#シンガポール #タイ #タイガーバーム #白文 #シナモン #篆刻 #氣 #甲骨文字 #虎 | 音型(おんけい)が彫る

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甲骨文字百顆印 第七十三顆 / 白文・7mm角・新疆彩凍石


01 「虎」という文字について

     
意 味 とら
成り立ち 象形文字。虎の姿を横から描いた形。甲骨文字では大きな頭・鋭い爪・力強い尾など全身がリアルに描かれていた。
部 首 虍(とらがしら)
現代漢字の畫數 8畫

「虎」には獸偏(犭)が使われていない。犬や猫など他の動物と同じ分類に入れてもらえなかったということだ。百獸の王として別格扱いだったからとされているが、「正」の回で勝者の論理が字の意味を作るという話を書いたことを思い出した。虎が特別扱いされたのも、古代における虎の圧倒的な存在感が字の構造に刻まれているということなのだろう。


02 日本に野生の虎はいない

ここで一つ氣になることがある。

日本には野生の虎が生息していない。にもかかわらず、「虎」という字が存在して、虎という概念が日本に定着している。ということは、日本に漢字が伝わってきた時点で、虎は日本人にとって想像上の生き物だったはずだ。

実物を見たことがない動物を、字として受け入れて使い続けるというのは、なかなか不思議なことだと思う。今でいえば、誰も実物を見たことがない伝説の生き物の名前を、普通に日常語として使っているようなものだ。「象」の回でゾウは身近な存在ではないという話を書いたが、虎はそれ以上に遠い存在だったはずだ。


03 タイガーバームといえば

虎という字を見た瞬間に、タイガーバームが浮かんだ。

あの獨特の匂い、ちょっと怪しげな雰囲氣を漂わせる小さな瓶、開けた瞬間に広がるツンとした香り。塗った時のスースー感。子どもの頃に身近にあった記憶があるが、今どうなっているのか氣になって調べてみた。

まだ売っていた。


04 タイガーバームを調べた結果

調べてわかったことをいくつか。

販賣元が変わった時期があって、一時的に入手困難になっていたらしい。それは知らなかった。そして今は赤と白の二種類があるとのことだ。僕は白しか知らなかった。赤は溫感、白は冷感という違いがあるようだ。

シンガポールで作られているということも今回初めて知った。タイガーという名前から、何となくインドやタイあたりのイメージを持っていたが、シンガポールだったとは。

そして成分だ。

  • d-カンフル 24.9g
  • ハッカ油 15.9g
  • ユーカリ油 12.9g
  • l-メントール 8.0g
  • ちょうじ油 1.5g

並べてみると、ほぼスースー系の成分で構成されている。カンフル、ハッカ、ユーカリ、メントール。全部冷感・清涼系だ。ちょうじ油だけが少し毛色が違うが、全體としてはスースー成分多めという評価で間違いないと思う。


05 シナモンはどこへ行ったのか

調べる前は、シナモンが入っているかもしれないと思っていた。

あの甘いような、スパイシーなような香りの記憶に、どこかシナモンっぽさがあった氣がしていたからだ。でも成分表を見る限り、シナモンという表記はない。ちょうじ油がクローブのことなので、スパイス系ならそちらが該当するかもしれない。

ということは、僕が記憶していた香りは白ではなく赤の方だったのかもしれない。あるいは、当時の処方が今と違った可能性もある。記憶と現物が一致しないというのは「復」の回でも書いたが、案外よくあることだ。


06 タイガーバームの「タイガー」

今囘「虎」を彫りながら、タイガーバームという名前について少し考えた。

なぜ虎なのかというと、タイガーバームを開発したのが胡文虎(ホー・マン・フック)という人物で、名前に虎が入っているからだという話がある。「虎」という字が名前に使われていたということは、当時の文化圏では虎が強さや生命力の象徴として尊ばれていたということだろう。

百獸の王として獸偏を与えられなかった虎が、今度は薬の名前として世界中に広まっている。字形の独立と、名前としての普及。虎という存在の扱われ方が、時代によって変わってきているのが面白い。


07 制作について

今囘も白文。字體は甲骨文字風で仕上げた。擊邊は入れた。彫る前に研いだ。

制作メモ

  • 印 式:白文
  • 字 體:甲骨文字風
  • 印 材:新疆彩凍石(7mm角)
  • 印 刀:刀匠印刀 三號(彫前に研磨)
  • 擊 邊:あり
  •  

     

甲骨文字はトラの全身をリアルに描いた形だとされる。それを7mm角に收めるには、全身のどの部分を残してどの部分を省略するかという判斷が必要だった。虎らしさが伝わる最低限の線を探しながら彫った。


08 甲骨文字百顆印 これから

七十三顆目で「虎」が加わった。

獸偏がない理由、日本の虎は想像上の生き物、タイガーバームの成分調査、シナモンはなかった、タイガーという名前の由来。今囘も一字から思いがけない方向に話が広がった。次の一顆も楽しみにしながら向き合っていく。

 

 

生成AIさんに作成いただいた画像はこちら、

まぁ!かわいい!(´艸`*)

 


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