最高到達点 | 同志社大学ボート部公式ブログ

初めまして。

2回の清水大樹と申します。

私は不器用なので同時に2つの事が出来ず、ボートの事しか頭の中にありません。口を開けばボートの話ばかりですし、ボート以外の話をしてもシンプルに面白くないので、損というか上手くいかないことも多々あります。そろそろ先の人生が心配になってきました。振り返ると人として反省すべきところが沢山見つかったので今年こそはもっといい男になっていきたいものです。そんなわけで今回はボートの話をしようと思います。少々長くなりますがお付き合い下さい。



「日本一になりたい」

はじめてそう思ったのはボートを始めるずっと前、小学生の頃でした。私は滋賀県のド田舎に生まれ、狭い狭い世界で育ちました。これは当時していた剣道で思うようになった目標です。

しかし私にとって「日本一」とは身近なものでなく、曖昧な輪郭をおびたものでした。いつかはきっとなれるだろうくらいの夢のつもりでした。

昔から私の世界とは生まれ育った小さな田舎だけでした。幼い頃からビックマウスで何をするにもいちばんになりたい、そう思っていたし、声に出していました。


「日本一になりたい」

口ではこう言っていたものの、この狭い世界でいちばんになれることに満足している自分がいました。まさに「井の中の蛙」を体現していたのです。本気で努力もせず、現状で納得していつも弱い自分から逃げてきました。狭い世界の中で自分は周りよりすごいんだと言い聞かせていました。

剣道は勝てずに辞めてしまい、陸上では才能がないと諦めてしまい、結局は何も残りませんでした。


高校に入学し、始めたボート。コロナによって良いスタートとは言えませんでした。3年生はおらず、先生はボート未経験、500mしかない練習場所、そんな環境に言い訳ばかりするようになっていました。同期の中で見ればそこそこ上の方、その程度でした。「勝ちたい」と口にしていたものの、そんな自分で満足していました。まだまだ世界が広いということを知りませんでした。今思えば小学校、中学校の頃と何一つ変わらないまま、弱い自分から逃げているだけでした。


そして高校三年生になり迎えた最後のインターハイ予選、結果は3位とインターハイ出場は叶いませんでした。こんな結果でも今までの私ならそこで満足して終わっていたでしょう。しかし高三という人生の節目といえるタイミングで「このままでいいのだろうか」「こんな自分に後悔しないだろうか」と自分なりに考えました。沢山考えた中で、大した努力もしていないのに大口叩いて諦めている自分にとても腹が立ったのです。自分で自分が情けなくなりました。


そして悩んだ末に、同期が全員引退する中で自分だけボートを続けることを決断しました。ついに自分の甘えた考えを改める決意ができました。大学受験を控える中、今まで何ひとつとして結果の残せなかった自分が部活を続けることに意味があるのか本当に悩みました。それでも自分の可能性を信じたかったのです。


そこから毎日練習し、なんとか滋賀選抜に選ばれることができました。そして国体出場に向けて練習を始めました。他校の子たちとクルーを組み練習する中で、「今までの練習はなんて適当にやっていたんだろう」と痛感しました。そして「目標に向かって練習することはこんなに楽しいんだ」と気づくことができました。


考え方を全てフラットにし、もう一度はじめから初めて本気で努力しました。本気で頑張れる最高の仲間にも出会えました。そして短い期間にも関わらず、仲間たちと共に国体出場を決めました。国体出場が決まった瞬間のあの震えと興奮は今でも忘れられません。人生で最高の瞬間でした。


そこからは国体に向けてまた練習を始めました。今までの自分からは考えられない「本当の日本一」に向かっての練習でした。本気で本気で頑張りました。


そして迎えた国体本番、結果は準決勝敗退。日本一には程遠い結果に終わりました。まだ上がいたのか、まだ足りなかったのか、今までの自分の世界の小ささと全国という世界の広さを心の底から実感しました。はじめて本当の世界というものを見ることができました。それと同時にこの世界に居続けたい、この世界でいちばんになりたいと強く思いました。


漠然でも思い続け、しかし叶わなかった「日本一になりたい」という夢を叶えるために、そして高校の最後でついに知ったあの世界でトップに立つために、大学でもう一度ボート部に入りました。


インカレ、全日本新人、去年の結果は散々でした。自分の力のなさ、弱さを今一度実感しました。まだ弱い弱すぎると心から思いました。悩み苦しむ時間も増えました。


でも、それでも、はじめから私の根底にある「日本一」という目標、夢はずっと変わりません。考え悩む中で何が足りなかったのか、何が違ったのか、改める点はいくつも浮かんできます。もうあの頃のように弱い自分からは逃げません。まだ変われる、強くなれる、私ならできる、そう信じて来シーズンも努力し続けます。


応援してくれている家族のために、共に高め合う仲間のために、あの時掲げた夢のために、今年こそは必ず勝ちます。勝ってみせます。


「日本一になりたかった男」が「日本一の男」になる瞬間をぜひ見ていてください。


御清覧ありがとうございました。


↑国体出場が決定したときです