもよくなった。


そして、私はこの時ばかりは訳のわからない事を言う夫に気持ちを初めて

ぶつけてみた。


結果・・・・ 続く・・・・







夫は自営業なのに、携帯に出ない事が山のようにあった。


ある時は、仕事関係の人が電話をかけてきているのに


「めんどくさい!」


と言って電話に出ないのだ。


アンタ・・・めんどくさいって・・・・シラー


ある時は、大雨で洪水になって、まわりにかなりの被害が出ていた時に、

夫の大学時代の友人が心配をして電話をかけてきても、出ないのだ。


そして、私に対してモラワ~ルドが炸裂している時は、

私がオロオロして電話をしても、必ず電話には出なかった。



ある時、

夫が仕事をしたところが完成し、そこのオーナーも知り合いと言う事で

私の両親がお祝いを持って行くきたいのだけれど、場所がわからないから

一緒に言ってくれる?という事で、一緒に行く事になった。


出かける前に、そっち方面に行くならこの書類をAさんの所に届けてくれ!

と夫が言った。


でも、そっち方面と言っても、ものすごく離れているのだ。


「両親一緒だし、行けるかどうかわからないよ。」と言ったら、


「行けたらでいいよ」と言った。


実は、そのAさんの所に両親を連れて行きたくない理由があったのだ。


Aさんはショップを経営しているのですが、裏の仕事というか・・・・

その風俗みたいな事もしていて・・・


そういう事もあり、私は両親とAさんが顔を合わせるのはイヤだった。


私もあまり好きな人ではなかった。(どこかうさんクサイ・・)


だから、夫はなぜこの人と知り合いで、仲がいいのだろう?と思っていた。


そして両親と一緒にお祝いを持って行き、帰りに父が自動車を見に行きたいと

言ったので、近くの自動車屋に向かっている時、夫から電話が入った。


私 「もしもし?」


夫 「おまえ、Aさんの所に行ってないだろっ!」 と怒っている。


  「うん。今日は行けないかもしれないけど・・・」


私は「行けたらでいいよ」と言われていたので、そう返した。


  「おまえはオレの頼み事、なんで聞かんのや!」

  「オレの仕事、馬鹿にしてるんか!」

  「ふざけるなっ!」メラメラ


と怒鳴って電話が切れた。


母は助手席で

「○○さん なんて? どうしたの?」 と聞いてきた。


私は、両親に心配かけたくなくて


「ううん。 別に。」と言った。


自動車屋に着いて、父が色々見てまわっている間も、私はひとり浮かない顔をしていた。


父と母は「これがいいんじゃない?」みたいな事を言いながら楽しそうにしている。

両親は昔から仲が良かった。


そんな両親を前に、私は涙が出でそうになった。

私は夫の事でビクビクしている。

なぜ、両親のように一緒に過ごせないんだろう?

やっぱり、私が悪いんだろうか?

Aさんと両親を会わせたくないというのは、間違いだったんだろうか?


