ポール・ゴーギャンの
生涯最後の大作・・・・そのタイトルは
『われら何処(いずこ)より来たるや?
 われら何者なるや?
 われら何処へ行くや?』

これは、パリ生まれで
南太平洋のタヒチで活躍した画家
ポール・ゴーギャン(1848ー1903)の
人生最後の大作です。

彼は病苦と生活苦と孤独の絶望状態で
この絵を描き上げ、署名した後
大量のヒ素を飲み、死のうとしました。

結局自殺未遂に終わりましたが、
決死の覚悟で描いた傑作のテーマが
「われわれはどこから来たのか、
われわれは何者か、
われわれはどこに行くのか」
だったのです。

この画題は、きのうのブログに書いた
ボクの愛読書
『世界でいちばん美しい物語』の
前書きと同じなのです。

*****************
私たちはいったい何者なのか。
どこからやってきて
どこへ行こうとしているのか。
このような問いこそまさしく
問うに値する問いである。
夜空に瞬く星や
寄せては返す波を眺めながら、
あるいは、一人の女のまなざしや
生まれたばかりの子のほほえみの中に、
私たちは誰しも自分なりに
そうした問いに対する答えを探し求めてきた。
何のために生きているのか。
なぜ世界は存在するのか。
なぜ私たちはここにいるのか。

これまではただ宗教や信仰だけが答えを
与えてくれていたが、今日では
科学もまた独自の考えを持つようになった。
これはおそらく20世紀における最大の
成果の一つであって、今や科学は
私たちの起源に関して欠くところのない
完全な物語を手にしている。
科学はこの世界の歴史を復元したのだ。

では、科学は
いったいどのような驚くべき事実を
明らかにしたのか。
それは150億年前からずっと同じ
一つの冒険が続いており、
宇宙と生命と人類とをあたかも長大な
叙事詩の各章のように結びつけている、
ということだ。
ビッグバンから知性に至るまで
同じ一つの進化の過程が進行し、
素粒子、原子、分子、星、細胞、有機体、
生物さらにはこの人間という
奇妙な動物へと、より複雑性が増す方向へ
進んでいる。

すべてが同じ鎖でつながれ、
同じ運動によって引き起こされている。
私たちは
サルやバクテリアの子孫だが、また
星や銀河の子孫でもある。
私たちの体を構成する物質はかつて
宇宙を作り上げた物質にほかならない。
私たちはまさしく星の子なのだ。

(後略)

ドミニク・シモネ
『世界でいちばん美しい物語』
プロローグより(筑摩書房1998年刊)
*******************

この前書きを書いた
ドミニク・シモネさんは間違いなく
このゴーギャンの究極の問いを
意識していたでしょう。

「私たちはいったい何者なのか。
どこからやってきて
どこへ行こうとしているのか。
このような問いこそまさしく
問うに値する問いである」(ドミニク・シモネ)

フランスの画家ゴーギャンの
生涯の大作のタイトルが、
その後のフランス人の人生哲学にとって
究極の問いになっていることは
よく理解できます。

しかし、その700年くらい前に
日本の歌人、随筆家の
鴨長明(かものちょうめい)が
『方丈記』の冒頭に
この問いを明確に記しています。

鴨長明
★鴨長明(1155ー1216)
平安時代末期の生まれ。
鎌倉時代初期の歌人、随筆家

『方丈記』冒頭

ゆく河の流れは絶えずして、
しかももとの水にあらず。
よどみに浮かぶうたかたは、
かつ消えかつ結びて、
久しくとどまりたるためしなし。
世の中にある人とすみかと、
またかくのごとし。(中略)  
朝に死に、夕べに生まるるならひ、
ただ水のあわにぞ似たりける。
知らず、生まれ死ぬる人、
いづかたより来たりて、
いづかたへか去る。


おそらくこれは、
人類が言葉を獲得して以来の
最も根源的な「問い」なのです。

“The Water Is Wide” という
スコットランド/イングランド民謡を
《広い河の岸辺》というタイトルで
翻訳したボクにとって
この『方丈記』の冒頭は、
ずっしりとのしかかってくる
人生と音楽のテーマそのもの。

「絶えずして」という、いわゆる
変わらすに継続していくもの。
「もとの水にあらず」という
変わるもの。

変わらずに続くものと変わるもの。
この二つの流れが同時進行しているのが
『方丈記』の冒頭のテーマです。
無常でありながら、その中にある
決して変わらない何か・・・。

移りゆくものの中で、変わらない
真善美。

すべての芸術はそれを求めているような
気がします。

英語が日本語に変わっても
歌詞に込められた普遍性があり、それをボクは
表現しなくてはなりません。

時代や国境を越えて、環境が変わっても
何百年と続いて、残っていくもの。
すこしずつ変わりながら続いていくもの。
それが本物なのでしょう。
ボクは《広い河の岸辺》以来、
幸運にもそういう名歌に次々に出逢い、
100年後にも誰かが唄ってくれるように
言葉を選んで
日本語の歌詞を書くことができました。

