吉祥寺で開業して2年経ったある日、2つ上の兄保則から電話がかかってきた。
「ある方を診て欲しいのだけれど… 頼めないかなぁ!!」詳しくは鯖江(福井県)の友人から連絡が入るからよろしくとのことであった。
翌日兄の友人である長井氏より電話が入り「我々の大事な先生の治療をお願いします」と依頼があった。
2~3日して、その方がお見えになった。当時、吉祥寺センターはビルの2階にあったが、3階にも部屋を借りていたので、そこにお待ちいただくようにした。
診療が一段落してから、3階に上がり、そのご仁にお会いした。その方は行徳哲男氏とおっしゃって48歳位で、月に3回箱根の山で経営者を対象にした訓練をなさっておられる哲学者であった。普段は全国津々浦々で講演されている著名な先生である。
年数回中国、韓国、ブラジル、タイなど海外でも講演して経営者や事業家たちの指導をされている。
行徳哲男氏はBE(感受性開発訓練・Basic Encounter Training)研究所・所長で、米国流の行動科学・感受性訓練と、日本の禅や経営哲学を融合させ感性のダイナミズムを起こさせて、人間が本来持っている感性を覚醒させる訓練を実施されておられる方である。
当時は、私はそんなことを知る由もなくお会いしていた。最初行徳氏は無言で私の眼をジッと見つめて5分くらい沈黙の後、「よしゃ!私の体をあなたに預けましょう。よろしく頼みます」といって、2階のクリニックに入った。
この日を境にお互いの心が通じ合い「先生」「ドクターまたはフミヤス君」と呼び合う中になった。31年経った今では「先生」というより「おやじさん」という気持ちになっている。
先生との出会いは、このように衝撃的出会いであった。
Dr.中島の思い出日記(18)