そんな落ち込んでる?私を見て?父は


「今日、夜ご飯食べにいこうか?○○さんに電話して聞いてみて?」と言った。


私は夫に電話をかけるが・・・・ やはりご立腹?のため出ない・・・ガーン


「忙しいみたい。電話にでない・・・」と言うと、父は


「そうか。電話かけたんだから、後でかかってくるだろう?」と父は言ったが


電話はかかってくることはなかった。


両親を家に送って、暫くくつろいでいたが電話をかけても出ないので

「帰るわ。」と言って私は実家をあとにした。


両親も一緒に食事に行けると思っていたのか、どこか寂しそうだった。


帰り道、車を運転しながら涙が溢れて止まらなかった。


そして・・・・電話をかけても出ず、その夜も夫は帰って来なかった。




電話ぐらいでろ~ いい大人が! ふざけるな~グー



あの時は言えなかったが、今ならきっと言える・・・














土曜日・日曜日は私の仕事が休みだった。

土曜日は、一週間分たまった家事を午前中にすませて

お昼はゆっくり自分の時間にしようと思っても無理だった。


買い物に行けば・・・

実家に用事で帰ってても・・・

友達とランチをしてても・・・


必ずと言っていいほど電話がかかってくる。


開口一番 


「どこにいるの?」


必ずこの言葉だった。


まるで、出かけるのがダメなように・・電話がかかってくるのだ




昔からの友達との誕生日会は毎年恒例だった。

私を入れて4人なので、年4回開いていた。


といっても、昼はゴルフに行って、夜は食事会という風だった。

友達3人はよく我が家に来ていたので、夫もこの友達たちを知っていた。


結婚前からこの誕生会の事は夫も知っていたし、余程の理由がない限り

参加することは言っていた。


しかし、この誕生会で友達と楽しいひと時を過ごしていると

必ずと言っていいほど夫から電話が入った。


他にもご主人持ちの子もいたが、彼女はご主人から電話が入っても

「あっ!パパからだ!」と言って普通に電話に出るのだ。


そのご主人は、めったにかけてこないのだが、探し物がなく

困っているという用事などだった。


この友達を見ても、ご主人から電話が鳴ってビビるといったことは

ないのだ。



私と言えば・・・


夫からの携帯音が鳴るたびに、緊張が走っていた。

その電話に出るといつも、たいした用事ではないのだ。


「楽しいか?」

「い~な。オマエは!楽しそうで!」

「オレも○○にいるから」

など、時には仕事でこんな事があったなどの内容だった。


そんなやり取りを見ていた友達が、こう言った。


「リナの旦那さん変わってるね。今日、誕生日会で皆で会ってるの知っているよね~?」

「なんかいつもどうでもいいような事で、必ず電話が入るよね。」


「普通はさぁ~ 余程の用件じゃない限り迷惑になるから、

帰ってから言えばいいかとか思って、電話とかかけないと思わない?」


「寂しがりなの? なんか子供みたいな人ね。」


「ゴルフしている時も、電話かかってくるし・・・

それこそ、ゴルフのときなんか電話出れるわけないじゃん。」


「それに、電話がかかって来たときのリナって、変だよ?」


と言っていた。


え~そうですとも!携帯の着信に夫の名前が出ていると

心臓爆発しそうだったのよ。

楽しい気持ちが、一気に吹き飛んでしまうくらい!

嫌な気分にならされるのは百も承知の上で電話に出ていたから!


たぶん夫は私が楽しい時間を過ごす事がとてもイヤだったのだろう。


夫が飲みに行くと、帰りは夜中の2時・3時になることはザラで

そんな遅くに帰ってきて、私がすでに寝ていると必ず上に乗っかってきて起された。


身長185cmもある大男に上に飛び乗られると、私は窒息しそうなぐらい

息が出来なくて辛かった。


そんな私をみて、夫はこれでもかと言うほど、全体重をかけてきて

笑っていた。


そんな日々を送っていると、睡眠不足などで体調はどんどん悪くなっていった。

会社も休みがちになっていった。


疲れているので、休みの日に掃除も終わりソファで一段落している時でも

必ず電話が鳴った。

そして必ずこう言うのだった。


「ソファーでダラーっと寝ていたんだろう!


私は、家でくつろぐ事さえ出来なくなっていた。


場所がここだから緊張してくつろげないんだと思い

それなら実家でと、たまに実家に帰って2時間ほど休ませてと

言って休んでいても、必ず夫から電話が入った。


そんな事で実家に帰るので、母は心配だったと言っていた。


私はこの夫の支配下に置かれている気分をなぜ跳ね除けられなかったのだろう。


寝ているときに電話が鳴るのがイヤなら電源を切ったり出来たのでは?

今、寝てたから、後で電話する。とか・・

きちんと言えばよかったのでは?と思ったりした。


でも、その時は電源を切っていたり。余計な事を言って

夫が不機嫌になり暴言を言われたりする事の方が私には苦痛だったのだ。


モラ~ワ~ルドにまると自分が自分でなくなっていくのだ。

私という人間は、この時すでに存在していなかった。しょぼん







義妹が遊びに来たときの事だった。



夫の妹は私よりも2歳年下で、7年前に結婚したが

子供はいなかった。


ご主人の転勤で他県に住んでいた。


その妹がお盆を前に、一人で帰省したのだった。


食事をしに行こうと電話が入った。


「リナさん、帰ってきたからご飯食べに行きませんか?」


「そうね。久しぶりだし、ご飯食べに行こうか。 

じゃぁ夫に連絡してみるね。」


「あっ、お兄ちゃん、なんか仕事忙しいからって言ってた。よくわからないけど・・」


よくわからないって??なんだ??


