レビュー7 サウンズ・オブ・サイレンス(前編)Simon & Garfunkel | 秋 浩輝のONE MAN BAND

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はじめに言葉はない

①サウンド・オブ・サイレンス ②木の葉は緑 ③ブレスト 
④キャシーの歌 ⑤どこにもいないよ ⑥アンジー 
⑦リチャード・コリー ⑧とても変わった人 ⑨4月になれば彼女は 
⑩はりきってゆこう ⑪アイ・アム・ア・ロック


当時のS&Gのプロデューサー、トム・ウィルソンの手によって、デビューアルバムの「水曜の朝、午前3時」に収められた「サウンド・オブ・サイレンス」にエレキ・サウンドを加えリメイクしたものが、大ヒットの兆しが見えはじめた頃、何も知らされていないポールは、単身でイギリスへ渡り、ライブハウス出演していた。その話を聞いたポールは急遽アメリカに呼び戻され、短期間の間に録音されたのが当アルバムである。
サウンド・オブ・サイレンスを勝手にリメイクされたことをポールは激怒したという話もあるが、本当のところはどうだったのだろう? 何はともあれ、全米第1位にまで上りつめたわけだから、嬉しくないはずはないと思うのだが。

このアルバムでは、ほとんどの曲がビートを強調した伴奏形態で、いわゆる「フォーク・ロック」の走りとなったのである。だが、録音期間が短かったこともあって(もちろんショーバイ上の理由)、次のアルバム以降の充分に練り上げられた彼ららしいサウンドとは程遠い出来になってしまった。中ではむしろ、アコギ1本を伴奏にした、「キャシーの歌」と「4月になれば彼女は」、アコギ1本のインスト「アンジー」が出色の出来栄えとなっているのは皮肉な話である。


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①サウンド・オブ・サイレンス
「水曜の朝、午前3時」に収められたオリジナルは、若干、テンポの揺れがあり、あとで被せたドラム、ベース、ギターが苦労しているのが分かる。それにしても、エンディングの最後のコード弾きで、あとで被せたエレキ・ギターが少し遅れ気味なのは(わざとだろうけど)、何だか気持ちが悪い。なお、演奏しているのはボブ・ディランのサポート・バンドである。


 

②木の葉は緑
軽いタッチのアレンジだ。アートがアレンジしたという噂があるが、どうもこれはデマくさい。もともとフォーク・タッチの曲で、「ポール・サイモン・ソングブック」やライブでお馴染みのアコギ・バージョンのほうが、遥かにこの曲の良さが出ている。

 

③ブレスト
キリスト教に関する歌詞だが、あまり詳しく分析してないので、コメントは差し控えたい。この曲もやはり、ライブのアコギ・バージョンに軍配が上がる。

 

④キャシーの歌
キャシーはポールがひとりでイギリスのライブハウス回りをしていた頃、ライブ会場でチケットもぎりをしていた女性で、当時ポールの恋人だった。アルバム「ブックエンド」の「アメリカ」という曲では、実名で登場する。また、このアルバムを出す前に、ロンドンでポールがソロ録音したプライベート・アルバム、「ポール・サイモン・ソングブック」のジャケットでは、仲睦まじくポールと一緒に写っている。
この曲は心のこもった切実なラブ・ソングである。「The only truth I know is you」(ただひとつの真実は君だけ)」という一節は、口に出して言うと恥ずかしいが(笑)、歌だから素晴らしいのである。ボーカルはポールのソロ。ライブでは、アートのソロ・バージョンもあるが、この曲はポールの歌のほうが遥かに良い。


 

⑤どこにもいないよ
イントロは次のトラック「アンジー」のメイン・フレーズを流用、歌詞は「水曜の朝、午前3時」とほとんど同じである。一部違うのは、「水曜の朝…」は、強盗をはたらいたことの後悔や彼女の寝顔を見ながら夜が明けていくまでの経緯が描かれているが、この曲はその後、逃亡する途中という設定に変わっている。(自首しなかったのか?(笑))
平凡な曲で、時間がなくて間に合わせで作った感がある。ライブでは一度も演奏された形跡がないので、ポールもあまり重要視していないのだろう。でも、個人的にはキライではない。


 

⑥アンジー
以前、このブログで触れたことがあるが、イギリスのギタリスト「デイヴィ・グレアム」の曲。アコギを志す人にとっては、バイブルのような曲である。個人的には「バート・ヤンシュ」の演奏が最高だと思っているが、スケール感とカッコよさではポールのほうが上だろう。その後、いろんなギタリストが取り上げているが、ほとんどはポールのコピーである。というか、バートやデイヴィのアルバムは、一般的にはほとんど売れていないので、聴いた人は少ないのかもしれない(悲哀悲)

 

(後編に続く)