千葉市美浜文化ホール 音楽ホールにて

こんなに文化的に貧しい心を反映した
条例があるなんて、一般市民は知らないよね。

プロの演奏は営利のため?
千葉市立の美浜文化ホールの
音楽ホールを借りて、
しばしばコンサートをする。
専業音楽家になった2010年以降
もう25回くらいの公演を
このホールで行なっている。
2016年以降は、年に一度だけに
回数を減らした。
プロが借りると会場費が80%増しという
千葉市の条例が適用されたからだ。

最初は、まさかそんな条例があるのを
知るよしもなく、安く使っていた。
館長が、ボクの日本フィル事務局員時代に
一緒に仕事をした業界人だった。
「八木さんは趣味でやってるんだろう」と
判断していたそうだ。
あるとき、ボクが音楽専業だということに
氣づいた。
ボクは初めて使う時に館長に伝えている。
「日本フィルを辞めました。今はこれが
専業です」と言って名刺を渡した。

そしたら館長が
「横浜みなとみらいホールの指定管理者に
応募するんで、八木さんの知恵を借りたい。
改めて時間を作って
相談にのってくれませんか」
ボクは快く引き受けた。
そんなことがあってしばらく
3万円以下で借りていた。

突然変わったのは、
ボクの訳詞した《広い河の岸辺》が
NHKテレビで放送され
クミコさんと一緒にボクが出たのを
見たというのが理由だった。
2014年7月23日のシングルCDが発売され
NHKや民放の歌謡番組に何度も出演し、
その秋にはNHKのニュース番組や
ドキュメント番組にたびたび出演した。
その翌年1月、2016年分のホールを
申し込みに行ったら、職員の女性が

「八木さんはプロなので、
営利目的利用となります」

「プロだというだけで営利追求していると
判断されるのですか?」

「入場料無料か、5000円以下か、
5001円以上かでホール代が3段階ありますね。
そういう差のつけ方はほかのホールにも
ありますけど、プロだからという理由で
営利追求とみなされ、会場費が高くなるなんて
聞いたことがありませんよ。
しかも80%増しなんて。
日本フィルなんかプロのオーケストラだから
サントリーホールは安く貸してくれます。
プロのオーケストラが本拠地として使ったら
ホールの格が上がるからですよ。
ボクは営利でやってるんじゃなくて
生活費を稼ごうとしているんですよ。
150席が満席になれば、10万円くらい
ボクに残りますが、皆さんの月給の
3分の1くらいでしょう。
日給10万円でひと月220万円を稼ぐんじゃ
ないんですよ。
ひと月に1回、満席になったら10万円のこる
コンサートを各地で
主催しているだけなんですけど。
これは営利ですか? 次のコンサートの
会場を申し込むと
またすぐに請求書が来ますよね。
1年後のコンサート、
まだ告知もしていない公演の
ホール代を払わなくちゃいけないんです。
10万円の半分は1年後のコンサートの
ホール代ですよ。残りの5万円は
家賃とか光熱費、食費の一部でしょう。
あなた方は、月給30万円もらっているとして
それを営利だと思っていますか?
家族が多かったら生活費や学費で
足りない額でしょ」

「これは千葉市の条例で
決まっていることなんで
指定管理者のわれわれに言われても
仕方のないことなんです」

「千葉市のピアノの先生が、自分の生徒の
発表会しますよね。お客は家族と関係者だけで
入場無料です。でも先生は生徒の親から
ひとり5000円とか1万円とか徴収して
発表会をやってるんですよ。
千葉市民のピアノ教師がが主催するもので、
一見入場無料ですけど、客である親が
先生に払っていますよね。
生徒が30人いたら30万円の収入がありますよ。
宣伝費はゼロ。30万円全部が収入で、これは
普段のレッスン代以外の収入ですから、
かなりの営利事業だと思いますが、
それでも千葉市の条例では非営利事業の扱いで
午前午後の会場費は
基本料金の1万1000円なんですか?」

「はい。お客様から入場料を徴収しなければ
営利とはみなされません」

「プロのピアノ教師ですよね。
プロのピアノ奏者は営利で、
プロのピアノ教師は非営利なんですか?
お客というのは生徒の親で、
発表会出演料というお金を
親からつまり客から徴収していますよ。
客席がガラガラでも確実に利益の出る
発表会が営利目的ではなく、
満席になっても、5万円しか手元にのこらない
ボクのコンサートが営利なんですか?」

