ボクがもう40年くらい見続けている
劇団『お伽座』(おとぎざ)。
ボクの人生を大きく変えた劇団でもある。

埼玉県寄居町鉢形にある、

お伽座のアトリエ公演。

6月11日(日)
6月18日(日)
6月24日(土)
6月25日(日) いずれも午後2時開演。
鉢形駅から徒歩7分くらいの場所です。

客席数60くらいの小劇場です。
ぜひご予約を。
(048)581-7449 劇団お伽座

エッセイ
人生変えた『お伽座』との出会い                     
劇団お伽座との出会いはボクの人生を変えた、
と言って過言ではありません。ボクの
音楽家としての生き方や表現に大きな影響を
与えてくれたからです。

台本を起こさない短編童話
例えば、宮澤賢治の短編童話。原作から
芝居の台本を書き起こすのではく、
賢治の書いた原文そのものがそのまま
台詞なのです。賢治の言葉には独特の響きと
固有の美しさがあり、
芝居にそれを生かすには、
まさに「これしかない」という
アイディアでした。

同じことを映画でやっても面白くないかも
しれません。
生身の役者が演じる芝居だからこそ、
もしかすると、
舞台と客席との隔たりがほとんどない
小劇場だからこそ、
「台本を作らない台本」が
生きたのかもしれません。

賢治の書いた言葉が、情景描写、オノマトペ、
ト書きにいたるまですべてが人の声として
立ち上がってくるのを聴いていると、
時には発見もあり、
新たな疑問が湧いたりします。
同じ演目を何度見ても飽きません。
また見たい!と今も思います。
その不思議な力はどこから来るのか?

厳しい制限と自由な発想
原作を尊重し原文を一文字も変えない、
という制限を自らに課す。
その厳しい縛りの中、
先入観にとらわれない自由な発想で、
賢治の言葉にどんな〈いのち〉を吹き込むか?
という工夫なのだと思います。
書かれた言葉の陰に潜むさまざまな奥行き。
黙読しただけでは読者が気づかない部分を
深く掘り起こして、情景描写を含めたすべての
文章を生き生きと躍動させるのです。

期待性と意外性のバランス
賢治ファンにとっては、紛れもない
賢治の言葉そのものを聴きます。その言葉が
役者の演技を伴って〈いのち〉を得て、
黙読から得るイメージをはるかに越えて
見る者を引き込んでいきます。漫画的に
デフォルメされたところでは思わず爆笑です。
原作を読む限りでは
笑えるところではありません。
「賢治さんは
こんなに笑えるものを書いたのだ」
と、多くの人は認識を新たにします。
賢治の言葉に秘められたユーモアを誇張して
役者に演じさせるからです。つまり、
原作どおりの言葉で賢治ファンの期待を
満足させながら、同時にその期待を心地よく、
潔く裏切る意外性がちりばめられています。
期待性と意外性が絶妙なバランスで
組み込まれているのです。これは
面白いもの、
美しいものに共通したバランスです。
期待どおりの表現ばかりでは飽きます。
意外性ばかりだと突拍子もないものになり、
大切なことが伝わりません。

換骨奪胎的な創作
このような
換骨奪胎的な手法やバランス感覚から、
ボクは大きな影響を受けました。
歴史に残る名曲の旋律をそのまま使って、
出来るだけ自由な発想でアレンジして
演奏するやり方です。よく知られた曲が、
初めて聴くサウンドやリズムで
流れ出すのです。
期待の名曲が意外な編曲で
聞こえてくる面白さ。
この意外性で大切なのは、
尖った個性ではなく、
あくまでも心地よく
潔い個性でなければなりません。

スコットランド民謡の名曲
“The Water Is Wide”を
《広い河の岸辺》としてボクが訳して、
クミコさんの歌によって広まりましたが、
これもお伽座から学んだ表現方法のお陰です。
300年以上愛されてきた歌詞を
出来るだけ忠実に
日本語に移す仕事。それは
短歌を詠むように本音で、
俳句を詠むようにありのままに、
旋律に乗って自然に流れる言葉を
紡ぎ出す仕事です。
有名な英語の歌が
初めて聴く意味深い日本語で唄われ、
聴かれることで、
期待性と意外性のバランスがとれたのです。

