『里山』 | 道玄坂で働くベンチャー課長だったひと

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Il n'est qu'un luxe veritable, et c'est celui des relations humaines.
Saint-Exupery(真の贅沢というものは、ただ一つしかない。それは人間関係の贅沢だ。
サン=テグジュペリ)
 

NHKドキュメンタリーで、放映されていた作品が、
映画化し、新宿ピカデリーで鑑賞しました。
 
この映画館は新しく、歌舞伎町の近くですが、
今回、初めて入館しました。
 
この「里山 」という作品は、
昆虫写真家である今森光彦氏による、
滋賀県を舞台にしたドキュメンタリーです。
 
作品自体は、NHKの映像シリーズからも、
想像される通り、割と単調なシーンが続きます。
 
その日は、自分的にハードな一日でありましたので、
何度かうとうとしながら、寝たら後悔すると思って、
睡魔と格闘していました。
  
単調な中にも、学べるもの、得られるものは多くあり、
この里山というのは、しいたけ栽培のために、
定期的に木を伐採して、その栄養を含んだ幹で、
しいたけの栽培を行うのです。 
 
伐採なので、切り株として残るのですが、
このクヌギは、切り株の状態からも、再生することができ、
15年くらいすると、もとの大木の状態まで生長するのです。
 
そうして、古来からの知恵により、
木を半永続的に、再生できるようにしながら、
自分たちのしいたけ栽培を営んでいるわけであります。
 
こういう森に、たくさんの昆虫や動物が生息、共存し、
その姿を作品としてとらえた映画になっています。
 
特に自分が感じたのは、木を根こそぎにするのではなく、
きちんと切り株として、再生できる状態にしておくという点です。
 
これは、作品に登場するはちみつ採取でも同様で、
すべて奪ってしまうのではなく、きちんと、本来、
みつばちたちが越冬できるように、ある程度は残しておくのです。
 
短期的な利益を求めれば、すべて採取してしまうのでしょうが、
こういうあえて、意識的にある程度は残すという点に、
自然への敬意があり、また、恩恵を受けている感謝の気持ちが
感じられるのであります。
 
地球上では、人間が一番、知性が発達していると思いますが、
それはあくまで自然の上に、生きているのであって、
人間が傲慢になって自然を破壊すれば、
結果的に、自分たちの生きる土台を失っていることになるのです。
 
この映画の中には、普段知ることのできない、
ミクロの視点での昆虫たちの生活も知ることができます。
  
もし、興味があれば、ぜひ、ご鑑賞ください。