『遭難フリーター』 | 道玄坂で働くベンチャー課長だったひと

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Il n'est qu'un luxe veritable, et c'est celui des relations humaines.
Saint-Exupery(真の贅沢というものは、ただ一つしかない。それは人間関係の贅沢だ。
サン=テグジュペリ)
 


いつもの渋谷UPLINKにて、
遭難フリーター」という
セルフドキュメンタリー映画を観ました。
 
この作品は、監督である岩淵弘樹氏が、
自分の仕事、日常生活を自身で撮影し、
編集したものになっています。
 
彼は、仙台出身で、
上京したいがために、大学卒業後、
すべて面倒をみてくれる派遣の仕事で、
埼玉県に暮らし、働くことになります。
 
派遣の仕事内容は、
プリンタのインクカートリッジの
ふたを取り付ける作業で、
チャップリンの「モダンタイムズ」みたく、
同じ作業をただひたすらに繰り返すのです。
 
そんな仕事に疑問を感じつつ、
正社員という給料や、雇用が安定しているのを
あこがれる反面、正社員として、
責任を背負って、会社のために生きるという、
決断をするまでにいたらず、そういうジレンマの中で、
悶々とした日々の中、暮らしています。
 
そういう閉塞感、無力感から脱するため、
週末は、渋谷などに行き、渋谷の喧騒に、
ある種の希望を見出し、託そうとしているのです。
 
しかし、自宅に帰り、現実に戻れば、
そこには、何も変わらない自分がいて、
どこに打開策を見出せばいいのかと、
途方にくれるのです。
 
上映終了後、UPLINK特有ですが、
岩淵監督自身のトークがあり、
つい、いままで、フィルム内にいた人物ですが、
年齢は26歳で、自分と年齢になります。
 
芸術家的な風貌があり、トークの内容も、
興味深いものでした。
 
彼は、東北の大学出身で、
映像関係を専攻していました。
 
当初は、そういう関係の仕事で、
内定が決まっていたようですが、
留年したがために、内定取消になり、
結局、卒業後、フリーターになったといいます。
 
彼自身、作品の中で、自分のやりたいことが
見出せないというようなことを語っていますが、
自分が思うに、100%そうではなく、
フリーターとして、比較的、時間的自由があるなかで、
こういった「遭難フリーター」という
セルフドキュメンタリーの撮影、
編集作業をしていたわけなのです。
 
自分はまだ読んでいませんが、
『遭難フリーター』という本でも、
出版されているみたいです。
 
同じ世代の人間として、
いろんな意味で、考えさせられる作品でした。