そんなやり取りをした後、私は夫に電話をした。


「今日、妹さんがご飯食べに行こうって連絡あった?」


「お~電話あった。オレは忙しいから行かない。」

とだけ言って電話が切れた。


また機嫌が悪いのかな?と思った。

それと同時に、アナタの妹でしょ!と思った。


義理の妹と2人で食事をしに行った。


その時の会話で変な感覚におちいったのを覚えている。


話しながら飲んだり食べたり・・時間が2時間ほど過ぎた頃・・


義妹が

「お兄ちゃん、仕事終わったかな?」


「さぁ~ どうだろうね?」と答えると義妹は携帯を出し

夫に電話をかけだした。


案の定、夫は電話に出ない。


「忙しいのかな~ まだ仕事終わらないのかな~?」


私は心の中で、

(あなたのお兄ちゃんは気分で電話に出ない事なんかいっぱいあるのよ。)と思っていた。


義妹がもう一度、電話をかけなおそうとした時、


「やっぱり電話するのやめとこう・・ 怒られるかもしれないし・・」

と言ったのだ。


私はなんだか不思議な気持ちだった。

兄妹などいろんな形があるけれど、怖いから怒られるからと言う言葉が

なんとも不思議だった。


私にも兄姉がいる。一番上は兄で、次が女王姉。私は末っ子だ。

3人仲が良く、兄などには小さい時、よく遊んでもらっていた。

今では女王姉はいい相談役だ。

今でも、兄姉3人集まって飲んだりする。

兄姉に電話をするのに怒られるからなど思って電話したことはなかった。



夫はきっと妹にも不機嫌な顔を見せていたりするのだろう。

義妹のこの発言で私はそう思った。


そろそろ帰ろうかという事で、このまま義妹が私たちの家に

行きたいというので、家に帰った。


家に着くと、部屋に明かりが点いているのだ。


「なんだお兄ちゃん帰ってるんだ~」と義妹が言った。


部屋に入ると、一人でテレビを見ていた。


この時の光景を見て、また私は不思議に思った。


決して兄妹、仲が悪い訳でもないのに・・・

仕事が終わって、家に帰ってるのなら、どうして電話をかけて

こないのだろう?

普通は電話をかけてきて、どこにいるの?ぐらい聞かないか?

私と、アナタの妹が食事しているとわかっているのに・・・


っつ~か アンタの妹だろっ!グー


機嫌が悪いのかなと思ったのだが・・・

義妹がいたおかげで、夫は別に機嫌が悪いということではなかった。


部屋でお酒を飲みながら、テレビゲームをしたりして過ごしていた。


かなり遅くまで遊んでいたので、義妹は家に泊まっていくことになった。


寝る用意をしてベッドに入ると、夫はいきなりじゃれてきた。


私にプロレスの技をかけながら、笑っていた。


私は痛みにこらえながら、「痛いからヤメテ」と何度も言っていた。


それでも夫は笑いながら・・・もっと力をいれてくる。


(この人は、なぜこんなに痛がっているのにヤメテくれないんだろう・・)汗


あまりの痛さと頼んでもヤメテくれない情けなさから、涙が出ていた。

この時は本当に夫という人間がわからなくて悲しかった。


私が泣き出したのを見て、夫はやめた。


そして、いきなり部屋を出て行った。ガチャン!バタン!


部屋から出て行った後、家からも出て行ったのだ。


訳がわからなかった。 たぶん今にして思えば私が急に泣いたので

どうしていいかわからずといったところだったのだろう。


無言だったが、怒りのオーラはそれほど出ていなかったから。


この時、義妹を起こして状況を説明しておけばよかったと

あとで離婚をするとき思った。 しまった~



そして、次の日まで夫は帰って来なかった。

(もう帰って来なくてもいいよ!)


