抗うつ薬の院内研修会レポート | 精神科医:みえしん院長

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医療現場では、日々目覚ましく医療技術が進歩しています。それは精神神経科領域でも同様です。
7月14日は、院外講師を招いて抗うつ薬に関する研修を実施しました。

臼井卓士のブログ
抗うつ薬は「うつ病」の治療で用いるお薬の総称です。うつ病は単に「気の持ちよう」で起こるものではなく、脳内の神経伝達物質の働きが悪くなることによって起こる病気です。私たち精神科専門医は症状に応じ適切な抗うつ薬を選択し、患者様が早くつらい状態から抜け出すことができるよう治療します。
私は医療現場では全てのスタッフが一定以上の専門知識を有していることが必要と考えています。お薬の処方をするのは医師ですが、患者様が医療用医薬品をより適正にご使用いただくためには、スタッフのサポートが重要だからです。14日も精神科医師のみならず、隣接の調剤薬局の薬剤師の先生、保健師、看護師のほか医療事務従事者も参加しての研修でした。

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(ちなみに三重心身クリニックではより安全で効果的で新しい医療を提供するため職員研修を月に1回程度開催して職員の研鑽に努めています。)
ジェイゾロフト®(JZOLOFT)というお薬が主なテーマでした。このお薬は米国ファイザー社が開発した選択的セロトニン再取り込み阻害剤(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor:SSRI)で、うつ病を対象としたざまざまな臨床試験の結果、110カ国以上の国々で約20年の使用経験のあるお薬です。日本では2006年に「うつ病・うつ状態」ならびに「パニック障害」の適応を取得しています。
1日1回服用の簡便な用法で治療ができますし、うつ病に対して、日本で初めて再燃(≒再発)予防効果が示された抗うつ薬です。また複数のお薬が必要な患者様の場合、お薬同士の飲み合わせが気になりますが、そういった心配が少ないのも特徴です(注:肝代謝酵素(チトクロムP450)に対する影響が少ない)。
お薬の働く仕組みですが、脳内セロトニン神経に作用し、セロトニン濃度(シナプス間隙の)を高めてセロトニン神経伝達を改善する作用があります。抑うつ気分や不安などの精神症状のみならず、不眠などの身体症状にも効果を発揮するお薬です。
なお海外では「Zoloft」ゾロフトと呼ばれていますが、これには「zo」=活動性、「loft」=持ち上げる、という意味があるそうです。日本では似た名前のお薬が発売されていたので、JAPANのJの頭文字をつけて「ジェイゾロフト」となったそうです。 
講師の先生のお話によると、「シックスセンス」という映画でブルース・ウィルスが洗面台で「Zoloft」の小さなプラスティックボトルを発見するシーンがあるそうです。皆さまもシックスセンスを見る機会があったら気をつけて探してみてください。私も今度観るときに注意して観てみます。

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そのあとお楽しみの昼食とカンファレンス(院内会議)でした。今回は事業計画の進捗状況の報告と全体での審議でした。またうれしいことなのですが、三重心身クリニックではますます多くの方にご来院いただくようになり、またお薬の治療以外のご希望の方も増加傾向が顕著になってきております。点滴やカウンセリング、栄養解析、バイオフィードバック療法など様々なサービスをより効率的に、そして何よりより安全に実施できるよう全員で情報共有を行いました。皆さまのニーズに応えられるようなサービス展開を常にこころがけ全員で頑張っていきます。

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