1985/8/28 髪切りデスマッチについて、1985/9/12号の「週刊ザ・プロレス」の記事がありますので引用します。
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千種 大流血KO 凄惨!! 髪切られる
長与無惨! 大流血断髪刑に死す - 女子プロ"8・28大阪夏の陣"。注目の遺恨決着戦、長与千種vsダンプ松本の敗者髪切りデスマッチは、ダンプが凶器攻撃で長与を血の海に沈めてKO勝ち。12,000人のクラッシュアーミーが泣き叫ぶ中、バリカンで長与の黒髪を刈り上げた。
哀れ....長与の黒髪が見る間に刈り上げられていく。ブル中野に首をチェーンで絞められて身動きとれない長与の頭に、ダンプの持ったバリカンが縦横に走る。一束、二束・・・リングに舞い落ちた"女の命"を見て、半分以上坊主頭にされた長与が、 屈辱の涙を流した。その姿に飛鳥、デビル、横田が、クラッシュアーミーが、涙を浮かべて悲鳴、怒声を上げた。
「私は、負けていない!」
KO負けの宣告に顔面を鮮血に染めた長与は、マイクを握りしめて何度も反論した。確かに長与は実力で負けたのではない。 ダンプの仕掛けたワナにはまっ て、実力を発揮する前に凶器攻撃で叩き潰されたのだ。 そのワナとは -?
ダンプは、セコンドにブル中野、コンドル斎藤、そして謎の覆面マネジャーらを引き連れて入場してきた。少し遅れて、若手陣の騎馬にかつがれて登場し てきたはおり・はかま姿の長与は、ダンプを目にした瞬間、顔に驚きの色を浮かべた。
「何だ、こいつは!? ダンプじゃないぞ」
黒系統の化粧で見分けはつき にくいが"影武者"のようだ。 では、ダンプは...。覆面マネジャーがマスクに手をかける。中から現れたのは、本物のダンプだ。
一瞬虚を突かれた長与にダンプが猛然と襲いかかる。フォークで頭をメッタ打ち。長与がサソリ固めをしかけるが崩して逆サソリ。
ダンプの意表をつく変え玉作戦にド肝を抜かれた長与は、ペ ースがつかめない。ダンプはカサにかかって攻めたてる。今度はハサミを手にして頭に一撃、二撃...。大流血。見る間に長与の顔面が血塗られていく。
この一戦の勝敗は、フォール、ギブアップ、KO(カウント10)、ドクターストップ、レフェリーストップによって決まり、反則負けはない。ルールを有効に生かしてダンプは、凶器攻撃の手を休めなかった。
出血多量でグロッギー状態の長与に、これ以上試合を続行させ るのは危険と判断したジミー加山がタオルを投入する。それを意地で投げ返した長与だったが、 そのままダウン。WWWA本部から特別派遣されたホセ・トレスレェフリーが10カウント、長与はKO負けを喫した。 トラ刈りにされた頭をタオルで隠し、飛鳥、デビルに支えられて控室に戻ってきた長与は、 記者会見を拒否。
「この借りは必ず返す。もう一回やってダンプを半魚人にしてやる」
とだけコ メントを発表した。
一夜明けて、宿泊先のホテルで行われた記者会見に現れた長与は、バッサリと頭を丸めていた。
「鏡で自分の頭を見た時、復讐心が燃えあがった。あんなの試合じゃない。プロレスの技が全然出ないなんて......。私は負けたという意識はない。髪が伸びたら大阪のファンの前でもう一度ダンプと髪切りマッチをしてやる」
飛鳥、デビル、横田が敵討ちをフロントに申し入れているが、自力での復讐を誓った。
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この記事によると、リングで影武者を見た瞬間に長与は、ダンプではないことに気が付いたようですね。視聴者は騙せても、いつも対戦している長与が気が付くのは当然ですかね。
そこで不意打ちを喰らってやられ続けたかどうかは微妙ですが、不意打ちの効果をかなり記事では謳っています。
また、「ダンプを半魚人にする」という凄い表現が出てきています。もはや髪切りとは別の次元です(笑)
写真を拡大してみます。
リング上の中途半端な半ハゲのバリカンのほうが、きれいさっぱりにバリカンした後よりも悲惨な感じですね。
ブルの半刈りがいかに当時凄かったのか再認識しました。