魔法のような音楽の使い方
同じ宮澤賢治でも『銀河鉄道の夜』のような
長編童話の場合は、原作のままで台本にする
わけにはいきません。
しかしそこでもボクの心を
完璧にとらえる魔法のような
脚本と演出がありました。
それは音楽の存在です。
賢治はアマチュアながら
音楽家的な素養があった人で、
彼の詩や童話の背景には音楽が流れている、
と感じることがあります。
『銀河鉄道の夜』もそんな作品のひとつ。

お伽座芝居の劇中歌は、
単独の音楽作品としても実に見事でした。
時にはミュージカルのように
歌と踊りが一体となって見る者を
ワクワクさせ、
時には心にしみる言葉と旋律で聴く者の
心をとらえます。童話の中の賢治の言葉を
そのまま歌詞にしたものもあれば、
原作から発展した言葉遊びのような歌もあり、
歌詞も曲も、銀河鉄道の世界を
見事に創り上げていました。
伴奏は舞台上の役者が弾くギター1本という
素朴なサウンドで、物語のさまざま場面と
賢治的な幻想的心象風景を豊かに表現する
音楽と演出は「見事!」のひと言に尽きます。

原作を越える演出の謎
長い物語をバッサバサと切って
2時間の芝居にした場合、大抵は
「やっぱり原作にはかなわない」という感想が
大半です。それは長さだけではなく、
主人公のイメージや物語の運びの問題であり、
人気小説を映画化した場合と同じです。
読者の想像力を越えられないのです。
しかし、お伽座の表現方法は違っていました。
限られた空間、予算にも関わらず、
大金をかけた映画にもできないようなことを
サラリとやっています。
原作を愛する人が観て、
作品の持つ奥行きに気づき、
原作と違う部分があっても
納得してしまうのです。
ある意味、原作を越えています。
なぜそれが出来るのか?
座長の関本三芳さんの
演出の才能と言ってしまえば、
正にそのとおりですが、
その演出力の源泉は何だったのか?
ボクにとってはずっと謎のまま。
謎だから面白い。
ひとつ言えるのは、原作に対する愛着と、
その掘り下げ方の深さだったと思います。

本当のモモに出会ったような・・・
初めてお伽座を観たときの作品は『モモ』。
1983年、ボクは25歳。
ミヒャエル・エンデの『モモ』を読んで
面白がっていた頃、 
アパートの近くで『モモ』を
上演する劇団があると知って出かけたのです。
長編児童文学をどんなふうに
2時間にまとめるのか?
観てがっかりするんじゃないか?と
不安と期待で観に行きました。
中板橋にあった芝居小屋は、
手作り感満載の小さな劇場で、客席数は50。
なんだかワクワクする空間でした。

芝居が始まってまもなく、観る前の不安は
すっかり吹っ飛び、ボクがイメージしていた
『モモ』の世界と全く違和感がなく、
グイグイ引き込まれました。
目の前にいるのは、
本ものモモに思えました。
狭い空間をフルに使って立ち回る
灰色の男たちの迫力、マイスター・ホラが
「時間とは何か?」という哲学的な問答を
モモに問いかけるところの
幻想的なシーンなど、
ボクの期待をはるかに越えて
表現されていました。
「すごいものに出会った!」と思いました。
劇団四季が大劇場で上演する商業演劇とは
全く別の世界で、しかもそういう演劇を
はるかに凌ぐ表現力をこんな小さな劇団が
持っていることに驚きました。

不思議な説得力
賢治の短編童話をそのまま台詞にして
上演するのも、
『銀河・・・』や『モモ』のように
長編を縮めて台本を起こして上演するのも、
共通なのは、原作の重視。
違った要素を入れ込んでも、
原作を愛する人々が観て納得してしまう
説得力のある作り方。
期待や予想を潔くくつがえして、
観る者をお伽座ワールドにいつのまにか
引きずり込んでしまう、不思議劇団。
原作に込められた哲学が
浮き彫りにされるので、
読書で氣づかなかったことに
氣づかせてくれます。