朝、義妹が

「お兄ちゃんは?」と聞いてきたが、

仕事じゃないかな?と適当に言っていた。


義妹を夫の実家に送っていった後、私はお盆で実家に帰る予定だった。


そして、3日間実家に帰っている私に夫から何の連絡もなかった。



3日後、家に帰ると何事もなかった顔で部屋にいた。


色々聞きたかったが・・・・


もうこの頃は、モラワ~ルドの世界にどっぷりはまっていたので

小さな事など、どうでもよくなっていた。


なによりも、夫を怒らせないようにするのが精一杯だったのだ。





籍を入れてからゴタゴタといろんな事が続き、疲れていたが

3ヵ月後に結婚式をする事になった。


もうこの頃の私は、別に結婚式なんてしなくていいよ・・・むっ


と心の中で思っていた。


結婚式2週間前の出来事・・


私の働いている会社は制作会社と言うこともあって、結婚式に流す

ビデオを作ってくれるという事になっていた。


これは夫も承知していてくれた。


夫の実家からは、私が何も言っていないのに子供の頃からの

写真など取りに来てなどの電話が入ったくらいだった。


いよいよ会社のみんな・友人も時間をさいてくれてビデオの撮影などに

入ったときのことだった。


マンションの部屋で2人にインタビューという事で撮影していたとき


「第一印象はどうでしたか?」の質問に


「ハラがたった!」の答えだった。


私は、みんなの前で何を言い出すんだろうと頭が真っ白になった。


「ハラが立った」の意味は、夫の仕事を中断して撮影したのが

気に入らなかったのだと思った。


でも、私にとってみたら、みんなの前でバカにされてこの人はどこまでいっても

こういう人なんだと実感した。


途中から撮影など私にとってはどうでもよくなっていた。


でも、表向きはみんなに笑顔を振りまくしかなかった。


1日目の撮影が終わって、私が家に戻るとき夫と例のマスターの店の

前で会った。


夫はお酒を飲んでいたのに運転して帰ろうとしていたので、

私が運転して帰ることになった。


夫の車は外車でミッションのスポーツカーだった。

運転するのが結構難しいので、私はほとんど夫の車を運転することはなかった。


マンションにつき、駐車場に車を入れるとき、隣に停まっている車に

近づきすぎだと怒鳴られた。


「隣の車にぶつかるだろうがっ!」


私はその罵声にびっくりして慌てて車を入れなおした。


その間、ずっとブツブツ言っていた。


マンションの入り口近くに来た途端、


「オレ今日はかえらんわ!爆弾 ムカツクっ!」


と背を向けて、今停めた車に乗り込みどこかに行ってしまった。


私は悲しくなった。汗


涙が溢れるのをこらえながら、部屋へと戻った。


ソファーに座りながら・・・


「どうして??なぜ? いつもなぜこうなるの??」


と泣きながら独り言を言っていた。


私は結婚してから3ヶ月・・・泣いてばかりいる。


そしてこの日、夫はまたしても帰って来なかった。




次の日も最後の撮影をしていて、私は浮かない顔をして

みんなに同行していた。


「今日旦那さん時間取れないの?」と聞かれ

「仕事が忙しいから・・・ごめんね。」と謝った。


まさか、怒られて昨日も戻ってこなかったなど

今まさに結婚式に流すビデオを作ってくれているみんなに

悪くて口が裂けても言えなかった。


撮影もそろそろ終わりにかかり、最後に休憩と撮影もかねてマスターの店に

行く予定になったいた。


その予定に近づくにつれ、私の心臓はドキドキして息苦しい感覚だった。



マスターの店に行くと、夫の車が置いてあった。


みんな、ちょうど良かったと言っていた。


その中に、私の友達一人にだけ、昨日の出来事を話した。


友達はびっくりしたように、


「じゃ、今からどうする? リナが行きたくないんだったら

みんなに何とか言って撮影やめるよ。」と言ってくれたのだが

私はみんなに悪いからと言った。


友達は

「じゃぁ、私が○○さんにそれとなく機嫌を伺って聞いているね」

と言ってお店に入って行った。


友達がお店から出てきて、私のところに来て

「○○さん機嫌よかったよ。 撮影もいいよって言ってたよ」と私に告げた。


私は、昨日のは怒りは? と心にひっかかっていた。


5分ぐらいして夫と仕事関係の人が外に出てきた。


撮影に入ると夫は終始、笑顔で質問などに答えていた。


撮影している時に、「昨日は忙しくて・・・帰れなかったんです・・」

など言い訳のように言っている。


忙しくて帰れなかったのではなく、アナタが怒って帰って来なかったくせに・・


私は心の中でつぶやいていた。


そんな思いを引きずりながら、結婚式を迎えてしまったのです。


残念・・・・グー




籍を先に入れて一緒に住みだして、すでに2ヶ月が経っていた。


その間には、モラ襲来事件や、上司に怒鳴る事件などすでに色々な

出来事があった。


これらの他に、小さな出来事は山のようにあった。


私は大学が関西方面。夫は東京の方の大学だった。

母も関西出身で、やはり関西弁の方に馴染みがあった。

大学時代の友達も、地元の子達なのでやはり電話で話す時などは自然に

関西弁になっていた。

(ちなみ現在住んでいる所は、関西も関東も関係ないぐらいのイナカです。)


