仁虎(以下ニコ)「しかもどちらの試合も心に傷を負うような負け方でしたからねえ……。愛媛戦は先制したけど終了間際で逆転負け、熊本戦はそのショックからかいいところ無しの2失点負けでした」
ギアボルト(以下ギア)「熊本戦は見に行ったのですが、あまりにも情けない内容の試合だったので記事にしませんでした。くまモンの写真を撮りまくったし、スタ飯も美味しかったのですが、あんな無様な試合のレポートを書く気にはなれませんでした」
ガー「あの試合で良かった事って、雨が小降りだった事ぐらいよ。そんな思い出したくもない連敗の後で迎えた大一番、首都圏バトル4の内の一戦、大宮アルディージャとのアウェイ戦を見に、人生初の大宮旅行に行ってきたわ」
ニコ「旅行と言っても、快速を使えば新宿から30分足らずで行ける距離なんですけどね。今まで一番近いアウェイは横浜でしたけど、今年は大宮ですね。乗り換える必要もありませんし」
ギア「埼玉県と東京都の近さは、地方で例えるなら京都と大阪、名古屋と岐阜、福岡と北九州ぐらいの近さになるかと。あ、岐阜と近いのは『名古屋』であって『愛知』ではないのでご注意を」
ガー「大宮駅から降りたら、目の前の商店街にこんな垂れ幕が飾られていてビックリしたわ。これ以外にも町のあちこちにアルディージャの旗だけでなくヴェルディの旗も掲げられていて、町を上げて歓迎してくれているのが伝わって嬉しくなったわね」
ギア「ぶっちゃけ飛田給よりヴェルディらしさを感じました。あそこはヴェルディではなく、FC東京のホームタウンです」
ニコ「賑わう町のあちこちに大宮アルディージャの旗が飾られていて、地域とチームが密着しているのが分かります。去年までJ1にいたチームですから、大宮の住人にとってはとても身近で誇るべきチームなんですね」
ギア「意外ですが、大宮駅からアルディージャのスタジアムへのシャトルバスは出ていません。道筋が単純だったので私達は歩いて行きました。徒歩で20分ほど歩き、大宮公園にある氷川神社への参道に入ります」
ガー「ここを真っすぐ歩けばスタジアムに着くのよ。神社の参道がスタジアムへの直通ルートになっているなんて珍しいわね。日本らしさを感じるわ」
ニコ「近くに寄ったので、氷川神社へお参りしてきました。ここは東京都、埼玉県とその近辺に約200社ある氷川神社の総本社で、大宮の町の由来にもなっている由緒ある神社です」
ガー「アウェイでお寺や神社にお参りする時は、ヴェルディの勝利のみを願うわ。見事なまでの神頼みだけど、お参りをした時は負けてないのよね。これからもなるべく続けるわ」
ガー「お参りをした後、更に歩いて大宮アルディージャのホームであるNACK5スタジアム大宮に到着したわ。入場開始時刻の10分前に着いたけど、私達がビックリするくらい長蛇の列が出来ていたわ」
ギア「いくら東京と大宮が近いとはいえ、アウェイにこんなにたくさん来るとは思いませんでした。全力さんを始め、味スタでよく見る常連のサポはほぼ全員来ていたと思います。記念に来た人もいるかもしれません。来年は恐らく来られないでしょうから」
ニコ「首都圏バトル4のチケットで来た人には、大宮アルディージャからオレンジケーキが貰えました」
ギア「この時はバトル4のチケットを買った自分に拍手を送りました。オレンジの味が濃い、美味しいケーキでした。モグモグ」
ガー「アウェイ席から見たNACKスタの光景よ。サッカー専用の競技場だけあって、臨場感は抜群! 座席の角度は急だけどヤマハスタジアム程ではなくて見やすい! 去年のJリーグベストピッチ賞を受賞したそうだけど、それに相応しい理想的なサッカースタジアムの1つだわ」
ニコ「もちろん大型映像装置もあります。このスタジアムでヴェルディの旗が掲げられたのは、実は今回が初めてなんです」
ギア「大宮アルディージャは1999年からJリーグに加入し、2004年にJ1に昇格。以後、去年までJ1に留まりました。J2時代にもこのスタジアムは使われましたが、J1への昇格基準を満たす為に大改装しています」
ガー「ヴェルディがここで試合をしたのは改装前で、その後は熊谷の陸上競技場に回されたり、そもそもJ1とJ2でカテゴリーが違ってたから、ここでは戦えなかったのよね」
ニコ「という訳で、東京ヴェルディは選手達もサポーターもNACKスタ初上陸です。そのせいかスタジアムのあちこちを見て回る人を見かけました」
ギア「大宮のマッチデープログラムは新聞形式になっています」
