同軸ケーブル1本で給電できる 144 / 430MHz 2バンド八木アンテナ | Dr. Nebiya's Blog

Dr. Nebiya's Blog

無線通信技術のコンサルタント会社の経営と
大学での非常勤講師をしています。

 同軸ケーブル1本で給電できる 144 / 430MHz 2バンド八木アンテナを作りました。144MHz は2素子八木アンテナで放射器に同軸ケーブルで給電を行います。430MHzは無給電素子の放射器による3素子八木アンテナを同一ブーム上に配置した2バンド八木アンテナです。このアンテナの詳細は、CQ Ham Radio 誌の新春号(2024年1月号 / p.122~p.127)に記事を書きましたので、ご参照ください。

 

 

 144MHz帯は、通常の2素子八木アンテナとして動作します。この 144MHz帯の輻射器に430MHzの高周波電流を供給すると、アマチュアバンドの144MHz帯と430MHz帯は、周波数は1:3(波長は3:1)の関係なので、144MHz帯の輻射器には3/2波長の電流分布を呈する素子として動作し、隣接する 430MHz帯の放射器には大きな高周波電流が誘起されます。そのため、同軸ケーブルで 430MHz の放射器に給電しなくても、430MHz帯では 3素子八木アンテナとして動作します。

 

 

 エレメントを直径3mmの真鍮パイプとして、電磁界シミュレーションで最適化した寸法図ですが、実際のアンテナで調整していると寸法が変わってきました。あくまでも参考程度の寸法図です。図中の Ra(144)の中心部の ●● が給電点です。

 

 

 同軸ケーブルで給電する場合はバランが必要なのですが、144 ~ 430MHz をカバーするバランが思い浮かばなかったので、RFチョークを入れて、同軸ケーブルの外皮への電流が流れるのを抑えています。フェライト材などは、この周波数で効果があるそうなものが手持ち出なかったので、同軸ケーブルをブームに数回、巻きつけただけの簡単なRFチョークです。

 

 

 調整に時間はかかりましたが、うまく動作しているようです。両バンドの SWR 特性を示します。利得は SWR が最低となる周波数で、144MHzで 3.3dBi、430MHzで 5.2dBi でした。