ある日、主人の両親と夫と4人で夜ご飯を食べに行った時に、

何の話か覚えてないが、急に夫が


「アンタの好きな関西弁!。オレは大っ嫌いなの!」

と怒った口調で言い出した。



何故、夫がそんな事を急に言い出すか全然わからなかった。

関西弁の話しをしていた訳でもなく、私が関西弁で話していた訳でもなかったのに・・・


夫の両親も目をまるくしていた。



頭の中で「はぁ~???」だった。

(好きっていつ言った??)




ある時は夫の唯一、一人いる友達が遊びに来ているとき、映画の話題になった。


「オレ、あの映画見たいんだよな。」


「その映画、おもしろそうなの?」と聞いただけで怒り出した。


「オマエの意見なんか聞いてないやろ! オレが見たいだけなんや!

うるさいんじゃ!あほっ!」


と夫の友達の前で言い出した。

私はすぐに黙った。


夫の友達は私の顔を見て、苦笑いしていた。


そして一言

「コイツ、子供と一緒だから・・・あんまり気にしない方がいいよ!


子供と一緒って・・・子供より訳悪いよぉぉ~


友達の言った一言に気を悪くしたのか

私のタバコの事まで言い出した。


いつ頃か、職場で皆がタバコを吸っている中で

私もいつしかタバコを吸うようになってしまった。


もちろん付き合いだした時に、

「私、タバコ吸うけど・・いい?」

と聞いた事もある。


その時、夫の返事は


「オレ、タバコを吸う女としか付き合ったことないから・・

だから、何も思わない。オレもヘビースモーカーやしな。」

と言っていた。



それなのに、急に

「オレはタバコを吸っている女とは付き合った事はないんじゃ!」

と言い出した。


「えっ? 昔、ああいう風に言ってたよ!」

と言うと、

「勝手に話しを作るなっ!」と私が嘘つきに仕立て上げられてしまった。


いやいや話し作ってるのはアナタだし・・・・


この時も、夫の友達は


「そうだったっけ??付き合った子ってタバコ吸ってなかった?」

と夫の嘘を見破ったように言った。


この人はわかってるんだ。夫が自分の機嫌によって嘘を言ったり

するのをわかっているんだ・・・と思った。


みんなに見透かされている夫・・・・

機嫌が悪くなると、すぐに怒鳴る夫・・・

自分の事を繕う為なら、どんな嘘でもつく夫・・・


この頃から、だんだん


「ちっちぇ~ヤツ!」むっと心の隅のどこかに感情があったと思う。


ただ、まだまだこの頃は、モラの世界に引きずりこまれている最中なので


(私が余計な事言うから、あの人機嫌が悪くなるんだ・・・

私が、あの人を怒らせる原因なんだ・・・

私は、なんてサイテーな人間なんだろう・・・)


と頭の中はそれでいっぱいだった。


何をするにもダメ人間とレッテルを貼られる毎日・・・


心身共に結婚2ヶ月で疲れきっていたあの頃・・・

毎日泣いてばかりいる自分にびっくりしていた。





でもっ!今、言えることは!