お伽座的こころに学ぶ
ボクが、世界各地で愛される民謡や愛唱歌を
オリジナルなアレンジで演奏し、あるいは
原曲の精神に沿う訳詞で発表し続けて、
それを使命にしてこられたのは、
お伽座に学んだ心があるからです。
有名曲に新しい〈いのち〉を
吹き込むボクの仕事は、
原作を大切にし、そこに
新しい価値観をプラスしていく
お伽座精神そのものです。
若いときにボクは、
お伽座と大変幸せな出会いをしたのです。  
(やぎりんめい/ケーナ奏者、作詞家)

スコットランド民謡《ナナカマドの木》
やぎりん訳詞《ふるさとのナナカマド》
合唱化計画

■ご支援金 1口 2000円。ご支援者には
1口につき2冊の楽譜をお送りいたします。
■期間:2023年10月末日まで(目標40万円)
10月下旬、楽譜発送予定
■受付口座 
◎郵便振替口座 00180-2-612135 
八木倫明(ヤギリンメイ)
ご送金の際には通信欄に「ナナカマド支援」と
ご記入をお願いします。

◎三菱UFJ銀行 高田馬場支店 
普通 0051411 八木倫明

◎三井住友銀行 光が丘支店 
普通 0724543 
地球音楽工房代表 八木倫明

銀行の場合、明細が不明ですので
お振込みの前後にEメール、
お電話などでご連絡お願いします。
■連絡先 yagirin88@gmail.com
080-5379-4929【やぎりん】年中夢求♪


★自由の風支援金募集♪
1口¥3000のご支援で8月の日暮里公演を
記録したCDまたはDVDを御礼にいたします。
郵便振替口座00180-2-612135八木倫明
通信欄に「自由の風支援」「CD希望」
または「DVD希望」とご記入ください。


《ラピュタ・シチリアーナ》動画リンク先

https://youtu.be/Odu3pM_cUfo

◆ご訪問ありがとうございます。このブログを
訪ねて下さった方々の幸運を祈ります。




大好評♪絶賛出版♪
やぎりん(文)+小澤一雄(絵)
絵本『わくわくオーケストラ楽器物語』
(ポトス出版)¥1800(+税)



6月19日(月)喫茶Roダん 読み語り音楽会


6月25日(日)笑福亭里光 亀有落語会


やぎりんカルテート・リベルタ札幌公演
7月22日(土)午後1:00 札幌市民交流プラザ


やぎりんカルテート・リベルタ遠軽公演
7月23日(日)午後2:30
遠軽町芸術文化交流プラザ小ホール


■やぎりんカルテート・リベルタ♪
自由の風 平和音楽会 2023年8月3日(木)
昼の部 午後2:00開演
夜の部 午後6:30開演
日暮里サニーホールコンサートサロン


■やぎりんカルテート・リベルタ♪
自由の風 福島公演
2023年8月18日(金)午後6:00
福島市アクティブシニアセンターAOZ
4階 多目的ホール


■やぎりんカルテート・リベルタ♪
第5回 広い河の岸辺コンサート♪白鷹
2023年8月19日(土)午後4:00
白鷹町文化交流センターあゆーむ
■やぎりんカルテート・リベルタ♪
第5回 広い河の岸辺コンサート♪山形
2023年8月20日(日)午後1:00
やまぎん県民ホール スタジオ1



天使と悪魔の絶望名歌集
「世界が終わっても音楽と愛が残る」
歌:大前恵子(★印)
演奏:やぎりんカルテート・リベルタ(1〜16)
 高橋泉(チェロ)
 藤枝貴子(アルパ)
 清永アツヨシ(ギター)
 八木倫明(ケーナとナイ)

演奏:やぎりんトリオ・ケルティカ(17〜18)
 田中麻里(アイリッシュハープ)
 清永アツヨシ(ギター)
 高橋泉(チェロ)【ゲスト】
 八木倫明(ケーナとアイリッシュフルート)

読み語り:河向貴子(5と7)