新型コロナの「自粛中」は、そういう
創作の時間でした。
それを支えて下さったのはお客様のご支援です。
コロナ騒動でのボクの絶望感なんか、
ゴーギャンの苦悩と絶望に比べたら
取るに足らないものでした。



ただいま、
藤枝貴子(アルパ)
高橋泉(チェロ)
清永アツヨシ(ギター)
田中麻里(アイリッシュハープ)
八木倫明(ケーナとナイ)そして
大前恵子(歌)によって
新しいCD
天使と悪魔のアルバム「絶望名歌集」の
レコーディングが進行中。


◉1回に10万円〜20万円くらいの
赤字の出るコンサートが
2年も続いています。
赤字穴埋めのため(公演継続のため)、
2022年3月6日の
自由の風コンサート千葉公演を記録した
DVDまたはCDを、
ご寄付下さった方々への御礼にいたします。
ご支援金1口¥3000 で
ディスクを1枚お送りします。
自由の風コンサートのチケットをお求めの方は
1口¥2000です。
★ご支援金お振り込み先
◎郵便振替口座
00180-2-612135 八木倫明
通信欄に『千葉支援』とお書き下さい。
よろしくお願いします。

銀行口座にお振り込みの場合は明細不明と
なりますのでお振り込みの後に
メールでご連絡ください。
yagirin88@gmail.com
◎三菱UFJ銀行高田馬場支店
普通0051411八木倫明(ヤギリンメイ)

◎三井住友銀行光が丘支店
普通0724543 地球音楽工房 代表
八木倫明(ヤギリンメイ)


★ご訪問ありがとうございます。このブログを
訪ねて下さった方々の幸運を祈ります。
(幸運の女神のともだち、やぎりん)

★九条が平和を守ってきた証拠


クローバーこのブログを訪ねて下さった方々が
幸運に恵まれますように、祈っています虹ドキドキ



大好評♪絶賛出版♪
やぎりん(文)+小澤一雄(絵)
絵本『わくわくオーケストラ楽器物語』
(ポトス出版)¥1800(+税)


自由の風コンサート 千葉公演♪

★2022年3月6日(日)
午後2:00開演(4時終演)
千葉市美浜文化ホール
音楽ホール(定員150)臨時定員75人
京葉線検見川浜駅徒歩7分。
●公演開催協力券(全指定席)
一般¥4000 学生¥500
会員¥3000(手紙届く方)

セントパトリック・デイ・コンサート♪

2022年3月18日(金)
昼の部2:00開演
夜の部6:30開演
日暮里サニーホール コンサートサロン

1月30日のRoダん落語会、
2月27日のRoダん読み語りアイリッシュコンサートは
お店の判断で中止となりました。

★笑福亭里光 Roダん落語会
2022年3月27日(日)1:30の部/3:30の部
一橋学園駅北口30秒
喫茶Roダん


春の立川スペシャルコンサート♪2022
4月17日(日)午後2:00
立川市女性総合センター アイムホール
全席指定 臨時定員98席限り¥2500
1月27日 一般発売♪
yagirin88@gmail.com(やぎりん)


大前恵子×木星音楽団 セカンド・アルバム
鳥たちの詩、海の詩

1.くじらの子守歌
小笠原育美・作曲/相馬邦子・編曲
2.海はふるさと【大海啊故郷】
王立平・作詞作曲/やぎりん訳詞
3.浜辺の歌
林古渓・作詞/成田為三・作曲
4.アメイジング・グレイス
英国賛美歌
5.ロッホ・ローモンド
スコットランド民謡/相馬邦子・編曲/やぎりん訳詞
6.ふるさとのナナカマド
スコットランド民謡/相馬邦子・編曲/やぎりん訳詞
7.聖母の御子
カタルーニャ民謡
8.鳥の歌
カタルーニャ民謡/やぎりん訳詞
9.つばめよ
ナルシソ・セラデル・セビージャ作詞作曲/やぎりん訳詞
10.海はふるさと【大海啊故郷】
王立平・作曲(インストゥルメンタル)
2017年8月25日
東京文化会館小ホールでのライヴ録音
11. 童神(わらびがみ)
古謝美佐子・作詞/佐原一哉・作曲
12. コンドルは飛んで行く
ダニエル・アロミーア・ロブレス作曲/やぎりん作詞

歌:大前恵子
演奏:木星音楽団
小野美穂子【箏:十七絃/十八絃】
藤枝貴子【アルパ】
三塚幸彦【尺八】
八木倫明【ケーナとナイ】
ゲスト
金亜軍【揚琴】
古谷真未【チェロ】
★定価¥2600(+税)
★通販価格¥3000(送料¥180込み)
*******************

◎エッセイ『広い河の岸辺』
大変好評で、販売中ですドキドキ


クローバー必然と偶然が時を得て生み出した、
大いなる奇跡!
この歌は今後50年、
100年と歌い継がれて
日本の歴史に残るでしょう。
湯川れい子

本の表紙
ドキドキ やぎりんBOOK『広い河の岸辺』
(主婦と生活社)発売しました!!¥1000+消費税

コンドル合唱譜混声
やぎりん作詞《コンドルは飛んで行く》
やぎりん訳詞《つばめよ》
吉田桂子編曲
合唱譜が出版されました。
女声三部/混声三部の2種類。
それぞれに、易しい二部合唱の楽譜も
収録されています。
¥1300(+税)全音楽譜出版社