ガー「スタジアムの入口でも、こんなに歓迎してくれたわ。埼玉県の観光パンフレットを配布したり、無料のくじ引きとかしてくれて、アウェイサポをもてなすサービス精神は満点ね。ヴェルディも見習うべきだわ」
ギア「試合まで少し時間があったので、スタジアム側の公園にある小動物園に行きました。無料で入れる割にはたくさんの動物がいて、ちょっと嬉しかったです」
ガー「個人的には白いシマフクロウが気に入ったわ。世話するのが大変だろうけど、うちで飼ってみたいわね」
ニコ「この動物園、本当は16時に閉園なんですが、入口は開いていて僕達以外にもたくさんの人がいました。大宮サポも試合前に寛いでいました」
ガー「スタジアムに戻ると、首都圏バトル4のマスコット対決が行われていたわ。今回は玉入れ勝負、大宮のアルディとヴェルディ君が戦ったんだけど、ヴェルディ君の玉入れを持っているのは大宮のもう1人のマスコット、ミーヤだったの」
ギア「Jリーグのマスコット界きってのビッチ、悪女キャラで売り出しているミーヤ。その悪女っぷりを容赦なく披露してくれました。ヴェルディ君に玉を入れさせないように移動したり、邪魔をしたりと色々やってくれます。司会の平畠さんにまでツッコまれる程のビッチぶりでした」
ニコ「まあお約束を守っただけとも言えますけどね。ミーヤの助けもあって、玉入れ勝負はアルディの勝ちでした。ここまでの結果を見ると、マスコット対決はホーム側が勝つ事が決まっているみたいですね」
ガー「そうみたいね。となるとマスコット対決ではポイントは稼げないから、ヴェルディはちょっと苦しい立場になったわね。サポーターのみんな、横浜と千葉にも大挙して行くわよ!」
ガー「NACKスタのアウェイ席は試合前に完売したそうよ。そんなに来たの?と思ったけど、ここのスタジアムのアウェイ席って、ちょっと狭いのよ。バックスタンドの3分の1ぐらいしか使われてなくて、これじゃあ完売するのは当然と思うくらいの狭さだったわ」
ギア「アウェイで立ち見客が出るなんて、ヴェルディサポとしては初めて見ました。ヴェルディサポは少ないと言われているし、事実なので大宮も席を狭くしたのでしょうけど、ちょっと舐めすぎです」
ニコ「でも席が詰まったおかげでサポーターも一箇所に集まり、みんなの心を合わせた応援をする事が出来ました。ピッチとの距離の近さもあって、西が丘にいるような気になりました」
ガー「1階席はすぐに埋まって、私達は2階席から応援したけど、それでも凄く声を出す事が出来たわ。大宮サポからも褒められているみたいだし、サポーターとしては満足できたから席が狭いのもアリね」
ニコ「応援をしていると、ヴェルディ側の席に思わぬゲストが来てくれました。Jリーグマッチデーハイライトの司会者で、首都圏バトル4の司会進行も務めている平畠啓史さんです」
ガー「平畠さんはヴェルディのコールリーダーと話をしたわ。いつかTVで使われるのかしら?」
ギア「ちなみにヴェルディ君もアウェイ席に来ましたが、アルディの対決に負けた事をツッコまれてガックリ落ち込みました。敵はアルディではなくミーヤだと調べておくべきでした」
ガー「大宮側のゴール裏はオレンジ一色に染まったわ。さすが地元、そして去年までJ1にいたチーム。人気は全く衰えていないわね」
ガー「ハーフタイムにはミーヤがこっちのゴール裏に来てくれたわ。でも単なる挨拶じゃなくて、色々と面白い挑発をしてくれて、ビッチぶりをとことん発揮してくれたわ」
ニコ「もちろんこれはネタです。本当にヴェルディサポを挑発していた訳じゃありませんから」
ギア「ここで唐突にスタ飯紹介コーナー、NACKスタ編です。まずはホルモン焼きの秩鉄商事から。くろぶた丼やホルモン丼も売られていましたが、私はこちらのツートップ焼(450円)を買いました。ホルモンだけでなくカシラとハツ、タンも入ったお得なセット。辛目の味付けですが、甘党の私でもパクパク食べられる良い品でした」
ギア「次はこちらのオムそば。焼きそばの上に薄い卵焼きを乗せただけのシンプルな料理ですが、たっぷり掛けられたカツオ節がいい味のアクセントになっていました。このボリュームで400円は安い。大宮のスタ飯は貧弱だというのは昔の話、今はなかなか侮れません」
ガー「ふーん。って、あら? 今回は二品だけなの? ギアちゃん、アウェイのスタジアムに行ったら食べまくっていたのに」
ギア「そうなんですが、今回はあまり食欲が沸きませんでした。ヴェルディが今の大宮に勝てるとは思えず、気持ちが乗らなかったので……」
ニコ「楽しい気持ちになれなければ、食欲も出ませんよね。次のスタジアムではいっぱい食べましょう」
