鉄について | 精神科医:みえしん院長

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当院の分子整合栄養医学外来では、脳をはじめとする身体の栄養状態を精密な血液検査により評価し、不足している栄養素を評価し、それを補給することで精神疾患をはじめとする様々な疾患を予防・改善していく事を目的にしています。


今回は鉄(Fe)についてです。鉄は当院ではヘム鉄としてよく処方するサプリメントです。特に女性の方の処方に加えることが多いですが、男性にも処方します。
成人の鉄の貯蔵量は、4~5gです。鉄は赤血球のヘモグロビンとして最も多く存在します(体内の1/3)。酸素を運搬する機能を持ちます。他にも筋肉中のミオグロビンとしても存在し、筋肉における酸素の運搬にもかかわります。また様々な酵素が活性を発揮するためにも鉄は必須なミネラルです。
重要なミネラルなので、体内では「貯蔵鉄」という形で蓄えられています。
当院で分子整合栄養医学外来を利用されている方々の多くの方が、一般内科や人間ドックの採血の結果「貧血はないですよ」と言われています。ですので、「ヘム鉄を摂ってください」というと「今まで貧血なんて言われたことがない」とおっしゃる方も多いです。一般の病院やクリニックではヘモグロビンや赤血球数などを根拠に「貧血・鉄不足はありませんよ」と説明がなされることが多いようです。しかし実は鉄不足があっても赤血球数やヘモグロビンが減ってくるのは、ずいぶん後になってからです。貯蔵されている鉄が底を打つころにようやく赤血球などが減ってきます。しかし、「つかれやすさ」「手足の冷え」「動悸」「倦怠感」「めまい」「うつ」「耳鳴り」「集中力低下」などの鉄欠乏による症状は貯蔵鉄が減少するころには出現します。鉄欠乏による症状は実に様々で、他にも粘膜・皮膚障害、免疫の低下、種々の精神症状などが生じます。

鉄は月経のある女性では必ず補給してほしいですし、妊婦さんや、成長期の方、がん患者や更年期の女性も含めて男女ともに幅広い年齢層で重要な栄養素です。