人間の顕在意識や潜在意識、そのいずれの中でも、必ずバイアスが存在することを、さまざまな角度から述べてきた。人間はどんなにたくさんの経験を積んできたとしても、常に正しい判断を下すことができるとは限らない、実に不安定で危うい動物なのだ。絶対などという言葉は、イデアの中でしか存在しないといってもいい。
科学はいつの時代にあっても、常に途中経過であって、完成予想図を鉛筆で書いては、何度も消しゴムで修正しながら、今日に至ってきた。修正出来ないインクで書き込むことなど永遠に不可能だろう。
現代科学の最先端は、相対性理論と量子論を統合しようとしている。超ひも理論など、新しい理論も出てきている。いつの日か、光速を超えた超光速が可能になるかもしれないし、タイムマシンが出来るかもしれない。そして、すべての科学が根底からひっくり返されるようなパラダイムシフトが起こったとしても、決しておかしくはない。
我々凡人に出来ることは、出来るだけバイアスを取り除いたロジカルでクリティカルな思考方法を身につけることだろう。
心理学に「ジョハリの窓」という論理的な思考法があるのをご存知だろうか? 以前、「色眼鏡5」で取り上げた新薬の効果を測定するための二重盲検法は、ジョハリの窓を応用したものである。 この4つの窓を描くだけで、一切抜けの無いロジカルな思考を実践できるという優れものだ。常にこういった思考法のクセをつけておけば、バイアスにどっぷりと浸かることはなくなるだろう。
(色眼鏡シリーズ 了)