「負けました」
張栩は、1980年台湾生まれで、
2009年には、囲碁史上初の五冠達成し、
名実ともに囲碁界最強棋士ですが、名人戦では、
井山裕太に敗北し、20歳名人誕生となりましたが、
今年2月、棋聖位を獲得とともに趙治勲に続く、
史上2人目のグランドスラム達成。
張栩は、1980年生まれで6歳半で囲碁を始め、2ヶ月後には、
アマ初段レベルの父を越え、1年後にはアマ3、4段のレベルに達しましたが、
それも父の厳しい指導による、膨大な勉強量のおかげでした。
当時、台湾では囲碁プロ棋士制度がなく、
10歳半で日本に渡り、林海峰先生に弟子入り。
日本の院生のレベルの高さに驚き、
本気で囲碁を辞めようと思った時期がありつつも、
敗者復活枠で、何とか13歳にしてプロ入り。
ただ、そこにいたるまでのプレッシャーが起因し、
現在も爪を噛む習慣として残っており、
それにくらべると、タイトル戦でも平気であると。
「読み」と「感覚」について、こう比較しています。
読み:勝ちへ続く真っ暗な道を照らす懐中電灯
感覚:懐中電灯なしでも自在に暗闇の中を動ける力
読み:論理計算と論理的思考によって予想図を組み立てること
感覚:理屈や論理に裏打ちされたひらめきと直感・感性
強さの秘密については、「負けず嫌いだから」と回答し、
3段階に分けて、定義付けしています。
1:その場だけで全力を尽くす人
2:準備や努力をする人
3:自分の人生のすべてを賭けている人
そして負ける場合には、必ず理由があるとし、
潜在的な盤上の水面下での無数の変化を含め、
検討しているのです。
また、疲労困憊している状況下においても、
なお、自分を追い込むために、日本棋院から帰宅後も、
若い頃はインターネットで早碁をしたといいます。
実戦で勝つための養成方法として3つ上げています。
1:読みを速く正確にするためのトレーニング
2;状況を的確に把握するためのトレーニング
3;自分のスタイルの布石の勉強
また、張栩の詰碁のエピソードは有名で、
NHK「トップランナー」
でも紹介されていましたが、
奥さんである小林泉美さんと付き合っている期間、
毎回、会う度に詰碁の問題を課したといいます。
日本は近年、韓国、中国にトップをゆずり、
下降傾向にあり、具体的に4つの提案をしています。
1:若手の底上げ
2:裾野の拡大
3:育成方法の改善
4:時間の使い方の見直し
また、囲碁の効用としては、
「囲碁ほど思考力、記憶力、忍耐力を満遍なく
鍛えられるゲームは他にない」といいます。
なお、台湾では多くの経営者が囲碁をやっており、
日本ではグロービズの堀義人氏は、
織田信長が囲碁をやっていたのに関心を持ち、始められました。
http://ameblo.jp/dupondt/entry-10408177152.html
この本は、囲碁をやっている人はもとより、
一般においても、トップに君臨することの厳しさ、
勝負へのこだわりを知ることができます。
「惜福と 碁縁築く 張栩棋士」 シチョウアタリ
- 勝利は10%から積み上げる/張栩
- ¥1,470
- Amazon.co.jp