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 子供が幼稚園から帰宅すると、騒がない様にと思い、動物の葬式の動画を子供に見せ、作法を教えた。


暫くすると車での迎えの時間になる・・・。

私達は、黒い色の服に着替えて、兎兄貴を一番最初に作ってあげた服に着替えさせた。


そう、あの私が作っている横で楽しそうに見ていて、毛糸をひっぱったり、帽子を被るのに頭を出してきたり、楽しい思い出一杯の服です。詳しくは→こちら


彼を見送るのに一番ふさわしい服だと思いました。

それを着せて、丁寧に箱に詰めます。

作った時より痩せてしまっていて、骨と皮ばかりになってしまった


その時の、兎兄貴にはブカブカでね・・・しょぼん


それを見ると胸が一杯になったのを良く覚えています。


さて・・・車が来ました。


車の運転手さんはとても行き届いた人で、とても丁寧にお悔やみの言葉を頂き、そして、丁寧に車に乗せて頂きました。


そしてね・・・・子供が聞くんです。


子供「ねぇ、どうしてお兄ちゃんは目を開けたまま死んでるの?」


運転手さん「それはね。人間の目の筋肉と、犬などの・・・・」


と、丁寧に説明頂いてるのにもかかわらす子供が話しを遮ってしまいました


子供「わかったぁ~ママ!死んでもお兄ちゃんは私とママを良く視る為に目を開けてるんだよ。うんそうだ!そうに違いない!


科学的には違うのでしょうね。

運転手さんいわく、人間と動物達の瞼の筋肉の違いなのです。

でも、家の子供がそう思いたい気持ち、痛い程解ります。


確かに兎兄貴なら、死んでも妹が心配で、何時までも見つめて居たいと考えると思うのです。


そして、車は葬儀場にいよいよやってきました。

ウサギ兄貴の亡きがらを安置場に起きました。

そしていよいよ葬式をします。


動画で見せて教えた様に子供はおとなしく本堂に僧侶の後をしずしずとついて行きます。


僧侶が御経を唱え始め・・・焼香が始まりました。


子供が大きな声で

「何これ~良い臭い~食べてもいい?ママ」


と口に入れようとしてしまいまいました。

私はチョップで阻止します。

ママ「食べるな~」


また、暫くすると・・・・


子供「うひゃひゃ。一杯入れちゃお~かな~。沢山燃えたらもっと良い臭いになるよ~」


ママ「うわぁ~こんなに入れて・・・。火が消えちゃうでしょ。早く座りなさいプンプン


何故か、ドアの隙間から猫がニョキッとそのタイミングで入ってきます。


子供「ママ~猫~」

ママ「おだまりっ!」

ちらりと見ると、僧侶が肩を揺らしています。

不謹慎だから我慢しているのでしょう・・・。

この衝撃ならぬ笑撃に耐えるのは大変だった事でしょう。


御経も終わり、僧侶がニコニコしながら言います。

「お嬢ちゃん。これは食べては駄目だよ。色々良い臭いのする木をブレンドして削ったものだよ。だから良い臭いがするんだよ。

余り沢山入れてはいけないよ。大事に使ってね。」


げっ叫びやっぱり全部聞いていた様子だ・・・


そして、葬式も終わり、いよいよ火葬場の順番待ちでした。

前の人は、大きなゴールデンレトリバーでした。

その大きな体に抱き付いて泣いてるママが印象的で、見て居る私の方もつい貰い泣きをしてしましました。


そしていよいウサギ兄貴の番がやってきました。


火葬場の人が『最後の別れをしてあげて下さい』とこちらに言います。


箱に入ったウサギ兄貴・・・


私は顔を近づけます・・・・。

良くこの様にすると顔を舐めてくれたなぁと思いながら・・・。犬のように顔や手をペロペロ舐める兎だったのです。


そして『また会えるよね?』そう心に念じながら。 両手でぐっと強く抱きしめて・・・


次は子供が近寄ってきました。頭を無言で撫でて居ます。


子供は撫で終わると呆然と立ちすくしていました。


火葬場の職員さんが言います『もう宜しいでしょうか・・・』


『はい・・宜しくお願いします』


そしてを台車を動かした瞬間子供が私の腕に抱きつきながら叫び出します。



子供「焼かないで~っ!止めて~!どうして焼いちゃうの~お兄ちゃんがかわいそうだよ~」

    ・°°・(((p(≧□≦)q)))・°°・。

    ウワ~~~ン!!


と、火葬場に響き渡る大声で泣きだしてしまい


職員さんと私の動きは止まったままになりました・・・


私は、どういうふうに言ってあげたらいいのかとても悩みましが・・・


ママ「焼かないとね。お兄ちゃんは天国に行けないんだよ。行けなくてもいいの」


子供「・・・・・」

頭を撫でながら言う私に、涙をポロポロ流しながら上目使いに見て居ます。


でも、暫くすると・・・

子供「うん・・・。解った。お兄ちゃんには天国に行ってもらいたいから仕方ないよね・・・」

ママ「そうだね。だから最後のお別れをしよう」


      

     「うん・・・お兄ちゃんバイバイ・・・」



職員さんが、一礼をこちらにして再び動き始め、兎兄貴を載せた台車が動き始めます。


案外時間がかかるらしいので私達は再び待合室に帰るのでした。



最近も兎の姿が撮影出来たり、不思議な事が一杯あったのですが、生前も・・・そして、肉体亡き直後からも、色々な体験をさせられるのでした・・・



続きは→その24