前回
のつづきです。
前回は、過去に「外資系レンダー」が何故元気だったか、活躍できたのか?について書きました。
今回は、なぜ元気がなくなってしまったかです。
前回書いたように、元気の源「潤沢な出口」と「分散信仰」にケチがついてしまい、投資の方程式が変わってしまったからなのですが、ここでもう一度、エクイティとデットについて整理しましょう。本来これらの用語は会計的な知識が無いとピンとこないと思いますが、簡単に説明してみます。
世紀の発明と言われる「複式簿記」を元に、企業会計は業績の通信簿として「貸借対照表(バランスシート; B/S)」と「損益計算表(インカムステートメント; I/S)」を作成します。最近は「キャッシュフロー計算書」もセットとしてみなされます。このB/Sは、毎年のある時点の資産、負債、資本を一覧化しています。
このうち資産は会社の持ち物、不動産会社で言えば不動産です。負債(デット)は借りたお金。大きくはローンと社債という種類があります。そして資本(エクイティ)はその差分です。その差分イコール、自分の投資した分です。一般の住宅購入を例に言えば、頭金がエクイティ(自己資本)、住宅ローンが負債、資産が家ですね。
会計資産や金融出身者以外の不動産屋さんでこれを意識している人はほとんどいません。エクイティ=不動産を買う側、デット=それにお金を貸す側、位にしか思っていません。これを理解していないと、世界金融危機(Global Financial Crisis: GFC)で一体何が起こったのか理解できないはずなのですが。
さて、話を戻すと「外資系レンダー」は当たり前ですがお金を貸す人です。ハイリスクな貸し出しをしても証券化して売ってしまえば自分のリスクは限定的になります。だから貸せたのです。しかし、この当たり前の事実すら、レンダーをやっている人たちは麻痺してしまっていたのが事実です。
「何でこんな面倒な事するんですかね?貸し出ししてローンもってりゃいいんですよ」なんて全く頓珍漢な事を言っていた東大卒のエリート投資銀行員もいました。その人だけではありません、皆完全にリスク感覚を失っていたのです。そしてもう一つ、「やられるならエクイティからだろう」という思いもあったと思います。
これがどういう意味かと言うと、例えばあるファンドが不動産に投資するとします。不動産を買うのにお金を借ります。100億円の不動産に20億円をファンドが出して80億円をレンダーから借りるとします。不動産が90億円に値下がりすると、損をするのはまずファンドです。20億円以上の値下がり、80億円以下になって初めてレンダーが損します。そういう仕組みなのです。
正直、D氏もその通りだと思っていました。そしてそれ自体は正しいのですが、このGFCで先にやられたのは何とレンダー、デットサイドだったのです。GFCが起き、投資家が証券化商品や格付けに疑念を抱き、また証券化商品に値段がつかなくなると、「時価会計」に縛られた企業会計は大損を計上することになりました。
また難しくなってしまいました。GFCの起きた一つの大きな要因として時価会計があるのですが、それはまた別途にしましょう。とにかく損を抱えた投資家は、一切CMBS(不動産証券化商品)を買わなくなってしまいました。出口が閉ざされたのです。すると、レンダーはローンを抱えたままになります。
「別にローンを持ってて利息取ってればいいじゃん」と思いますが、時価会計はそれを許しません。証券化する為に投資勘定に乗せているローンは時価評価され、損失を増やしていきます。これがGFCで大手投資銀行が巨額の損失を計上した理由なのです。
そして現在に至るまでその出口は閉ざされたままです。よって、外資系レンダーでもローンを貸し出してバランスシートに乗せて置ける人だけが現在はビジネスが行えます。これは邦銀とやっていることが全く同じです。これでは邦銀以上の給料を社員に払うのは無理なのです。何故なのかはまた次回にしましょう。
このように、不動産金融、証券化の金融技術、世界金融危機、また日本における外資系レンダーの跋扈というのは密接な関係を持っているのです。