ガー「ギアちゃんは試合が始まる前からため息を付いてたけど、それも仕方ないわ。ヴェルディが無様な連敗をしたのに対して、大宮は現在首位。しかもここ5試合は複数得点&無失点での5連勝で、12試合負けていない。2位以下のチームを引き離して、去年の湘南のような独走態勢に入りつつあるわ」
ギア「特に前節の横浜戦は圧巻でした。ヴェルディが最後まで崩せなかった横浜の守備を難なく攻略し、3-0と圧勝。力の違いを見せ付けました」
ニコ「選手も豪華ですよねえ。元日本代表の家長昭博にムルジャ、カルリーニョスに泉澤仁、横山知伸に河本裕之と他チームのサポでもよく知っている選手が揃っています」
ガー「ヴェルディサポとしては、元ヴェルディの和田拓也ね。ヴェルディから移籍した仙台では活躍できなかったけど、大宮ではレギュラーとして大活躍。大宮サポからも支持されているみたいで、嬉しくなったわ」
ギア「今回は敵ですけどね。とにかくキラ星のような選手が集まっており、J2はもちろんJ1でも戦えるチームになっています。序盤のもたつきが無ければ、去年の湘南のように首位を独走していたかと」
ガー「3連敗だけは避けたいヴェルディと、ここまで絶好調な上に今季ホームでは負けていない大宮。totoの予想でも圧倒的に大宮が有利だったけど、サッカーは何が起こるか分からないし、試合はやってみないと分からない。その事実を改めて思い知らされる結果になったわ」
ニコ「僕たちを嬉しく興奮させた試合の公式記録は、下からご覧してください」
公式記録
ギア「まさか大宮に勝つとは思いませんでした。しかも内容も素晴らしかった。格上の相手にほとんど何もさせず、取るべき時に点を取っての快勝。カードを4枚も貰った事を除けば、文句の付けようがありません。選手達はそれ程に素晴らしいプレイをしてくれました」
ガー「富樫監督の采配がズバリ的中したわね。第2節の金沢戦以来の起用となったウェズレイは早速カードを貰ったけど、井林とのコンビで空中戦を制して大宮の攻撃陣を封じ込めた。19歳の三竿健斗は大ベテランの家長と渡り合い、彼に仕事をさせなかった。佐藤優也はスーパーセーブで序盤のピンチを救ってくれたし、杉本竜士は縦横無尽にピッチを駆け回り、彼と交代で入ったアランも得点は奪えなかったけどいい仕事をしてたわ」
ニコ「もちろん点を取った2人も素晴らしかったです。杉本のシュートが防がれるのを予想して走り込み、ボールを押し込んだ南秀仁選手と、難しい角度からクロス気味のシュートを入れた田村直也選手には感謝するしかありません。田村選手は守備でも頑張ってくれましたし」
ギア「この試合のヴェルディは完璧でした。逆に大宮はパスミスが目立ち、攻撃も怖かったのは序盤だけで、後はボールが繋がらなかったりタイミングが合わなかったりと、ミスを連発していました。どっちが首位なのか分からない試合ぶりでした」
ガー「ダメな時のヴェルディが、あんな感じなのよねえ。何をやっても上手くいかない、思い通りのプレイが出来ず苛立ってしまって、ますますプレイの質が悪くなる。ヴェルディサポはよく目にするチーム状態だったわ」
ニコ「価値ある勝利を掴み取ったヴェルディ。試合後は恒例のラインダンスです」
ガー「大分にも岡山にも行かなかったから、今年アウェイでラインダンスしたのはこれが初めて。5月末の栃木戦以来の勝利のダンスは楽しかったわあ」
ギア「試合後、ヴェルディの選手と大宮の選手が交わるシーンが見られました。アウェイ席の隣にある大宮サポの席に大宮の選手が来たからですが、珍しい光景だったので写真を撮りました」
ガー「最高の気分で夜のNACKスタを後にしたわ。でも、この勝利に慢心しちゃダメ。勝利を喜ぶのは今日までにして、次の試合の準備をしないとね」
ニコ「次はリーグ前半戦最後の試合、相手は井原新監督の元、パワーアップしたアビスパ福岡です。去年までヴェルディにいた鈴木惇選手と久しぶりに会えるのは嬉しいけど、福岡には東京ではなかなか勝てないんですよねえ……。そういう悪いイメージを払拭する勝利を掴み取ってほしいです」
ギア「そうやって期待し過ぎると、また裏切られる気がします。このチームは期待し過ぎず、でも応援は本気でやるくらいでいいかと」
ガー「今週は土曜日の試合だから間違えないようにしなくちゃね。また最高の週末を過ごしましょう! せーの、」
3人「「「頑張れ、東京ヴェルディ!!!」」」
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