私の人生最大の失敗は、夫と結婚した事。


でも成功は、夫と離婚した事。



元夫って・・・


元夫は、外ではとても人に気を使う人だった。


しかし、気を使うには制限があった。


自分より地位が高い人、自分より根性があってケンカなどが強い人

お金のある人、苦労をした人etc・・・


自分に利益のあるような人には、特に頭をひくくいつもニコニコした顔で

対応していた。 とにかく媚る人でした。


(おまえはペコペコバッタかよ?!)ってな感じで・・・


しかし・・・ 少しでも自分より劣っていると感じた人には、ボロクソなのです。

私に怒鳴るようなモノの言い方をしたり・・怒ったり・・・同じような事をするのです。


なので、離婚した後でわかったのですが、すこぶる評判が悪かったらしい・・


そう、地位がある人、苦労している人などは、人を見る目があるのです。

どんなに、御世辞を言われたり、ペコペコされても、本質を見抜く目を持っているものです。

だから夫のうわべだけの事や、裏で暴言・陰口をたたいてるなどはお見通しだったのです。


そして、堂々と人の前で暴言などを言われた人は、最初から夫を相手にしていないのです。



そして夫は2代目で経営などしている人には、コンプレックスがあったようでした。


いつも決まって、

「あの人は所詮、2代目だし・・・ボンボンやから、な~んにも世の中のことわかってないしな~」

「苦労のしたことないヤツなのに、偉そうに・・・」など・・・陰口をたたくのです。


今思えば、その人達の事が羨ましかったのではないかと思う。

苦労してないように見えるその人達にコンプレックスを抱いていたのでしょう。



最初は夫は自営だし、苦労もあるからそう思うのかな?と思っていましたが

完全なる「ヒガミ根性!」でした。


男のヒガミほど、見苦しいものはないと今はそう思います。



私の父も一代で会社を立ち上げた人間だったので、

夫は、私の父にはいつもニコニコしていました。

(これに、最初は父も騙されていた・・・)


なので私という人間も、夫のモラワ~ルドの中では

「苦労のしたことのない人間」

という部屋に入れられいたのだろう。事があるごとに


「オマエはなんの苦労もしたことがないんやから!」


「お金に苦労した事がないくせに!」などなど・・・


(あなたと結婚しているときが、一番お金に苦労したよ!)


を口癖のように言っていた。



後に、離婚を相談している時に、姉とこんな話しをした。


「夫は私の育った環境が気に入らないみたいなの。


なにかって言うと、苦労してないって言うし・・・


私だって、たしかに苦労って苦労はした事がないかもしれないけど

そんな事言われなきゃいけない程、私はひどいのかな?」と私が言うと・・



女王姉は・・・


「はぁ~苦労? どんな人生でも形が違うだけで苦労はみんなしてるのよ!」


「アンタだって親に愛情受けて確かに幸せに暮らしてきたかもしれないけど、

それなりに違う苦労があったでしょ!」


「確かにそうかもね。形が違うだけでみんな苦労ってあるよね。

どんなにお金があっても、違うところで苦労してる人もいるしね。


でも、夫は私に苦労をさせたいみたいな感じがする。


もしかして、苦労は買ってでもしろっていうことなのかな?

そういう苦労でもしたら、認めてくれるのかな?」


(この時すでにモラの世界に引きづりこまれ、判断力がおかしいときだった)




姉はびっくりしたように・・・


「アンタ、なに言ってるの? 何で苦労を買わなくちゃいけないのよ!


そうそうリナのダンナはそういう言葉が好きかもね。

苦労している人間が偉いみたいなところあるから・・


でもね、アタシから言わせれば、苦労する人生より苦労しない人生の方が

よっぽど立派なのよっ!


はっきり言ってやれば!アンタのダンナに!


苦労がそんなに好きなら、

アタシの苦労を売ってやるからお金で買ってくれってね!」






さすが女王姉! 苦労までもそんな考え方が出来るのか~

なるほどね~ 


と妙に納得してしまった私でした。ガーン




その後、傷ついていたわたしの心は

姉のこういう一言、一言で少しづつ癒され、

モラの世界から少しずつ脱出していけるのでした。虹







先日のキレた事が嘘のように、次の日も機嫌が良かった。


私の中でわだかまりが残ったままだったが、その話題を出すと

またいつ鬼の形相に変わるかと思うと、私はこのままでいいと思ってしまった。


そして会社に出社して、普通の一日を過ごすはずだったが・・・


社長には、先日電話で話しをしておいたので、問題はなかった。


会社に出社して・・・・朝10時半頃夫から電話が鳴った・・


先日の今日なので、私は慌ててその電話に出てしまった。



「おまえはホントバカか~」といきなり電話で叫んでいた。


朝まで機嫌が良かったのに・・今度は何???

私は慌てて、他の従業員に聞かれない様に外に出た。


もう、私は頭の中が真っ白になっていた。


「なに?なんかあったの?」


「オマエはバカだって言っているんじゃ! オマエの仕事なんかオレは

認めてないし、オマエの会社の人間なんてロクなヤツいないし・・

あんたらの業界はアホばっかや~

オレが一代で築いたものとは訳が違うんじゃ!← 

(一代って・・・あんた・・自営だし・・それに、その事なんの関係が???)

