賢治の学校 | 道玄坂で働くベンチャー課長だったひと

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Il n'est qu'un luxe veritable, et c'est celui des relations humaines.
Saint-Exupery(真の贅沢というものは、ただ一つしかない。それは人間関係の贅沢だ。
サン=テグジュペリ)
 

「賢治の学校」は、教育者・鳥山敏子氏が、
「なんとしても子どもたちが生きる希望のもてる社会を
つくりたい」と呼びかけ、1994年に誕生。 
 
宮沢賢治「農民芸術論概要」の理念に、もとづいています。
 
「世界ぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない
 正しく強く生きるとは銀河系を自らの中に意識してこれに応じていくことである
 われらは世界のまことの幸福を索ねよう 求道すでに道である」
  
実際の建物が、長野県美麻村にあり、学習期間は、
1期6ヶ月で3期あり、全寮制。
 
手と足と頭、つまりからだ全部を使って学び直し、
新たな時代を築いていく英知の構築が目的。
 
また、自給自足をめざし、作物を育て、動物を飼い、
空や山や川の恵みをいただき、木工、陶芸、炭焼き、
家づくりや、音楽や絵、朗読や芝居などなど。
 
ユーゲント・ゼミナールの目標は4つ。
 
1.さまざまな手の技術を習得。お金に振り回されず、
 自給自足でき、生活を楽しむ力や世界のどこにいても
 生きていく力をつける。
 
2.共同生活のなかでお互いがそれぞれ自分自身で、
 力を発揮しあえる関係、他者とともに育つ関係を
 つくり上げていく力をつける。
 
3.自然にふれ、自然に学び、自然と共に生き、
 自然から力をもらえる身体にし、世界を知っていく。
 
4.自分で自分の心や身体を整え、医者や薬に頼らず
 自分をしっかり立たせて生きていく力をつける。



 
この賢治の学校の発起人である鳥山敏子氏は、
小学校の教員として30年間過ごし、
宮沢賢治の思想をもとにした「賢治の学校」を
教室で展開し、現実の建物へと結実しました。
 
しかし、自分的には、フランス思想家ルソーが唱えた
「自然に帰れ」という思想、また作品「エミール」における
教育論の方がより近いと感じています。
 
『賢治の学校』の本は、高校時代に読み、
最近、宮沢賢治に関する著作を読む中で、
ふと思い出し、購入しました。
 
ただ、宮沢賢治の人生をたどっていくと、予想以上に複雑で、
彼自身の中でも、理想と現実があり、
彼の作品や信仰していた法華経と、
現実の生活や仕事において、ギャップがあります。
 
実際、芸術家肌の人たちは、作品や思想は優れていても、
自我をコントロールできず、崩壊してしまっていることが
歴史上、しばしあります。
 
「農作業 足下を掘れば 大地あり」 シチョウアタリ
 

賢治の学校―宇宙のこころを感じて生きる/鳥山 敏子

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