辿り着いた心 | 秋 浩輝のONE MAN BAND

秋 浩輝のONE MAN BAND

はじめに言葉はない

暖かな春風が吹く前に

あなたは立ち去っていった

冬の木枯らしを巻き込みながら

あなたは音もなく立ち去っていった



晩秋の冷たい風に煽られ

あなたの細腕のような木の枝は

カサカサと乾いた音を立てていた

つまりその時に気づくべきだったのだ



初夏の初々しい空と海

あなたは大きく手を振り

小麦のような溌剌とした声で

僕の名を呼びながらキョリを縮めてゆく



逆に還ってゆく時の流れは

霧の中を彷徨う旅人のように

懐かしさと息苦しさを分け合いながら

出口を求めてさ迷う



ふと気づけば測ることができないほど近くに

あなたが佇んでいる

ゆるやかに たおやかに

あなたの辿り着いた心をそっと包み込んでいたい……