西暦謹賀新年2023
太陰太陽暦の元日は1月22日(日)です。

音楽家にとっての音楽は「使命」
コロナ騒動の中、音楽が、世の中に
「なくてもよい仕事」に分類されて3年。
なくてもよい仕事を続けることは、
どういう意味を持つのか?
哲学的な命題に向き合ってきました。
「なくてもよい仕事」は「仕事」と言えるのか? 
世の中に本当に要らない仕事なのか?
考えに考えました。哲学者のように。
そして3年でひとつの結論に達しました。

音楽家にとって音楽は仕事ではなく、
「生き方」だと。
生き方とは、
自分の「命の使い方」でもあります。
つまり、音楽は仕事でなく、
「使命」なのだと。

「命の使い方」を「時間の使い方」と
言い換えると、ミヒャエル・エンデの名作
『モモ』の中の、
マイスター・ホラ(時間の司祭)とモモの

対話の中に答えが見つかります。


音楽が、今生きる人々にとって
「なくてもよい仕事」であることを認めて、
ではなぜそれを続けるのか?
それは意味があるのか?という
問いが湧いてきます。

世の中になくてもよいことをして生きるのは、
それが「使命」だから。

ベートーヴェンとビートルズ
ベートーヴェンは偉大な作曲家・音楽家ですが、
その同時代には、やはり「不要不急」の
仕事をしていたといえます。
ベートーヴェンの音楽を聴かずとも
幸せに生きていた人が
たくさんいたでしょう。
しかし、
永遠の命を持つ音楽を生み出す藝術家は、
その死後に楽譜から再現演奏された音楽を
聴いた人にも、計り知れない
感動や影響をもたらします。
永遠の命を持つので、数え切れない人々に
感動がゆきわたります。だから
永遠の命を持つ音楽は
未来のために必要なのです。

「仕事」は今の人のために必要。
「使命」は未来の人のため。

もっと最近のことでたとえると、
ビートルズがあります。
ビートルズと同じ世代の、現在
70代半ばの音楽好きの人たちが、みな
ビートルズに夢中になっていたわけではない
ということ。
ビートルズを聴かずして、幸せに生きてきた
70代の方々は多いでしょう。
ビートルズでさえも
同時代の人々には「不要不急」だったのです。

ベートーヴェンの死後、あるいは
ビートルズの解散後、
ジョン・レノンの死後、
彼らの作品や業績は数え切れない人々に
強い影響をもたらしてきました。

「仕事」でなく「使命」
つまり、
永遠の命を持つ音楽を生み出すことが
音楽家の「使命」であり、それは
同時代に「不要不急」の「仕事」でも、
未来の人々のために、
なくてはならない「使命」を果たす
ということです。
そういう作品を世に出さないといけない
ということです。
ボクらが奏でる音楽のいくつかは必ず
100年後に残る、
永遠の命を持つ作品群です。
ボクは責任を持ってそういう音楽を
世に送り出してきました。
だから
今この音楽を聴く人は、
未来人の思考回路を持つ人なのだと思います。

「音楽は何のため?」
ベートーヴェンは
10歳で師事したネーフェ先生から
「音楽は世の中を良くするためにある」と学び、
そのためには
音楽には、人の心を激しく突き動かす
エネルギーや情熱が
盛り込まれなければならない。
広い教養に裏付けられた
深い内容がなければならない」と確信しました。

聴覚を失ったベートーヴェンのように、
永遠の命を持つ名歌・名曲の多くは
絶望から生み出されました。

コロナ騒動の絶望感の中にあってボクは
そのことに氣づき、ここにいる音楽家はみな、
その絶望の中から独自のものを
創造したのです。

絶望から生まれる名曲
レパートリーとして採り上げる名曲は、
絶望から生み出されて、
永遠の命を持つ作品になり、そこに
やぎりんオリジナルの新しい訳詞、

新しい編曲が施されました。


今回は、

麻衣さんの歌として
おおたか静流(しずる)作詞作曲の
《日記》DIARY
〜アンネ・フランクに捧ぐ〜

をお送りします。
おおたか静流さんは、ことし9月5日に
69歳で亡くなりました。
ご冥福をお祈りします。
彼女の作品のなかで
ボクが大好きな歌を後世に伝えたい。
歌い継ぐのはボクらかな..... と思うのです。

