はじめに


世界には数多くのメタルバンドが存在しますが、その中でも異彩を放ち、唯一無二の存在感を持つバンド――それが**GOJIRA(ゴジラ)**です。フランス出身の彼らは、激しいサウンドの中に哲学的、環境的、精神的なメッセージを込め、メタルというジャンルを新たな次元へと引き上げています。


この記事では、GOJIRAのバンドとしての成り立ち、メンバー紹介、代表曲や人気曲、さらに筆者が特に好きな楽曲の魅力についても深掘りしていきます。彼らが2024年パリ五輪で見せた歴史的なパフォーマンス、そしてメタル界での確固たる地位についても触れていきますので、GOJIRAをまだ知らない人にも、すでにファンの人にも楽しんでいただける内容になれば嬉しいです。




GOJIRAの成り立ち


GOJIRAは、1996年にフランス南西部の街、オンデュールで結成されました。当初は日本の怪獣映画から取った「Godzilla」という名前で活動していましたが、権利上の問題から2001年に現在の「GOJIRA」に改名。


初期はデスメタルに近い荒々しいサウンドが特徴でしたが、次第にプログレッシブ、テクニカル、そしてスピリチュアルな要素を取り入れるようになり、独自の音楽性を確立していきます。2005年リリースの『From Mars to Sirius』で国際的な評価を獲得し、以降はアルバムごとに進化を遂げ、世界中のメタルファンを魅了しています。




バンドメンバー紹介


GOJIRAの音楽の中核を担うのは、以下の4人のメンバーです:

ジョー・デュプランティエ(Joe Duplantier):ボーカル、リズムギター

 哲学的な歌詞を書き、GOJIRAの魂とも言える存在。独特なボーカルスタイルと重厚なリフが特徴。

マリオ・デュプランティエ(Mario Duplantier):ドラム

 ジョーの弟。圧倒的なテクニックと創造性を持つドラマーで、しばしば“世界最高峰のメタルドラマー”とも称される。

クリスチャン・アンドリュー(Christian Andreu):リードギター

 情熱的かつ冷静なギタープレイで、楽曲の構造に深みを与える存在。

ジャン=ミシェル・ラバディ(Jean-Michel Labadie):ベース

 ステージでのエネルギッシュなパフォーマンスと、バンド全体を支える力強いグルーヴが魅力。




代表曲・人気曲の紹介


GOJIRAの楽曲は、どれも聴きごたえがあり、深いメッセージが込められています。中でも人気の高い楽曲は以下の通り:

Flying Whales(『From Mars to Sirius』):神秘的でスケール感のある曲。ファンの間でも特に人気。

Silvera(『Magma』):重厚なサウンドとメロディのバランスが秀逸。

Stranded(『Magma』):リフが印象的なライブ定番曲。

L’Enfant Sauvage(同名アルバムより):野性と自由をテーマにした攻撃的な楽曲。

Another World(『Fortitude』):人類の未来と進化を見つめたサウンドと映像が話題に。




好きな楽曲を掘り下げて紹介

Amazonia(『Fortitude』)

アマゾンの熱帯雨林破壊と先住民族の危機をテーマにした楽曲。ブラジルの伝統楽器やリズムを取り入れた独特のグルーヴ、そしてサビで爆発するような怒りのエネルギーが、GOJIRAの環境への強い想いを体現しています。社会的メッセージと音楽性が完璧に融合した名曲。

World to Come(『Fortitude』)

静寂と混沌が交錯するような構成が特徴の一曲。繊細なクリーンギターの導入から、徐々に激しさを増していく展開が印象的です。世界の終末、そしてその先にある“来るべき世界”への希望と絶望が交錯するような雰囲気が、胸に深く刺さります。

The Art of Dying(『The Way of All Flesh』)

チベット仏教のような祈りのチャントで始まり、複雑なリズムと変拍子が展開する、10分を超える壮大な曲。テーマは“死の受容と超越”。生きることと死ぬことを深く見つめる哲学的な構成は、聴くたびに新しい発見があります。

The Chant(『Fortitude』)

タイトル通り、繰り返される“Chant”が印象的な、儀式的で神秘的な一曲。GOJIRAの楽曲としては比較的シンプルながら、そのシンプルさの中にある“祈り”のような力強さが響きます。アルバムの中でも心が静まるような瞬間を作り出している重要な存在。


 

パリ五輪2024での歴史的パフォーマンス


2024年7月、GOJIRAはパリ五輪の開会式に出演し、革命時代の楽曲「Ah! Ça Ira」を、オペラ歌手マリーナ・ヴィオッティと共にパフォーマンスしました。メタルバンドが五輪開会式に登場するのは極めて異例で、これはGOJIRAがいかに国際的に認められているかの証でもあります。


このパフォーマンスは、文化と音楽、そしてメタルというジャンルの枠を越えた表現として高い評価を受け、グラミー賞にもノミネートされました。




メタル界での活躍


GOJIRAは、環境問題、精神性、人類の存在意義など、重いテーマを扱いながらも、それを音楽として昇華させる力を持っています。彼らは単に“重い音を鳴らすバンド”ではなく、“深い問いを投げかけるバンド”として、メタルシーンを越えて評価されています。


北米やヨーロッパのフェスでも常連となり、Iron MaidenやMetallicaとも共演。今や現代メタルシーンにおいて、欠かすことのできない存在です。




おわりに


GOJIRAは、音楽だけでなく、思想や姿勢、社会へのメッセージまで含めて、まさに“芸術”と呼べるバンドです。アルバムはどれも通して聴くことでその深みが分かる作品ばかりで、どこから入ってもその世界観に引き込まれるはずです。


まだ聴いたことがないという人は、まず『Fortitude』から、ぜひアルバム全体を通して味わってみてください。きっとその深さに魅了されるはずです。