オマエはオレの嫁になったんやから、オレに従わなあかんしのじゃ!」


といきなり言い出した。

何のことかわからず、よくよく原因を聞くと私が前に友達とマスターの店に飲みに言った時に

マスターに私の仕事の話をした事を、マスターから聞いてそれが気に入らなかったらしい・・・


それを昨日の夜、マスターから聞いて腹が立ってたんだけど、今思い出したから

電話したらしい・・・(一生、思い出さなくていいようなことだろ!)


(なんのこっちゃ?? だったら、昨日帰って来たときに機嫌が良かったのは??

帰って来たときの方が覚えてるっつ~もんでしょ・・普通は!それを今さら・・・

訳わかんねぇ~)


今朝、機嫌の良かった夫は、思い出したように2時間後に

私に怒鳴りの電話をかけてきたのだ。


電話でいろんな事を叫ぶ夫・・・ 最後のほうは、私がどんなに社会人としての

常識がないか、私の勤めている会社は社会でたとえるとゴミみたいな会社だ

などなど・・・  


この人は、何をそんなに私のまわりまで悪者にするのだろう。


夫が叫んでいる途中で、私も怒りが沸いてきた。パンチ!


「なにも知らないくせに、そんな事ばっかり言われたくない!」

と泣きながら、この一言だけ反論して言ってしまった。


この時、結婚して初めての反論だった。


その結果・・・・ 延々30分間、電話で怒鳴り散らしていた事は

言うまでもない・・・ (女の電話じゃないんだから・・・そんなに長くてどうする?)


私は仕事そっちのけで、会社の外で夫との電話を切ることすら許されなかった。

泣きながら・・・ 会社の人にも申し訳なく・・


早くこの状態を終わらせるためには・・・

すべて私が悪いという事で、片付けないと終わらなかったのだ。

そして、謝って許してもらうしかなかったのです。


一つ去って・・また一つ・・・


明日は何もおこりませんように・・・


と心でお祈りしだしたのもこの頃からだったような???



夫よ・・今なら言える。


さんざん私の事を社会として常識がないなどと、よく言えるな~!

仕事中に電話かけてきて、30分も怒鳴っているアナタは常識があるの?

私の会社の上司に怒鳴るのも常識があっての行動なの?


常識がないのはオマエだよぉぉぉ~ ふざけるなぁぁ~プンプン


はぁ~ やっと言えて少しすっきりした。

不完全燃焼 レベル-1低くなりました。


まだまだ続く・・・モラワ~ルド・・・・



その日、私は泣きながらマンションに帰った。

夫に会いたくないという気持ちを引きずりながら・・・


その夜、夫は帰って来なかった。


まただ・・・またあの嫌な日が続くんだ。


私は少しうんざりしていた。


気持ちがブルーくもり
になるってこういうことを言うんだなと思った。


ソファに座りながら、一人で泣いていた。汗


次の日の朝、電話が鳴った。 夫からだった。


出たくない気分を抑え、電話にでた。


「もしもし?」


「昨日は事務所に泊まった。」


「そう、電話ないから心配したわ。」

と心にもないこと言って、昨日の夫の怒りを抑えようとしたが

ダメだった。


「オマエはバカか? あっ? なにか言う事あるやろ!」


「昨日はごめんなさい。」← 条件反射で謝ってしまった。 


「オマエ、ホントにバカやろ! オマエは何様のつもりなんや?

ええかげんにせいよ! 会社も辞めれよな!」


(何様って??・・・アンタこそ何様??)