ヒット曲ではありませんので、
ご本人が亡くなると
誰も歌わない可能性もあります。
誰かが歌い継がないと後世に残りません。
むかしボクは
彼女のコンサートを追っかけていました。
前世紀末(1990年代)のことです。
独特な感性と才能を持った歌い手でした。
こんなに早く逝くとは.......
大変残念です。

「明日も私でいられるように」
「さよならわたしの大切な人たち」
「こんど来るときは鳥になりたいな
自由の翼に風を受けて」などの歌詞に
強制収容所で15歳で亡くなったアンネの
生きることへの想いと、
自由と平和の切なる希いが表現されていて
胸を打ちます。
**********************************
胸の奥にある 秘密の隠れ家
わたしの世界に 遊びに来て
春にいちばんの 花が咲いているよ
どんなときも 笑顔忘れないよ
思い出の針が 動き始めたら
静かにページを開けてみよう

友だちのことや ふるさとの話
ほんのささやかな 出来事から
生まれて初めて 燃えるような恋も
つづる心 長い長い夜に
愛のひと文字が 勇氣をくれたよ
明日も私で いられるように

さよならわたしの 大切な人たち
たったひとり 決めた恋人
こんど来るときは 鳥になりたいな
自由の翼に 風を受けて
***********************************
アンネの15年という短い人生の中で出会った
人たちへの感謝の心。そして
自由への憧れに涙が出ます。

ボクらのレパートリーの多くは
100年、200年あるいは300年と
歌い継がれてきた名歌・名曲がほとんどです。
または、歌い継がれていくと思われる曲。
時代を超え、異文化の壁を超えて
歌い継がれる曲には、
計り知れない力があります。
そういう名歌・名曲は絶望から生まれました。
アンネの日記が読み継がれるのは、
抗い難い絶望が迫ってくるときにも
周りの人への信頼や希望を失わなかったから
ではないでしょうか.....

絶望名歌の数々
《広い河の岸辺》も
「渡れない」「愛が色あせる」
「舟が沈みかける」という絶望の現実を
どう生きるか? という歌です。

《あなたの肩を借りたら》You Raise Me Up は
体も心も疲れ果てるほどの絶望感から
あなたの肩を借りて立ち直ることを唄います。
助け合いの歌とも言えます。
つらかったら助けを求めてよいのです。

《アメイジング・グレイス》は、
嵐に難破しかけた奴隷運搬船の船長が、
絶望的な状況で初めて神に祈って、助かった
という体験から生まれた賛美歌です。
その船長ジョン・ニュートンは、その後
回心して牧師になりました。

《愛は花、君はその種子》The Rose は
孤独を生き抜くための歌です。
孤独は決して絶望じゃないことを歌っています。
愛されるのを待つのでなく
自ら愛しなさい❣️と。
作者のアマンダさんは、孤独な
シンガーソングライターだったのでしょう。

「世界が終わっても、
 音楽と愛が残る」

世界の終わりのような絶望の時代にも
音楽と愛だけがのこる......という
スコットランド、セントキルダ諸島の
言い伝えに、このコロナ騒動の中でボクは
大いに励まされました。
音楽は愛と同列だという認識は
音楽家にとって
大いに大切にされなくてはなりません。

小さなことに大きな愛を込める
マザー・テレサの言葉
「大切なのは
大きなことを成し遂げるのでなく
小さなことにどれだけ
大きな愛を込めるかです」

宗次徳二さんの言葉
(名古屋・宗次ホール支配人/CoCo壱番屋創業者)
「利益の少ない仕事にこそ
 感謝の氣持ちを込めよ」

コロナ騒動が始まってまもなく3年。
「利益が少ない」どころか、毎回
10万〜20万円の赤字を出しながらの公演ですが
コンサートを開催できること、一人でも
それを楽しみにして下さるお客様がいることは
大変幸せなことです。
続けることが新しい意味を生み出すでしょう。
 

このブログを書いている1月3日現在で、

お客様の人数は

東京昼の部が19人、夜の部が4人、
川越が27人、千葉が22人です。
3年間の累積赤字も100万円近くにのぼります。
それでも奇跡的に健康で暮らし、
コンサートを続けてこられたのは、
会場に足を運んでくださる人がゼロではなく、
お客様方の拍手や笑顔にボクらが
励まされているからです。

