みなさんが気になるのは、
安全性もさることながら、やっぱりお金でしょう。
一般的に治験ボランティアと呼ばれますが、
ボランティアと呼ばれているからといって、
無償なわけでは、当然ありません。
謝礼金という形で支払われるわけですが、
おそらく、一般の人が想像しているより、
実際は高額です。
この謝礼金の額、ネット上の一般情報では、
明示されていませんが、通常、万単位です。
額は、薬の種類や、拘束時間によって、
左右されます。
自分が初めて治験に参加したとき、
謝礼金、いくらだったと思いますか?
答えは「40万円」です。
だからといって、早まって会社を辞めないでください。
これは数ある治験のなかでも大型案件で、
大型というのは、つまり、連泊、入院期間が長く、
拘束されている時間が、相応にあるということです。
自分は、当時大学生であったので、
時間がありできましたが、
働いている社会人では、到底無理なスケジュールです。
まあ、40万あれば、しばらく何もしなくても、
食べていけるわけですが、自分の場合、
留学が急遽、半年も早まったことから、
結局、留学費用になってしまいました。
実際、自分が参加した治験の仲間には、
30歳近くでも定職に着かず、
治験で生活している人がいました。
一応、一度やるごとに3ヶ月、
間を空けないと、次の治験に参加できない仕組みになっており、
どうせやるなら大型案件で、がっぽり稼いだ方がいいわけです。
ただ、そうはいっても都合よく、
案件があるとも限らず、また、
診断による選考もあるため、参加できないケースも当然あります。
通常、BMIが正常な範囲であることとか、
持病がなく、健康体であるとかは多いです。
みなさんが、健康診断のときに、
病院用の室内着に着替えるように、
あの状態で期間中、過ごします。
寝る場所は、大部屋にベッドがづらりと
並んでいるイメージで、正直、プライベート空間は、
ありません。寝るときは、ベッドのカーテンを閉めることは、
可能ですが。
つまり、数日間にわたって、健康診断のような状態で
過ごすわけですが、はじめは慣れず、
落ち着かないのですが、しばらくすると、
ごく普通になります。
食事は、当然支給されますが、
出された物以外、食べてはならず、
また、逆に出された物は、嫌いでも、
すべて食べきらなければなりません。
おかわりもできず、とにかく、
すべて、みな同じメニュー、量の食事をするわけです。
ちなみにたばこもNGですね。
外出も禁止です。つまり、拘束、軟禁状態です。
服用薬であれば、一旦、薬をのみ、
その後、採血を繰り返します。
一日何度も採血するわけで、
多いときだと10回を越えます。
血圧、採血、心電図、
これらはセットである場合が多いです。
採血時、注射針を見る、見ない人によると
思いますが、自分は必ず凝視します。
看護婦さんらは、慣れているので、
さっとすばやくやりますが、
ときどき、研修医みたいな若い男性がきたりして、
採血するわけですが、見るからに、
緊張していて、注射針が震えているわけです。
こっちは、ある種、ベテランですから、
落ち着いているわけですが、
それでも不安です。
ひじをめくり、アルコール消毒します。
親指をにぎります。
震える針が、自分の皮膚に入りました。
しかし、血がでません。
ずらします。やっぱり出ません。
えぐります。やっぱり出ません。
抜いて、やり直しです。
非常に泣きたい気持ちでした。
旅にトラブルはつきもので、
治験もどうやら同じみたいです。
治験な日々は続きます。