地元で愛される小さな、でも息の長いパン屋でアルバイトをしている。
いい香りのする店内に、やや高いお金を払ってもおいしいパンが食べたいお客さんが集う、心地のよいコミュニティ。
パン屋の奥さんは柔らかな物腰で、絶えず笑顔の素敵な方である。
20年以上自営業でパン屋として営業していて、睡眠時間が短い中でさまざまな苦労をしているとは全く見えない。
そして、旦那さんとの仲も良く、今後結婚することがあるとするならば、このような夫婦でありたいと思うのである。
そんな奥さんと物価高騰の話の流れから、世界で中東情勢についての話をした。
私が特段どちらの考えに偏っているということはないが、唯一主張を挙げるとするならば、”どちらにも正義がある”ということである。
圧倒的に片方が悪いように見えても、その後ろには事情があり、テレビ報道などの影響を受けてしまっている部分があると思っている。
パン屋の奥さんはひと言。
「みんながお互いのことを思いやれば、戦争って起きないと思うのね」
……たしかにそうだ。
学があることで世界の見え方や切り取り方はもちろん変わるけれど、根本の原理はここにあるはずだったのだ。
小学生でも知っているそんな些細なことであったのに、なんだか年を重ねるほどに頭から抜けてしまっているところだと思った。
パン屋の奥さんのように、やわらかくレンズを通して世界を見られる大人でありたいと思った今日この頃である。