欠席でもご支援のお志を送ってくださる
方々も少なくありません。
この音楽がなくならないほうが良いと
思ってくださる方々が少なからず
いらっしゃることに励まされています。

世界的な名歌名曲をもとにした
ここにしかない音楽があります。
激動の歴史を生き抜いて
永遠の命を持つ名歌名曲があります。
それは
今を生きる人に知られていなくても、
未来の人に必要なのです。

たとえば、
エディソンの発明という「仕事」は
その同時代には
「なくてもいい」仕事だった。
エディソンと同時代の人々は
電球も録音機もなくて楽しく暮らしていた。
でも未来の人が必要とした。
エディソンは、仕事ではなく
使命を果たしながら生きていた。
未来に必要とされるものを生み出す人
(使命を生きる人)は、
ほぼ例外なく
生きている時には変人扱いだった。
ガリレオもね😊
使命を生きるとはそういうことか。

「なくてもよい」ものに分類されても
使命を全うしていきます。(やぎりん)


《ラピュタ・シチリアーナ》動画リンク先

https://youtu.be/Odu3pM_cUfo

コロナ騒動もまもなく3年。
赤字のコンサートが続いています。
御支援金一口¥3000ご寄付の方に
2月の千葉公演の模様を録画したDVDを
1枚御礼といたします。
CDご希望の方々には
ライブのCDも作ります。
「自由の風支援」通信欄に書いて
お振り込みお願いいたします。
CDご希望の方は「CD希望」とお書き下さい。
★郵便振替口座
00180-2-612135 八木倫明

★銀行口座にお振り込みの場合は明細不明と
なりますのでお振り込みの後に
メールでご連絡ください。
yagirin88@gmail.com
◎三菱UFJ銀行高田馬場支店
普通0051411八木倫明(ヤギリンメイ)

◎三井住友銀行光が丘支店
普通0724543 地球音楽工房 代表
八木倫明(ヤギリンメイ)

◆ご訪問ありがとうございます。このブログを
訪ねて下さった方々の幸運を祈ります。




大好評♪絶賛出版♪
やぎりん(文)+小澤一雄(絵)
絵本『わくわくオーケストラ楽器物語』
(ポトス出版)¥1800(+税)



やぎりんトリオ・リベルタ×渡辺麻衣
2023冬 自由の風コンサート♪
横浜〜東京(日暮里)〜川越〜千葉
yagirin88@gmail.com


亀有落語会/読み語り音楽会♪
2023年1月、2月、3月


やぎりんトリオ・リベルタ自由の風
小平公演
2023年2月20日(月)2:00
ルネこだいら中ホール
全席指定¥1500



やぎりんトリオ・ケルティカ×大前恵子
読み語り:河向貴子(かわむかいとーこ)
第7回セントパトリックデイ・コンサート
2023年
3月11日(土)午後7:00 アミュゼ柏
3月17日(日)午後2:00 /6:30(昼夜2公演)
日暮里サニーホール コンサートサロン


2023年4月16日(日)2:00
立川市女性総合センター アイムホール
金子みすゞ生誕120年
こころの鈴の音コンサート♪
全席指定¥2500 学生¥1000
1月26日発売



天使と悪魔の絶望名歌集
「世界が終わっても音楽と愛が残る」
歌:大前恵子(★印)
演奏:やぎりんカルテート・リベルタ(1〜16)
 高橋泉(チェロ)
 藤枝貴子(アルパ)
 清永アツヨシ(ギター)
 八木倫明(ケーナとナイ)

演奏:やぎりんトリオ・ケルティカ(17〜18)
 田中麻里(アイリッシュハープ)
 清永アツヨシ(ギター)
 高橋泉(チェロ)【ゲスト】
 八木倫明(ケーナとアイリッシュフルート)

読み語り:河向貴子(5と7)