ではまた・・・。
前回は、過去に「外資系レンダー」が何故元気だったか、活躍できたのか?について書きました。
今回は、なぜ元気がなくなってしまったかです。
前回書いたように、元気の源「潤沢な出口」と「分散信仰」にケチがついてしまい、投資の方程式が変わってしまったからなのですが、ここでもう一度、エクイティとデットについて整理しましょう。本来これらの用語は会計的な知識が無いとピンとこないと思いますが、簡単に説明してみます。
世紀の発明と言われる「複式簿記」を元に、企業会計は業績の通信簿として「貸借対照表(バランスシート; B/S)」と「損益計算表(インカムステートメント; I/S)」を作成します。最近は「キャッシュフロー計算書」もセットとしてみなされます。このB/Sは、毎年のある時点の資産、負債、資本を一覧化しています。
このうち資産は会社の持ち物、不動産会社で言えば不動産です。負債(デット)は借りたお金。大きくはローンと社債という種類があります。そして資本(エクイティ)はその差分です。その差分イコール、自分の投資した分です。一般の住宅購入を例に言えば、頭金がエクイティ(自己資本)、住宅ローンが負債、資産が家ですね。
会計資産や金融出身者以外の不動産屋さんでこれを意識している人はほとんどいません。エクイティ=不動産を買う側、デット=それにお金を貸す側、位にしか思っていません。これを理解していないと、世界金融危機(Global Financial Crisis: GFC)で一体何が起こったのか理解できないはずなのですが。
さて、話を戻すと「外資系レンダー」は当たり前ですがお金を貸す人です。ハイリスクな貸し出しをしても証券化して売ってしまえば自分のリスクは限定的になります。だから貸せたのです。しかし、この当たり前の事実すら、レンダーをやっている人たちは麻痺してしまっていたのが事実です。
「何でこんな面倒な事するんですかね?貸し出ししてローンもってりゃいいんですよ」なんて全く頓珍漢な事を言っていた東大卒のエリート投資銀行員もいました。その人だけではありません、皆完全にリスク感覚を失っていたのです。そしてもう一つ、「やられるならエクイティからだろう」という思いもあったと思います。
これがどういう意味かと言うと、例えばあるファンドが不動産に投資するとします。不動産を買うのにお金を借ります。100億円の不動産に20億円をファンドが出して80億円をレンダーから借りるとします。不動産が90億円に値下がりすると、損をするのはまずファンドです。20億円以上の値下がり、80億円以下になって初めてレンダーが損します。そういう仕組みなのです。
正直、D氏もその通りだと思っていました。そしてそれ自体は正しいのですが、このGFCで先にやられたのは何とレンダー、デットサイドだったのです。GFCが起き、投資家が証券化商品や格付けに疑念を抱き、また証券化商品に値段がつかなくなると、「時価会計」に縛られた企業会計は大損を計上することになりました。
また難しくなってしまいました。GFCの起きた一つの大きな要因として時価会計があるのですが、それはまた別途にしましょう。とにかく損を抱えた投資家は、一切CMBS(不動産証券化商品)を買わなくなってしまいました。出口が閉ざされたのです。すると、レンダーはローンを抱えたままになります。
「別にローンを持ってて利息取ってればいいじゃん」と思いますが、時価会計はそれを許しません。証券化する為に投資勘定に乗せているローンは時価評価され、損失を増やしていきます。これがGFCで大手投資銀行が巨額の損失を計上した理由なのです。
そして現在に至るまでその出口は閉ざされたままです。よって、外資系レンダーでもローンを貸し出してバランスシートに乗せて置ける人だけが現在はビジネスが行えます。これは邦銀とやっていることが全く同じです。これでは邦銀以上の給料を社員に払うのは無理なのです。何故なのかはまた次回にしましょう。
このように、不動産金融、証券化の金融技術、世界金融危機、また日本における外資系レンダーの跋扈というのは密接な関係を持っているのです。
ではまた・・・。