合唱譜女声
ドキドキやぎりん監修の合唱譜が発売(全音楽譜出版社)。
小川類・編曲
☆女声三部/二部
★☆混声三部/二部

《広い河の岸辺》(スコットランド民謡)
《思い出のサリーガーデン》(アイルランド民謡)

2曲セット。
定価¥1200(+消費税)


ジャケ写
いちよ・たかこ・やぎりんトリオ♪
+ゲスト・チェロ古谷真未
アルバム『いのちと平和の音源』
¥2800(+税)通販価格¥3000(すべて込み)

収録曲(★歌入り/☆チェロ入り)
1.愛は花、君はその種子(たね)
(A.マックブルーム)[高畑勲 訳詞]★☆
2.黄色い村の門(アイルランド民謡)☆
3.思い出のサリーガーデン
(アイルランド民謡/やぎりん 訳詞)★☆
4.白鳥の停車場(藤平慎太郎)☆
5.ラ・サンドゥンガ
(メキシコ民謡/やぎりん 日本語詞)★
6.君の影になりたい【アルパ・ソロ】
7.ラピュタ・シチリアーナ
(イタリア・ルネサンス〜久石譲) ☆
8.よろこびのうた
(メキシコ民謡/枝元一代ほか 日本語詞)★
9.童神【わらびがみ】
(佐原一哉/古謝美佐子・作詞)★
10. 蕾【つぼみ】(小渕健太郎)【アルパ・ソロ】
11. チョグイ鳥(パラグアイ民謡)
12. 広い河の岸辺
(スコットランド民謡/やぎりん 訳詞)★☆
13. コンドルは飛んで行く(D.A.ロブレス)☆
14. 人生よ、ありがとう
(ビオレータ・パラ/やぎりん 訳詞)★☆
15. 島唄(宮沢和史)★☆


木星CDジャケット
木星音楽団アルバム
Winds & Strings
湯川れい子さん推薦メッセージ
和楽器とラテン楽器による、
実にユニークで魅力的な異文化四重奏団だ。
でも異文化というより、
むしろどこか大昔に
深くつながっていた音と文化だ!
という確信に近い懐かしさであり、
新鮮なアイデンティティの再発見なのだ。
そう、ひょっとしたらこれは、蒙古斑まで遡る、
とんでもなく壮大なロマンかもしれない。

湯川れい子(音楽評論・作詞)
¥2800(+税)通販価格¥3000(すべて込み)

木星音楽団
箏:小野美穂子/アルパ:藤枝貴子
尺八:三塚幸彦/ケーナとナイ:八木倫明
1.木星【ジュピター】
2.北飛行(小野美穂子オリジナル)
3.涙そうそう
4.少年時代
5.アルパ協奏曲《鐘つき鳥》
6.オリーブの首飾り
7.コーヒー・ルンバ
8.芭蕉布
9.引き潮
10. イエスタデイ
11. 明日
12. 江差(三塚幸彦オリジナル)
13. 月の沙漠 幻想
14. 砂山
15. 雪(三塚幸彦オリジナル)


完成した絵本表紙
ドキドキ葉祥明さんの絵本(文:八木倫明)
『ひろいかわのきしべ』(国土社)
発売しました!!


絵本『ひろいかわのきしべ』推薦文の
帯付きは初版のみです。
クミコさんと湯川れい子さんの言葉が
載っています。

ドキドキクミコさん
いま世界にあってほしいと思うものが
この絵本の中にあります。それは
暗い空をてらす、希望の光です。

ドキドキ湯川れい子さん
この歌は、これからの時代に愛され、
その時代を踏み越えて、
未来に継承されていくと信じています。


クミコジャケ写
合唱のスコアもついた
《広い河の岸辺》CD
You Tubeには載っていない合唱バージョンが
このCDには収録されています。
女声合唱団「青い鳥」が素晴らしい演奏をしています。

★台湾に広がる《広い河の岸辺》
http://amba.to/1z1p6NO


★《広い河の岸辺》の本質
『小さな死』からの出発。
http://amba.to/1oBdnE3


★地球人が渡るべき河のこと
http://amba.to/1t0E3O6

***********************

「なにも知らない。なにもできない。
なにもない。
なのに、なにかを求めている。
自分の微力は、よく承知している。
とるに足りない才能についても自覚している。

でも、せっかく生まれて来たのだから
感動したい。共鳴したい。
おなじ心のひとに会いたい。

それがせめて
みじかい生命の軌跡の中で
ぼくらが望むものではないか。

ところであなたは・・・。


★『詩とメルヘン』サンリオ刊
1982年4月号編集後記やなせたかし
◎やなさたかしさんの限りない優しさ
*********************

★音楽、落語、ラジオ、読書。想像力が抗認知症?
http://amba.to/1osUvYd

★エーリッヒ・フロムの愛の論理と音楽