判例評釈 「ビラ配りが風営法における「客引き」に当たらないとされた事例」その1 | 刑事弁護人の憂鬱

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評釈 「ビラ配りが風営法における「客引き」に当たらないとされた事例」その1



(事案の概要)



 キャバクラ従業員である被告人が通行人C,Dに対し、ビラを配り、Cの求めに応じ、店のサービスを説明し、Cは店に向かった。実はCDは警察から客引き摘発のため依頼を受けた捜査協力者であり、Cの供述等をもとに被告人は、通常逮捕され、略式起訴で罰金刑を受けたが、これを不服として正式裁判請求を申立て、正式裁判が開かれた。



(横浜地裁小田原支部平成23年3月10日判決)



主     文

被告人は無罪。

理     由

1 公訴事実

本件公訴事実は被告人は,Aが神奈川県公安委員会から風俗営業の許可を受け,岡県厚木市中町※※ビルにおいて営む社交飲食店「クラブ」 の従業員であるが,前記Aの営業に関し,平成22216日午後815分ころ,同市中町2丁目35号先路上において,同所を通行中のCに対し,同店で遊興又は飲食させる目的で,「クラブB」S E T 料金などと記載された名刺大のビラを示すなどしながら,『キャバクラはどうですか。』『3 900円です。店の名前がBで,若い子がいますよ。』などと申し向けて誘い,もって当該営業に関し客引きをしたものである。」というものである。

2 訴訟経過等

本件は,平成22319日に起訴され,同日,小田原簡易裁判所において,略式命令がなされたが,その際の公訴事実は「被告人は,Aが神奈川県公安委員会から風俗営業の許可を受け,同県厚木市中町※※ビルにおいて営む社交飲食店「クラブB」の従業員であるが,前記Aの営業に関し,平成22216日午後815分ころ,同市中町2丁目35号先路上において,同所を通行中のCに対し,同居で遊興又は飲食させる目的で, 『3 900円の飲み放題どうですか。Bです。若い子いますよ』などと申し向けて誘い,もって当該営業に関し客引きをしたものである。というものであった。同年41日,被告人及び弁護人は,正式裁判を請求し4回の公判を経た後の同年128日,検察官から,前記1の公訴事実への訴因変更が請求され,同月9日,第5回公判期日において,当裁判所は,同訴因の変更を許可した。

3 争点

弁護人は,被告人が,通行中のCに対し「クラブB」「S E T料金などと記載された名刺大のビラ(以下「本件ビラ」という。)を示したが,社交飲食店「B」で遊興又は飲食させる目的で,キャバクラはどうですか。」「3,900円です。店の名前がBで,若い子がいますよ。などと申し向けて誘った事実はなく,被告人は客引き行為を行っておらず,無罪である旨主張し,被告人もこれに沿う供述をする。」