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凶器代と怪我の治療費は会社持ち
住宅ローンがあるから十年は現役でがんばる
異様なパンク・ファッションでかためた百六十四センチ、百キロの巨体でチェ ーンや竹刀を振りまわす、女子プロレス界きっての悪役、ダンプ松本さん。さぞかしファンの嫌われ者と思いきや、女子プロレス入門者のほ とんどがダンプ率いる『極悪同盟』志願というのだから、世の中わからない。今年の年収目標四千万というニュー・スターの財布の中は?
この間、両親のために埼玉県の深谷市に家を新築してあげま した。四月から建てはじめて、四ヶ月で建った。それで、この夏休み、熊谷市(埼玉県)から一家が引っ越したんです。住んでるのは、お父さんとお母さんと妹と、妹がつきあってる人と。妹と結婚すると思うんで。 敷地は七十坪。部屋は五つで、 車が三台ぐらい置けるように駐車場を広くしたんです。 土地はキャッシュで買ったんですが、一千万円ぐらいでしょうね。自分はおカネを払ってるだけで、よくわからないですけどね。やっと土地の名義を自分にしてもらったけど、家には自分の名義が入ってないんです。
家はローン。地代、金利を合 わせると、総額三千五百万円ぐらいじゃないでしょうか。で、家には、両親の生活費とか全部混ぜて、月々五十万ずつぐらいは送ってます。家のローンは十年払いくらいだと思うんだけれど、この会社にいる間に、好調のときに早いとこ返すつもり。 ほかの会社に行っても、こんなにもらえないですからね。だから、自分は家で大黒柱なんです。 お母さんは、体重三十五キロで小さくて、いろいろ苦労もしてきてるんです。まして、自分が女子プロで悪役をやるもんだから、周りの世間からいじめられる。買物に行きゃ子供に石を投げられる。家にいりゃ表からガラスを割られる。自転車はパンクさせられるし、大変なんです。
リングの初給料は月七万、事務員のほうが高かった
体も弱いんです。なにかピストンリングの、暑い工場で仕事をしてたんですが、夏なんて四十度ぐらいのところで働くんですよ。だから、よけいやせちゃう。この前も手術をしたばかりだし、つい先日も腸捻転かなにかで倒れ、救急車で運ばれたとか聞いちゃうとかわいそうになっちゃって......。
いままで仕事をしてたんだけれども、一生懸命働いて月八万円ぐらいしか取れない。それに、熊谷にいたときは、自転車で十分ぐらいで通えたんだけれど、深谷に移ると電車通いをしなければならない。そういうことはさせられないから、仕事は辞めさせて、その分は自分が送金してるんです。
初めのうち、本屋の店員などのアルバイトをしながら練習をしていたんですが、どうも両立できず、バイトはほんのちょっとやっただけで、あとは全部親のスネカジリ。月十万円ぐら いだと思います。会社の寮に入 る前は、熊谷から通いをやっていたんで、電車賃だけでも大変 かかるんです。
寮に入ったのは、宣伝カーを運転して興行先を廻る営業の仕事をやるということになってからで、初めて八万円の給料をもらいました。ほかに地方に行くと、手当てが一日六千円出たんです。
その後、リングに上がるようになって初めてもらったのは、 月七万円でした。同期のうち、自分と長与千種が七万円で、あとは四、五万円だったのかな。 プロになると、給料制ではなくて、一試合いくらという計算になるんですが、営業より安くなっちゃう。
下積みの最後のほう、一昨年暮ごろでも、あんまりもらってない。いま引かれている税金以下です。手取り二十万ぐらい。 人気が出始めたのは、去年一月、「ダンプ松本」って名前に なってからなんです。 ここの社長から「熊谷ダンプ」という名前でどうだといわれたんですけど、せめて「松本」にしてくださいって.........。熊谷に住んでる親がかわいそうだから。 改名と同時に、いままでのイメージをすっかり変えようということになって、金髪にして化粧を変えて、ガウンなんかも全部変え、帽子もそのときからで す。
