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Drunk on Speech

このサイトは慶應義塾大学英語会Chief of Speechだった作者が、今まで学んできたこと・感じてきたことを公開しているものです。

大学生向けのエッセイを次々と公開していく予定です。どうかみなさんのSpeech作りの参考にしていただければと思います。




大きな大会のパンツケアは伸び盛りの有能な1年生が任命されることが多いようです。憧れの大会に出場する人と丸一日一緒に過ごすことで、大会に出場するということがどのようなことなのかを学び、大会後もそのSpeakerからアドバイスをもらったりすることができるのです。

しかし、中にはお互い緊張してSpeakerとパンツケアがうまく会話できていないというケースがよく見られます。これほどもったいないことはありません。

私が出場した時の大隈杯では、
各パンツケアが自分の担当のSpeakerが今までどのようなSpeechを行ってきたのかを熟読していました。私が1年生の頃に発表した幻の迷Speechのことまで知っていて、とても嬉しかったことを覚えています。

これは非常に重要なことです。なぜなら、
担当するSpeakerがどのようなSpeechを発表してきたかを知っておけば、それが今日会ったばかりの二人の大きな話のネタになるからです。とかくパンツケアとSpeakerは集合場所の駅から大会の会場まで無言のまま歩いていることが多く、ここで打ち解けられなかったら大会の最後まで会話が続かないということが往々にしてあります。この無言状態を打破するために、自分がそのSpeechのどんなところを素晴らしいと思っているかを最初に話すことで、Speakerとパンツケアの間の絆が深まるのです。

考えてみたら、
これからSpeakerをサポートさせてもらうという人が、そのSpeakerがどんなSpeechを発表するのか知らないというのも変な話です。限られた時間の中でも、担当Speakerのことを理解し、その人が気持ちよくSpeechを発表してもらうために最善を尽くすためには何をしたら良いのか、もう一度大会実行委員会で話し合ってみてください。




日本全国各大会では、毎回ほぼ固定の「大御所Judge」と、将来的なことを考えてお頼みしている「新米Judge」がいます。この「新米Judge」の能力を測ることは、将来にわたって自分の大会で有能なJudgeを確保するという面において非常に重要なのです。

しかし、
ほとんどの大会において、新米Judgeの能力は大御所JudgeとSpeechの判定結果が似ているかそうでないかだけで判断されています。「大御所の○○さんの結果と新米の○○の結果は大きく違っていた。やっぱり新米は使えないな」というわけです。しかし、これでいいのでしょうか。

大御所Judgeが常に自分の大会にふさわしいSpeechを選出するとは限りません。
新米Judgeが、応募されてきたSpeechをどのように評価し、その結果どのようなランキングを出したかが重要なのです。ランキング結果が大御所と似ている・似ていないだけでJudgeの能力を測るというのは余りに早計ではないでしょうか。

そもそも各大会の実行委員会は応募されてきたSpeechを全部読んでいるのでしょうか。全部熟読した上で、「あのJudgeはこのSpeechに対して○○のように評価して、○○のような結果を出した」ということをすべて検証しているのでしょうか。

検証してみたら、
大御所Judgeが低いランクにしているものでも、新米JudgeがそのSpeechの違った素晴らしい一面を見出し、高い評価をしているということもあるはずです。その評価が自分の大会においてふさわしいものであれば、新米Judgeの能力を高く評価すべきではないでしょうか。

応募Speechを全部読んでいないような大会実行委員会に、大御所と結果が違ったというだけで「使えない」という烙印を押されてしまった新米Judgeは可哀想です。しかし、
長年そうした手抜きを行っている大会には、いつまでたっても中堅の若手Judgeが育たず、大御所の引退と共にその大会も衰退していくというしっぺ返しが待っています。

そうした悲劇を繰りかえさないためにも、大会実行委員会は各JudgeがどのようにSpeechを評価したのかを逐一検証することが必要不可欠です。
逆にJudgeの方は、自分がどのような評価を行ったために、最終的にこのようなランキングを出したのだということを、コメントシート上できちんと説明することが必要なのです。




久しぶりに大会に足を運んでみると非常に変わったコメントを壇上で行っているJudgeがいるのにびっくりしてしまいました。そのJudgeは壇上で当該大会のSpeechについてコメントを行うことを求められているにもかかわらず、こともあろうに自分のお気に入りのSpeakerを取り上げて、そのSpeakerがどの大会で優勝しただの、来年はこの大会で勝つだろうという独自の下馬評を気持ちよさそうに話しているのです。

その下馬評の対象となるSpeakerが当該大会に出ている人間だけに限定されているならまだしも、全く別の大会に出ているお気に入りのSpeakerを取り上げて、「彼女のSpeechは素晴らしかった」などという頓珍漢な発言を行っているのです。その大会に苦労して出場して、一生懸命Deliveryを行ったにもかかわらず、たまたま彼が知らなかったというだけでコメントの中で触れられもしなかったSpeaker達が、一体どういう気持ちでその大会をあとにしたかは想像に難くありません。