1. ガブリエルのオーボエ
  (E.モリコーネ作曲)
2. 『銀河鉄道の夜』〜白鳥の停車場
  (藤平慎太郎・作曲)
3. ふるさと銀河に還る★
  (E.モリコーネ作曲/やぎりん作詞)
4. あなたの肩を借りたら
 【You Raise Me Up】★
 (B.グラハム作詞/R.ロヴランド作曲/やぎりん訳詞)
5. [読み語り]
  パラグアイの先住民族グアラニーの伝説
6. チョグイ鳥 (パラグアイ民謡)
7. [読み語り]
 ニュージーランドの先住民族マオリの伝説
8. ポカレカレ・アーナ★
 (NZマオリ民謡/やぎりん日本語詞)
9. 鳥の歌 (カタルーニャ民謡)
10. 聖母の御子★ (カタルーニャ民謡)
11. 愛は花、君はその種子★
  (A.マックブルーム作詞作曲/高畑勲・訳詞)
12. アマポーラ (J.M.ラカーリェ作曲)
13. もう一度愛の言葉を[切れた絃]★
  (ロシア民謡/やぎりん訳詞)
14. 鶴★
  (R.ガムザートフ作詞/Y.フレンケリ作曲/やぎりん訳詞)
15. ワルツ 切れた絃 (ロシア民謡)
16. 小さなオルゴール (ウニャ・ラモス作曲)
17. 思い出のサリーガーデン★
  (アイルランド民謡/やぎりん訳詞)
18. 広い河の岸辺★
 (スコットランド、イングランド民謡/やぎりん訳詞)
19. ムーン・ダンス (清永アツヨシ作曲)[ギター+ケーナ]

CD番号
LIBERTAD-CD8686 【¥2800+税】
◎お申し込みは、やぎりんへ
yagirin88@gmail.com
税送料込みで¥3000にいたします。
*******************

◎エッセイ『広い河の岸辺』
大変好評で、販売中ですドキドキ


クローバー必然と偶然が時を得て生み出した、
大いなる奇跡!
この歌は今後50年、
100年と歌い継がれて
日本の歴史に残るでしょう。
湯川れい子

本の表紙
ドキドキ やぎりんBOOK『広い河の岸辺』
(主婦と生活社)!!¥1000+消費税

コンドル合唱譜混声
やぎりん作詞《コンドルは飛んで行く》
やぎりん訳詞《つばめよ》
吉田桂子編曲
合唱譜が出版されました。
女声三部/混声三部の2種類。
それぞれに、易しい二部合唱の楽譜も
収録されています。
¥1300(+税)全音楽譜出版社


合唱譜女声
ドキドキやぎりん監修の合唱譜が発売(全音楽譜出版社)。
小川類・編曲
☆女声三部/二部
★☆混声三部/二部

《広い河の岸辺》(スコットランド民謡)
《思い出のサリーガーデン》(アイルランド民謡)

2曲セット。
定価¥1200(+消費税)


完成した絵本表紙
ドキドキ葉祥明さんの絵本(文:八木倫明)
『ひろいかわのきしべ』(国土社)
発売しました!!


絵本『ひろいかわのきしべ』推薦文の
帯付きは初版のみです。
クミコさんと湯川れい子さんの言葉が
載っています。

ドキドキクミコさん
いま世界にあってほしいと思うものが
この絵本の中にあります。それは
暗い空をてらす、希望の光です。

ドキドキ湯川れい子さん
この歌は、これからの時代に愛され、
その時代を踏み越えて、
未来に継承されていくと信じています。


クミコジャケ写
合唱のスコアもついた
《広い河の岸辺》CD
You Tubeには載っていない合唱バージョンが
このCDには収録されています。
女声合唱団「青い鳥」が素晴らしい演奏をしています。

★《広い河の岸辺》の本質
『小さな死』からの出発。
http://amba.to/1oBdnE3


★地球人が渡るべき河のこと
http://amba.to/1t0E3O6

***********************

「なにも知らない。なにもできない。
なにもない。
なのに、なにかを求めている。
自分の微力は、よく承知している。
とるに足りない才能についても自覚している。

でも、せっかく生まれて来たのだから
感動したい。共鳴したい。
おなじ心のひとに会いたい。

それがせめて
みじかい生命の軌跡の中で
ぼくらが望むものではないか。

ところであなたは・・・。


★『詩とメルヘン』サンリオ刊
1982年4月号編集後記やなせたかし
◎やなさたかしさんの限りない優しさ
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★エーリッヒ・フロムの愛の論理と音楽