髪は脱色してますから、下から黒いのが生えてくるまでは、 変色しないわけですよ。オレンジ色の部分は染めているから、 洗っているうちに落ちてきちゃ う。手入れは一ヵ月に一度。いままでは一ヵ月に三回くらい脱色してたんだけれども、試合で髪の毛を引っ張られると、バリバリと抜けちゃうんですよ。髪を傷めても、なんとも思わない。 目立つために自分でやったことだし、これが成功したわけです から、なんともないです。
年収は、会社まかせなんで、 よくわからないんですが、去年は一千万円以下。いまは去年の二倍はもらっています。 この八月の月収は、手取り二百六十万円です。その前に、積立貯金二十何万円と、税金五十七万円を引かれてます。 収入には、試合のファイトマネーのほか、テレビ・ラジオの出演料も含まれてます。 八月の頭からテレビ・ラジオ で放送している日清のタコ焼きラーメンのCMが、最初のCM 出演です。 放送期間はツークール、つまり半年間で、出演料は テレビ・ラジオを合わせて五百万円。その半分が自分の取り分 なんです。
ラジオ版のコマーシャルでは歌ってるんですが、それがひどいんですよ。演歌なんですけど、演歌は嫌いなんです。おまけに、音痴なんです。
いま、ドラマにもレギュラーで出てます。TBSテレビの火 曜日午後九時からの「夏・体験物語」という番組で、中山美穂とか吉幾三とか少女隊とかが出 ています。六週で終わりですが、やっぱり二、三百万円もらうんじゃないでしょうか。
そのほかにも、テレビにはちょこちょこ出ています。八月十日には、日本テレビの「TV海賊チャンネル」に出演、おしゃべりして暴れまくったんです。 ほとんど暴れまくるのが多いですね。そういうのは、いくらももらえないんです。
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貯金は二、三千万。食事は会社の弁当が多いんです
ファイトマネーは試合ごとに異なる。たとえば、夕イトルマッチとかビッグマ ッチなら百万円にもなる が、ローカル試合は十万円以下。ファイトマネー以外のテレビ出演とかサイン会などの収入はすべて会社との折半になる。今年の年収はクラッシュ・ギャルズの四千万円に比肩するぐらいにしたいというのが、会社側の努力目標である。
貯金が好きなんです。そのために働いている。お母さんになんとかして家を建ててあげたいという気持ちも強かった。この会社に入ったときからしています。最初のうちは、月一万円ず つとかにして、一昨年あたりで 二万とか三万。いまは、八月分でいいますと、会社で天引きさ れる積立貯金が二十何万か。それから、二百六十万円の手取りのうち、二百万円は貯金しまし た。
貯金は全部合わせたら、二、 三千万円というところでしょう。入ってすぐ、いまぐらいもらっていたら、一億円ぐらいにはなってますけど、増えたのは去年からでしょう。五千万もあるわけないですよ。
株を買ったり、国債を買ったりとかはしません。とにかく、貯金です。
生命保険とか傷害保険とかにも、個人では入ってないんです。 だから、郵便局の保険に入ろうかと思ってます。会社で入っているかどうかは知らないです。 ただ、国民健康保険には入っ てます。この前は、バケツで頭 を切られて、そのまんま病院に行って脳天を三針縫ったり、相手の歯が当たって、あごを切ったりとか、怪我はしますが、費用は会社もち。ですから、保険証はめったに使わないんです。 一ヶ月に一度も使わないのに、 保険料をみんなより高く払ってるのは、バカバカしいですよ ね。誰が取ってるんでしょ。結婚して親になれば、ずいぶん安くなるでしょうね。
住まいは、去年から2LDK のマンションで、家賃は十二万円。それまでは、五反田(東京) の七万円ぐらいのところに住んでたんですけれども、そこはタンク式給湯になってるから、冬だと夜の三時ごろに帰ると、お湯が出ないんです。いつでもお風呂に入れるほうがいいということで、会社近くに引っ越して きたんです。
家賃のほかは、生活費といっても、試合でどこかに出かけると会社からお弁当も出るんで、 ただで食べられちゃう。
自分の月々の小遣いは、財布に十万入れておくだけで、あとはもう使わない。それはもう決めてるんで、なにか必要でも生活費のほうからやりくりする。 出かける時間も遊ぶ時間もないし、夜、人前に行くのも好きじゃない。ファンがぞろぞろついてきたりするから、買物にもレス トランにも行けない。みみっちく、出前をとって食べるんです。