「だから条例が・・・」

こんなふうに全く平行線のまま。
全く実りのない問答で悲しい。
これが文化不毛の地と言われる
千葉の現実である。

プロが演奏するということは、即ち
営利目的である、という
千葉市の条例。
あきれるでしょ(悲しすぎて笑うしかない)

ホール料金と赤字の現実
会場費は「営利目的」料金で
54000円くらい(平日の午後・夜)。
宣伝費、印刷費、著作権使用料、
出演者へのお弁当代などの合計が
80000円〜90000円。
ボク以外の音楽家に
最低20000円の
出演料×3人分(または4人分)。合計で
だいたい20〜22万円の経費がかかる。
150席のホールに、コロナ騒動以来
お客様激減で、最少の時は15人、
平均30人である。
チケット3000円で
収入は90000円。
11万円の赤字。これが
千葉市条例の「営利目的」で
行なっているコンサートの
実態である。

採算点
席数の半分75人のお客様が
来てくだされば
225000円の売り上げとなり、
ボクにも20000円くらいの
出演料が残るのだが。
もしボクの出演料として
手元に20000円残ったとして
それが営利なのだろうか?

生活費の一部としか、ボクには
思えません。
営利とは、生活費と
次のコンサートの会場費や
宣伝費を確保した後の余剰金のこと
ではありませんか?
コンサートというのはチケットが売れる前に
会場費や宣伝費を支払わなくてはならないので
事前に準備金が必要なのです。
ホール運営などの
文化に携わる人の常識です。

1年前に支払うホール代
サントリーホールや東京文化会館などの
一流ホールを除くと、
1年前にホールを申し込むとすぐに、
請求書が届く。
東京近郊、一都三県ではほぼ
例外なくそうなっている。
1週間以内に払わないと自動キャンセル
という条例がある。
チケットを売り出す9か月前に
ホール代を支払わなければならない。
どこから出すか? それはもちろん
終了したコンサートの売上金から捻出する。

振り込みを受け付けてくれるところは
少数派で、多くは
「払いに来い」と言われる。

往復2000円近い交通費と4時間かけて

会場費を払いに行くのだ。

今どきこんな無駄なやり方って
ありますかね。
文化行政というものはほとんどの
自治体でこのレベルか、
少しましな程度である。
文化都市といわれるところはきっと
違うだろうな。ちなみに
ウェスタ川越はだいぶ良く変身した。

自転車操業に利益なし
公演後ボクの手元に
数万円残ったとしても、その金額は
営利とか利益と呼ばれるものではなく、
次の公演の経費である。
自転車操業に利益なんてない。

千葉市の条例では
市民以外の使用 50%増し
入場料1001円以上 60%増し
ここまでは、他の自治体にも
同様な条例がある。
倍率や、料金の区切りが多少違う。

しかし、
プロが借りると、
チケット料金にかかわらず、
「営利目的」とみなされ80%増し

こんな条例は、
千葉市以外にはないだろう。
こんな条例がなければ
30000円で借りられるホールに
54000円を
払わなくてはならない。

こういう条例を正当だと思っている人が
千葉市の役人や議員のほとんどだということ。
頭がおかしいと思う。
だから議論にならない。
日本の(千葉市の)文化レベルが
底上げできないのは
こんな貧しい心の政治の責任。

このホールを自ら借りてイベントをするのは
ボクら以外は、
アマチュアだけになってしまった。
プロが出演するのは
ホールが主催するものだけ。
ホール(役所)から与えられる音楽や
イベントだけでいいのかな。
こんな条例なくせば、プロが自主的に使うから
ホールの稼働率も上がる。

そもそも、プロの自主企画公演というのは
そのアーティストが
本当にやりたいことをやる。
そのアーティストの最先端の表現を
する場なのである。

千葉市立のホールで文化を享受するのは
主に千葉市民。
ホールの稼働率が上がらなくて
困っているのに、こんな条例を
ほっといて良いのか。

赤字の穴埋め対策
赤字をなんとか減らすために、
一口3000円のご支援金を集め、
御礼にコンサートのライブ録音・録画の
ディスクを差し上げることにしました。
撮影・編集代、ディスクプレス代60枚で
60000円かかる。
赤字と合わせると170000円。
60口のご支援金のお志があれば
180000円になり
何とか穴埋めできる。

なぜ続けるのか?
こんなにひどい財政状況で、
なぜ演奏をつづけるのか?