「そんな急に言っても、無理だし・・・ 社長も昨日電話したと思うけど・・・

一応、会社の規定で辞めるにしても3ヶ月前には報告って決まっているし・・

それに・・・昨日の事は・・・」



と続きを言おうとした瞬間・・言葉をさえぎられた。


「オレにそんなこと関係あるか? オレが辞めれって言ったらアンタはオレに

素直に従えばいいんじゃ!ハイって言っていればいいの! オマエは素直じゃないんじゃ!」


こう言って、また電話が切れた。


「オマエは素直じゃない」 


この言葉は、これから先、私を苦しめる言葉になっていった。

私が素直じゃないから・・・ 私がすべて悪いんだ・・・と思い込ませる呪文となっていった。


この時はまだ・・

私は夫のこういうモノの言い方も理解出来ないし、理屈も理解できない。

話しが通じあわない。 と考えられる頭があった。


昨日、友達が言っていた 


本当に変なクスリ 


でもしているのかと疑いたくなった。


もう疲れて、あきれて・・・ 私の思考回路はすでに止まっていた。

もうイヤだ。 こんな生活・・・ 泣いてばかりの生活なんて・・・


この時、初めて脳裏に「離婚」という文字が漠然と出てきた。


そして、朝あんなに怒鳴っていた人が、帰って来た時は別人になっていた。


「ただいま~」とご機嫌だ。


やっぱり変なクスリ?? 


夫は、怒鳴った事などなかったかのようなふるまいだった。



そして、私は昨日の話しをするとまた機嫌が悪くなると思い、

そのまま昨日の出来事を封印してしまったのである。(無念・・・)


結局、何が原因なのかわからないままだった。 不完全燃焼・・・





社長にタクシーに乗せられ、何かあったら電話してきなさいと言われた。


私はタクシーの中で怒りでいっぱいだった。


そんな時、仲のいい男友達から電話が鳴った。


彼は違う県に住んでいて、会う機会はなかなかなかったが、10年来の

友達で近況報告みたいな感じでよく電話してきた。



「お~元気かぁ~」


「元気にしてるけど・・・」


「どないしてん? 結婚生活はどうや~?」


「今な・・こんな事があってん・・・」と私はさっきの出来事を話した。


「うぁ~なんやそれっ! で、オマエ今どうしてるねん?」


「タクシーで帰ってる途中なの。


あんな聞きたいねんけど・・・私のナニが悪かったんやろ?

男の人の考えから教えて、私、どこが悪い事したんやろか?


あの人があそこまで怒らせるようなことした私は何処が悪いの?

どこがポイントなん?」  と友達に聞いた。




「オレ、オマエの旦那の気持ちわからんわ~


その接待に行ってもいいって言ったんやし、ちゃんと電話もかけてるし、

その時は機嫌よかったんやろ?


ま・仮になんかで怒ってるとしてもやな~常識から言うたら

会社の人にそんな事するほうがおかしいやん。


もし、オレがその状況で腹たてても、会社の人には関係ないし・・・

リナだけに怒ってるって言う話しやったらわかるけど・・・・・・


ちょっと常識ないよな~ ええトシして。 あのな~こんなん聞いていいかわからんけど

はっきり言ってオマエの旦那、頭大丈夫か?変なクスリとかしてへんか?」




「変なクスリ??」爆弾




そんな風に思わせる夫って・・・汗やはりモラワ~ルドは奥が深い・・・


「変なクスリでもしてるんちゃうやろな? あんまり、まともやと思えへんけどな。

子供みたいな人やな。


まっ がんばれや!結婚したんやし・・・

リナがなんで怒ってるのかわからへんのやったら、ちゃんと聞いてみな。

普通の人間やったら、理由があるやろ。普通の人間やったらな・・・」


人間って・・・ 友達よ・・・普通、ここでは「人」って言葉使わないかい??


動物かよ?? おまけに「普通の人間やったら」の二回リピートって・・・


そう、友達の言うとおり「普通の人間じゃなかった」のよ・・・


でも、今思うと動物の方がまだいいよね。 モラの人間よりも・・・


「うん。わかった。聞いてみる。」


「なんかあったら電話してこいよ!相談のってやるから!」


みんな優しい・・・ なのに・・・なのに・・・

なぜ、一番近くにいる人はあんなに冷たいんだろう。


どうして、いつも私を嫌な気持ちにさせるんだろ。


なんで、結婚してからこんなに涙を流さないといけないんだろう。


私の心の中は疑問符でいっぱいだった。


そしてタクシーのおじさんもバックミラー越しに気の毒そうな目で

私を見ていた。


タクシーを降りるとき、お金を払っておつりを受け取るとき、タクシーのおじさんは・・・


「お姉ちゃん、がんばってな!」


と声をかけてくれた。 やさしい言葉をかけられて私はまた涙がでた。


すでに私は、やさしい言葉・おもいやりに飢えていたのだろう・・・