昨日目黒雅叙園で開催された、日経BP主催の国際会計基準シンポジウム2010に参加してきました
IFRSをテーマにしたセミナーが複数、一日がかりでした
蛇足ですが、IFRSの訳って国際財務報告基準では? 国際会計基準はIASでは? と思ってシンポジウムの題名に疑問を持ったのですが、金融庁が”国際会計基準”という単語を使用しており、”国際財務報告基準”はIFRSの前進であるIASと区別する場面で使われるらしいです。
以下、私が参加したセミナーのうちいくつかに関するまとめ(私見含む)です。
『我が国企業への国際会計基準の導入について』 金融庁 三井秀範氏
この講演は特IFRSに対する誤解の説明がIIFRSに不安を感じられている企業側からの参加者様にとって胸をなでおろす内容だったのではないでしょうか?
(コンサル会社にとっては好ましくなかったかもしれませんが(笑))
【4月に金融庁より公表された誤解の内容】
・上場会社だからといって直ちにIFRSが適用されるわけではない
・非上場の会社はIFRS適用する必要なし
・ITシステムはIFRSを適用するために必要な範囲で見直す 全面的にする必要なし
・IFRSになっても監査上の判断については日本の法令や監査基準に基づいて行われるので、大手監査法人でなければならないというわけではない
・IFRSになっても我が国の企業は日本の監査基準に従って監査を受ける
・持ち合い株式の公正価値の評価変動額はその他の包括利益に計上する方法を選択でき、この場合は当期純利益に影響を与えない
(IFRSでも当期純利益が表示される)
・減価償却の方法は将来的な資産の経済的便益の消費パターンを反映したものを採用しなければならないのであり、定率法が全く使えなくなるというのは誤り
・収益の認識は合理的にリスクと便益の移転が認められるか、個々具体的な事例に即して適切に判断されるべきであり、出荷基準が全く認められなくなるというわけではない
【IFRS導入時の留意ポイント】 あずさ監査法人 天野秀樹氏
さすが会計士の方だけあって、IFRS基準によって提供される財務情報の質的側面及び連結グループに要求される留意点などをご説明いただきました。
・IFRSは原則主義・経済実態重視、資産・負債アプローチに基づく、投資家・アナリスト向けの財務報告基準
(費用収益対応原則、保守主義原則は存在しない)
・包括利益計算書は財政状態計算書の連結環
・包括損益によるインパクトをおさえるには公正価値・為替リスク・の変動及び年金数理差異のエクスポージャーを最小限にとどめる事が重要
・各種業績管理指標は公正価値を反映した金額が分母とされる事などにより影響される
・連結グループにおいては会計方針及び会計期間情報を同一のものとする必要がある
(実務上不可能な場合が認められるケースはレア)
・上場子会社を非上場化すれば、親会社ガバナンスの簡素化・開示コストの削減・敵対的買収リスクの低減などのメリットがある
・子会社の方がIFRSを先行適用している場合、個別FSの帳簿価額で連結し、組替等で調整
【IFRSプロジェクトの進め方と成果物】 ジャパン・ビジネスアシュアランス 脇一郎氏
脇先生も公認会計士でしたが、IFRS導入の具体的手順、会社に要求される対応の具体的内容などを非常にわかりやすくご説明いただきました。
・IFRS導入プロジェクト計画の策定にあたっては、まず社内でIFRSのコンセプトを理解し、IFRS導入ロードマップ策定を目標として全体、個別に分析を進めることが重要となる
・会計方針の策定にあたっては、実施項目ごとに業務・システムへの詳細影響分析を実施し文書化することが重要となる
・IFRS財務報告作成準備にあたっては規定整備、注記の記載条件の検討、仕訳データの加工・修正、連結、J-SOX対応、FS作成等のプロセスが含まれるが、ここは一番工数が要求される、作業の多い場面であり、人材の確保等社内におけるIFRS対応リソースの再検討、CEOの積極的な関与などが求められる
コンサルティング会社を利用する場面、社内で強化すべき場面はCEO(CFOではなく)が十分な理解を示した上で主体的に取り組む必要があるということを再認識しました。