千葉市には

必ず来てくださるお客様が
10人いらっしゃるから。

もうひとつの理由は、これは
お金のための「仕事」で話なく、
名歌・名曲を未来に伝える
「使命」だから。
ボクのユニットで演奏しないと、
ほとんど誰も演奏しない名曲がある。
ボクの訳詞で歌わないと元歌の真意が
伝わらない名歌も多い。
これを100年後に伝えなくてはいけない。

《広い河の岸辺》はおかげさまで
ひとり歩きを始め
「100年歌い継がれて
日本の歴史に残るでしょう」と
湯川れい子さんが
評価してくださった。

300年以上も前の歌詞をできるだけ
忠実に訳したのが
《広い河の岸辺》である。
誰が作ったのかわからない名歌、
すでに著作権が切れた名曲に普遍的な
価値があるから、ボクらはお客様に
楽しんでもらえる。
その作者たちに、今はもう
恩返しはできない。

「恩送り」
だから、まだ著作権の残る比較的
新しい名曲や、
ボクらと同世代の作曲家の
名曲を演奏することで、
「これは100年後にも聴かれる価値の
ある名曲です」というメッセージをこめて
作曲家への恩送りをするのが
音楽家のもうひとつの使命。

ボクらの後に
誰かが歌って(演奏して)くれることで
50年後に伝わり、そこからさらに
50年後にも伝わるための、
水源としてのコンサートであり、
アルバム制作である。
それだけの価値ある名歌・名曲を厳選して
レパートリーにしている。
普遍的な価値ある音楽だから
誰が聴いても楽しめる。


★自由の風支援金募集♪
1口¥3000のご支援で8月の日暮里公演を
記録したCDまたはDVDを御礼にいたします。
郵便振替口座00180-2-612135八木倫明
通信欄に「自由の風支援」「CD希望」
または「DVD希望」とご記入ください。


《ラピュタ・シチリアーナ》動画リンク先

https://youtu.be/Odu3pM_cUfo

◆ご訪問ありがとうございます。このブログを
訪ねて下さった方々の幸運を祈ります。




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(ポトス出版)¥1800(+税)



やぎりんカルテート・リベルタ札幌公演
7月22日(土)午後1:00 札幌市民交流プラザ


やぎりんカルテート・リベルタ遠軽公演
7月23日(日)午後2:30
遠軽町芸術文化交流プラザ小ホール


7月30日(日)亀有落語会


7月31日(月)喫茶Roダん落語会


■やぎりんカルテート・リベルタ♪
自由の風 平和音楽会 2023年8月3日(木)
昼の部 午後2:00開演
夜の部 午後6:30開演
日暮里サニーホールコンサートサロン

福島公演 昼の部に追加公演決定♪

■やぎりんカルテート・リベルタ♪
自由の風 福島公演
2023年8月18日(金)
昼の部 午後3:00開演
夜の部 午後6:00開演
福島市アクティブシニアセンターAOZ
4階 多目的ホール


■やぎりんカルテート・リベルタ♪
第5回 広い河の岸辺コンサート♪白鷹
2023年8月19日(土)午後4:00
白鷹町文化交流センターあゆーむ
■やぎりんカルテート・リベルタ♪
第5回 広い河の岸辺コンサート♪山形
2023年8月20日(日)午後1:00
やまぎん県民ホール スタジオ1



天使と悪魔の絶望名歌集
「世界が終わっても音楽と愛が残る」
歌:大前恵子(★印)
演奏:やぎりんカルテート・リベルタ(1〜16)
 高橋泉(チェロ)
 藤枝貴子(アルパ)
 清永アツヨシ(ギター)
 八木倫明(ケーナとナイ)

演奏:やぎりんトリオ・ケルティカ(17〜18)
 田中麻里(アイリッシュハープ)
 清永アツヨシ(ギター)
 高橋泉(チェロ)【ゲスト】
 八木倫明(ケーナとアイリッシュフルート)

読み語り:河向貴子(5と7)