チェーンや竹刀などの凶器の代金は会社もちだが、 ガウンや帽子などの衣装代は自己負担。そのほか、小遣いの使途は水着、洋服、 化粧品など。母や妹にプレ ゼントすることもある。ペットはポメラニアンという七万円のオス犬。車はなし。 趣味は宝くじとパチンコ。
宝くじは一度に二十枚ぐらい 買う。二十枚で六千円。当たったのは最高八百円なんです。お母さんの会社の人が一千万円当たったというから、もしかして当たったらいいねっていうん で、買うようになったんです。 でも、年がら年中、買ってるわけじゃないんです。何気なく一 枚、ポーンと買ったほうが当た るんですって。それがなかなかできないんです。もし当たった ら、自分の家を買います。パチンコは好きなんですけ ど、やる暇がない。旅に行ったときにやるぐらいです。
ファンは大っ嫌い。「ダンプさ ん」っていって、物を渡そうと しても、誰も近づけないし、一切受け取らない。極悪だから、 ファンはいらないっていう主義なんです。ミーハーのファンばっかりで、常識はずればっかりですから、いらないです。うっとうしくてしょうがない。人が歩く前を、写真を撮ろうと邪魔するなら、なぐります。カメラが壊れようが、常識はずれてる者はなぐります。
男性は、中村雅俊さんとか、C-C-Bの関口さんとかが好きです。
でも、まだまだ結婚はしませ ん。忙しくて考えてる暇がない です。自分の時間がないのに、 好きな人を探そうなんて。 テレビを見る時間だってないんですもの。だから、彼氏がどうのこ うのとかいってる暇はありませ ん。おカネをもってても、好きな人に何かを買ってあげたいとは思わないです。くだらなくなっちゃう。それより、貯金しようと思って。
将来は考えてない。試合ごとに誰をやるかだけ・・・
女子プロの中には、創価学会とかレズビアンが多いとかい われるんですが、自分も創価学会には親が入れちゃったんで す。前はお題目をあげたりしてたんだけど、いまはやってない です。ほかにも、学会員はわりと多いようです。
でも、レズとかそんなの、やってる暇はないです。それより、 試合で当たってなぐり合いしてるからね、いがみ合いとか陰口とか妬みとか会社がひいきしてるとか、女どうしですから、そういうのが多い。
将来のことは考えてないです。先のことは、考えてもなるようにしかならないんで、なりゆきにまかせてる。本当に考えてないんです。辞めることも考えてないんです。今日は誰をやっつけようとか、一試合、一試合のプロレスのことしか考えてないんです。
プロレスをやってることが自分にとっては楽しいことなんで す。好きなことをやってられるんですもの。みんな、好きなことをやれないでしょ。自分の年齢だったら、もう世間体を考えて結婚をしなくちゃいけないとかっていうけれども、好きなこともやれずに結婚して、外に出て来れないって聞くと、かわいそうだなと思っちゃう。好きなことをやってておカネを稼いでいいなって、よくいわれます。 だから、ちっとも苦じゃないで すね。 (取材・構成 小林靖彦) (次週のゲストはイーデス・ハンソンさんです)
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当時は「文春砲」という言葉ありませんでしたが、いまでいう「文春砲」だと思ってよいです。
これはほぼ事実ではないのでまともに信じないほうが良いと思われます。
ダンプが後年語っていますが、「治療費は会社持ち」は嘘です。ダンプのクラスになると欠場されると困るために会社が治療費を出すらしいのですが、ほとんどの若い選手は自分で治療費を払っていたようです。また欠場すると試合に出られなくなってしまうので隠すこともしばしば。
次に自宅の話ですが、これもウソばかりのようです。
まず1千万円のキャッシュは話していないらしく、家は地代と金利を含めて3500万円の20年ローンらしいです。
月に50万だしているのはウソで、月々のローンは12万円で親が払い続けているとのこと。
ダンプが出したのは800万だけらしいです。
貯金に関しても3千万とか5千万とか、色々と怪情報が書かれていますが、実際は1千万程度らしいとのこと。
後年の雑誌に「ウソを書くな」と怒っていたダンプさんでした。