鉄について | 精神科医:みえしん院長

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三重心身クリニックの分子整合栄養医学外来では、脳をはじめとする身体の栄養状態を精密な血液検査により評価し、不足している栄養素を評価し、それを補給することで精神疾患をはじめとする様々な疾患を予防・改善していく事を目的にしています。


鉄(Fe)について追加です。鉄は当院ではヘム鉄としてよく処方するサプリメントです。通常は月経のある年代の女性において鉄欠乏予防のために服用しますが、当院では鉄欠乏に伴う種々の症状が明らかな場合や、精密な血液検査の結果、貯蔵鉄(前回参照)が減少している場合にも処方します。

成人女性では易疲労、動悸、抑うつ感など多くの不定愁訴の原因となります。女性の方の処方に加えることが多いですが、男性にも処方します。特に成長期やスポーツをされる男性では鉄欠乏がよく見られます。
本来、食物から摂取するものですが、ライフスタイルや環境の変化によって鉄の摂取量が減少しています。また鉄は吸収されにくいミネラルです。また詳しく書いていきたいと思っていますが、紅茶などに含まれるタンニンや穀物に含まれるフィチン酸、食物繊維によっても鉄の吸収は阻害されます。また、鉄欠乏に対し医師が処方箋でよく処方する、鉄剤(フェロミアやスローフィー)は副作用のため続けられない方が多いです。

さて当院の分子整合栄養医学外来では治療用のヘム鉄サプリメントを処方することが多いです。これは動物性のヘモグロビンやミオグロビン、チトクロム由来であり、吸収率が高いのが特徴です。ヘム鉄の吸収率は10~30%あります(非ヘム鉄では2~5%)。またそのままの形で小腸粘膜上皮に吸収されます。

鉄は月経のある女性では必ず補給してほしいですし、妊婦さんや、成長期の方、がん患者や更年期の女性も含めて男女ともに幅広い年齢層で重要な栄養素です。