1. ガブリエルのオーボエ
  (E.モリコーネ作曲)
2. 『銀河鉄道の夜』〜白鳥の停車場
  (藤平慎太郎・作曲)
3. ふるさと銀河に還る★
  (E.モリコーネ作曲/やぎりん作詞)
4. あなたの肩を借りたら
 【You Raise Me Up】★
 (B.グラハム作詞/R.ロヴランド作曲/やぎりん訳詞)
5. [読み語り]
  パラグアイの先住民族グアラニーの伝説
6. チョグイ鳥 (パラグアイ民謡)
7. [読み語り]
 ニュージーランドの先住民族マオリの伝説
8. ポカレカレ・アーナ★
 (NZマオリ民謡/やぎりん日本語詞)
9. 鳥の歌 (カタルーニャ民謡)
10. 聖母の御子★ (カタルーニャ民謡)
11. 愛は花、君はその種子★
  (A.マックブルーム作詞作曲/高畑勲・訳詞)
12. アマポーラ (J.M.ラカーリェ作曲)
13. もう一度愛の言葉を[切れた絃]★
  (ロシア民謡/やぎりん訳詞)
14. 鶴★【ウクライナ名歌】
  (R.ガムザートフ作詞/Y.フレンケリ作曲/やぎりん訳詞)
15. ワルツ 切れた絃 (ロシア民謡)
16. 小さなオルゴール (ウニャ・ラモス作曲)
17. 思い出のサリーガーデン★
  (アイルランド民謡/やぎりん訳詞)
18. 広い河の岸辺★
 (スコットランド、イングランド民謡/やぎりん訳詞)
19. ムーン・ダンス (清永アツヨシ作曲)[ギター+ケーナ]

CD番号
LIBERTAD-CD8686 【¥2800+税】
◎お申し込みは、やぎりんへ
yagirin88@gmail.com
税送料込みで¥3000にいたします。
*******************

◎エッセイ『広い河の岸辺』
大変好評で、販売中ですドキドキ


クローバー必然と偶然が時を得て生み出した、
大いなる奇跡!
この歌は今後50年、
100年と歌い継がれて
日本の歴史に残るでしょう。
湯川れい子

本の表紙
ドキドキ やぎりんBOOK『広い河の岸辺』
(主婦と生活社)!!¥1000+消費税

コンドル合唱譜混声
やぎりん作詞《コンドルは飛んで行く》
やぎりん訳詞《つばめよ》
吉田桂子編曲
合唱譜が出版されました。
女声三部/混声三部の2種類。
それぞれに、易しい二部合唱の楽譜も
収録されています。
¥1300(+税)全音楽譜出版社


合唱譜女声
ドキドキやぎりん監修の合唱譜が発売(全音楽譜出版社)。
小川類・編曲
☆女声三部/二部
★☆混声三部/二部

《広い河の岸辺》(スコットランド民謡)
《思い出のサリーガーデン》(アイルランド民謡)

2曲セット。
定価¥1200(+消費税)


完成した絵本表紙
ドキドキ葉祥明さんの絵本(文:八木倫明)
『ひろいかわのきしべ』(国土社)
発売しました!!


絵本『ひろいかわのきしべ』推薦文の
帯付きは初版のみです。
クミコさんと湯川れい子さんの言葉が
載っています。

ドキドキクミコさん
いま世界にあってほしいと思うものが
この絵本の中にあります。それは
暗い空をてらす、希望の光です。

ドキドキ湯川れい子さん
この歌は、これからの時代に愛され、
その時代を踏み越えて、
未来に継承されていくと信じています。


クミコジャケ写
合唱のスコアもついた
《広い河の岸辺》CD
You Tubeには載っていない合唱バージョンが
このCDには収録されています。
女声合唱団「青い鳥」が素晴らしい演奏をしています。

★《広い河の岸辺》の本質
『小さな死』からの出発。
http://amba.to/1oBdnE3


★地球人が渡るべき河のこと
http://amba.to/1t0E3O6

***********************

「なにも知らない。なにもできない。
なにもない。
なのに、なにかを求めている。
自分の微力は、よく承知している。
とるに足りない才能についても自覚している。

でも、せっかく生まれて来たのだから
感動したい。共鳴したい。
おなじ心のひとに会いたい。

それがせめて
みじかい生命の軌跡の中で
ぼくらが望むものではないか。

ところであなたは・・・。


★『詩とメルヘン』サンリオ刊
1982年4月号編集後記やなせたかし
◎やなさたかしさんの限りない優しさ
*********************
★エーリッヒ・フロムの愛の論理と音楽