1. ガブリエルのオーボエ
  (E.モリコーネ作曲)
2. 『銀河鉄道の夜』〜白鳥の停車場
  (藤平慎太郎・作曲)
3. ふるさと銀河に還る★
  (E.モリコーネ作曲/やぎりん作詞)
4. あなたの肩を借りたら
 【You Raise Me Up】★
 (B.グラハム作詞/R.ロヴランド作曲/やぎりん訳詞)
5. [読み語り]
  パラグアイの先住民族グアラニーの伝説
6. チョグイ鳥 (パラグアイ民謡)
7. [読み語り]
 ニュージーランドの先住民族マオリの伝説
8. ポカレカレ・アーナ★
 (NZマオリ民謡/やぎりん日本語詞)
9. 鳥の歌 (カタルーニャ民謡)
10. 聖母の御子★ (カタルーニャ民謡)
11. 愛は花、君はその種子★
  (A.マックブルーム作詞作曲/高畑勲・訳詞)
12. アマポーラ (J.M.ラカーリェ作曲)
13. もう一度愛の言葉を[切れた絃]★
  (ロシア民謡/やぎりん訳詞)
14. 鶴★【ウクライナ名歌】
  (R.ガムザートフ作詞/Y.フレンケリ作曲/やぎりん訳詞)
15. ワルツ 切れた絃 (ロシア民謡)
16. 小さなオルゴール (ウニャ・ラモス作曲)
17. 思い出のサリーガーデン★
  (アイルランド民謡/やぎりん訳詞)
18. 広い河の岸辺★
 (スコットランド、イングランド民謡/やぎりん訳詞)
19. ムーン・ダンス (清永アツヨシ作曲)[ギター+ケーナ]

CD番号
LIBERTAD-CD8686 【¥2800+税】
◎お申し込みは、やぎりんへ
yagirin88@gmail.com
税送料込みで¥3000にいたします。
*******************

◎エッセイ『広い河の岸辺』
大変好評で、販売中ですドキドキ


クローバー必然と偶然が時を得て生み出した、
大いなる奇跡!
この歌は今後50年、
100年と歌い継がれて
日本の歴史に残るでしょう。
湯川れい子

本の表紙
ドキドキ やぎりんBOOK『広い河の岸辺』
(主婦と生活社)!!¥1000+消費税

コンドル合唱譜混声
やぎりん作詞《コンドルは飛んで行く》
やぎりん訳詞《つばめよ》
吉田桂子編曲
合唱譜が出版されました。
女声三部/混声三部の2種類。
それぞれに、易しい二部合唱の楽譜も
収録されています。
¥1300(+税)全音楽譜出版社


合唱譜女声
ドキドキやぎりん監修の合唱譜が発売(全音楽譜出版社)。
小川類・編曲
☆女声三部/二部
★☆混声三部/二部

《広い河の岸辺》(スコットランド民謡)
《思い出のサリーガーデン》(アイルランド民謡)

2曲セット。
定価¥1200(+消費税)


完成した絵本表紙
ドキドキ葉祥明さんの絵本(文:八木倫明)
『ひろいかわのきしべ』(国土社)
発売しました!!


絵本『ひろいかわのきしべ』推薦文の
帯付きは初版のみです。
クミコさんと湯川れい子さんの言葉が
載っています。

ドキドキクミコさん
いま世界にあってほしいと思うものが
この絵本の中にあります。それは
暗い空をてらす、希望の光です。

ドキドキ湯川れい子さん
この歌は、これからの時代に愛され、
その時代を踏み越えて、
未来に継承されていくと信じています。


クミコジャケ写
合唱のスコアもついた
《広い河の岸辺》CD
You Tubeには載っていない合唱バージョンが
このCDには収録されています。
女声合唱団「青い鳥」が素晴らしい演奏をしています。

★《広い河の岸辺》の本質
『小さな死』からの出発。
http://amba.to/1oBdnE3


★地球人が渡るべき河のこと
http://amba.to/1t0E3O6

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「なにも知らない。なにもできない。
なにもない。
なのに、なにかを求めている。
自分の微力は、よく承知している。
とるに足りない才能についても自覚している。

でも、せっかく生まれて来たのだから
感動したい。共鳴したい。
おなじ心のひとに会いたい。

それがせめて
みじかい生命の軌跡の中で
ぼくらが望むものではないか。

ところであなたは・・・。


★『詩とメルヘン』サンリオ刊
1982年4月号編集後記やなせたかし
◎やなさたかしさんの限りない優しさ
*********************
★エーリッヒ・フロムの愛の論理と音楽