ダイビングと健康~痛みの対処法 | 精神科医:みえしん院長

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おはようございます(こんにちは)。三重心身クリニックの臼井卓士ですニコニコ
前回からダイバーの方から良く受ける健康上の悩みについて少し書いています(→過去記事 )。


ダイビングは、多くのスポーツやアドベンチャーに比べて安全性が高いレジャーと言えますが、やはり自然相手ですし、水の中でのレジャーですのでやはりそれなりの危険は想定しておく必要があります。ダイビングにおいては、スキルアップも大切ですが、自分の体調を整えて楽しむことがトラブルの予防に大切です。また健康問題についてはダイビングに限らず他のスポーツにも共通しているものも多いと思います。
今回は、
「痛み」「痛み止め」について書きます。

ダイバーの方から受ける「痛み」の相談で多いのは、
①腰や関節の痛み
②顎の痛み
③月経痛(生理痛)
④歯痛


①の場合、シニアのダイバーも増えていますが、肥満などがあれば減量は普段から心がけましょう。ただすぐには無理ですのでしょぼん、③でも述べますが鎮痛薬を活用するのも大切です。水中では機材も軽くいなりあまり問題ないのですが、やはりエントリーの時が腰にこたえやすいようです。毎回はできないかもしれませんが、ビーチまでの距離が短いところや、階段がないところボートダイビングのほうが楽かもしれません。


②これで多いのは「顎関節症」夜間の歯ぎしりなどで顎の関節に負担がかかっている場合が多いです。ダイビング中に無意識にマウスピース(タンクからの空気を吸うための装置)をかみしめ、顎の痛みが出る場合が多いです。対策として、歯科装具の作成や、ストレスも関係していることがあるので、夜間の緊張をとるような安定剤(抗不安薬)も検討してみましょう。


③これが一番よく受ける質問です。まず生理中といっても潜ること自体は全く問題がありません。しかし痛みがあまりにつらい場合、ダイビング自体が楽しくありませんし、吐き気などを催しやすいので痛み止め(解熱鎮痛剤)を飲んで潜るのがお勧めです。眠気などでない鎮痛薬として、以下がお勧めです。


ロキソニン®(ロキソプロフェンナトリウム水和物)はもっとも一般的で、胃腸を荒らすことが少ないです。

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その次によく処方するのがバファリン®(アスピリン)です。

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これらが効かない場合ボルタレン®(ジクロフェナクナトリウム)がお勧めです。ただし鎮痛効果は強いですが作用時間はやや短めです。

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他にもいくつかあります。あなたに合うものを処方してもらいましょう。一般に胃を荒らすものが多いので、胃薬(粘膜保護剤)の併用をお勧めします。

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ここで注意事項があります。市販の鎮痛薬は眠気を起こす成分が入っていることが多いのでご注意ください。なかには類似の名称のものもあるので注意が必要です。たとえば市販の「バファリンプラスS」という商品は「バファリン」という名前はありますが眠気を催す成分を含んでいます。眠気を催す成分が含まれているとダイビング中の判断力を鈍らせるので避けたいですね。


④は軽度であれば大抵の場合問題はないでしょう。ただし、外見は小さくても歯の内部に虫歯が進み空間ができることがあります。このような場合、潜行に伴い圧力が高まり歯の内部の空間を圧迫し、不快感と痛みがひどくなることがあります(ダイビングの用語で
スクイズと言います)。この場合はダイビングを続けられなくなります。気になる方は定期的な歯の検査を受けておきましょう。
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