こういうコメントを聞いていると、彼は自分のお気に入りだけを上位につける傾向があるのではないかと疑いたくなります。彼のつまらない下馬評を、愛想笑いを浮かべながら適当に聞き流していた多くの聴衆もきっと同じ感想を持ったと思います。実際に多くの聴衆は非常に不愉快だったと怒りをこらえていました。

こういう空気が出来上がってしまうと、
負けた人間は「自分は彼のお気に入りでなかったから負けた」との気持ちだけが大きくなり、分析すべき敗因をその一点に絞ってしまいます。逆に勝った人間に対しては、「あの人は彼と癒着しているから勝ったのだ」という不名誉な誤解を周りから抱かれかねません。勝った人間にも負けた人間にもプラスになることは何もなく、彼の下馬評で聴衆まで嫌な気分になってしまうのですから、こういう人間をJudgeとして呼ぶと、せっかくの大会が最後の最後で台無しになってしまうのです。

どんなJudgeを呼ぶかは大会の運営者が決めることであるのでとやかく言うつもりはありませんが、こうした弊害を運営者自身も認識しているにもかかわらず、他にJudgeがいないからとか、断りきれないからとかいう理由で今後も仕方なく呼んでしまうのはどうかと思います。少なくとも「私」は、Speechに対するコメントを求められている場で、Speechとは全く関係ない下らない下馬評を展開するような人は、Judgeとしてワンストライクアウトで退場だと思います。




こんな私でも年間数校のESSからJudgeのお誘いがあります。時間との関係で泣く泣くご辞退させていただくこともありますが、Judgeをやっていないとエッセイも現実感が出てこないので、年間で3-4くらいはやっていきたいなと思っています。

しかし、中にはJudgeの依頼を受けたときにカチンと来てしまうような時が意外とあるのです。
私のような下っ端Judgeに不信感をもたれるならまだしも、他の重鎮Judgeの方々怒らしてしまったら大変です。ですから、勧誘する時に注意すべきことを書いておきますので参考にしてみてください。

1. その人の審査のスタンス・特徴はなんなのか。それを自分の大会でどのようにいかして欲しいのかを伝える。
2. その人が過去にどのような大会でどのような審査を行い、どのような講評を残し、どのような評判になっているのか調べる。
3. その人が現役生の時にどのようなSpeechを書いていたのかを熟読して理解し、そのSpeechの特徴を把握しておく。
4. その人にどのようなコメントを中心に行ってもらいたいのかあらかじめ考えておく。
5. 原稿到着予定日・審査締切予定日・大会開催予定日・昨年の応募総数を伝える。
6. 審査を依頼するときは、審査締切日の2ヶ月くらいまで余裕を持ってお誘いする。


当たり前のことばかりですが、これをきちんと行っていないESSが多々見受けられます。
ひどい大会になると、「○○さんに断られたのでナカオさんにお願いします」という無礼極まりない発言を平気で行う人がいるのです。その○○さんというのが私の後輩だったりするという笑えない冗談もあります。

一番大事なのは、「なぜその人にJudgeをしてもらいたいのか」という点を明確にするということです。その人が有名だからだとか、誰からか紹介されたからとかいう薄っぺらい理由ではなく、その人にどのような能力があると見ていて、それをどのように大会で発揮してもらいたいのか一つずつ考えていくことが必要です。Judgeの方としても、そこまで丁寧に依頼を受ければ、審査への熱の入れようも変わるのですから。




Elimination Judgeは予選が終わったあとは用無しだと思っている大会があります。Judging Sheetを出してしまったら、その後は何の音沙汰もありません。しばらく経ってから連絡も無しにJudging Feeの振込みがされているだけ。ひどい大会になるとこちらが請求しないとFeeの振込みすらまともに出来ない大会もあるのです。

本当は以下の4点くらいは最低限行って欲しいところなのです。

1. 予選審査原稿すべての応募者名・所属ESSを明らかにする。
2. 予選を通過して本選に出る人が誰なのかを明らかにする。
3. パンフレットが刷り上ったらお礼状を添えて送付する。
4. 本選の結果を報告する。


大会運営者に決定的に欠落しているのは、Elimination Judgeに対するアフターケアです。Elimination Judgeは自分が審査をしたSpeechは誰が書いたのかを知りたいと思っていて、結局誰が予選を通過したのかを知りたがっています。予選で担当したSpeechに面白いものがあれば、本選にも足を運んでみたいと思うのは自然なことです。仕事の都合で結局は本選に行けなかったとしても、誰が入賞したのかを知りたくないというElimination Judgeはいません。

Elimination Judgeの審査眼を鋭くするために役立つ情報を提供し、Elimination Judgeも潜在的な聴衆の一人であるという認識を持つことが大会運営者には必要なのです