忘れられない患者さん7下町のお母さん | 中島旻保の大人の絵日記

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医療者でありながら一方では、政治経済のことになると言いたい事が沢山あるそんな中島旻保のコラムとも言える絵日記


中島旻保の大人の絵日記-忘れられない患者さん7下町のお母さん_思い出17


 吉祥寺で開業して、すぐ近所の八百屋さんから電話が入った。「うちのお母さんが、ぎっくり腰で動けなくなったので往診をしてほしい」という依頼であった。当時はまだ開業して、そう忙しくなかったのと、歩いて1分くらいのところなので往診に行かせてもらった。
 
店内を通り抜けて奥の部屋に入ると五十代前半の女性が横たわっていた。重いものを移動させようと持ち上げた際にぎくっとして立てなくなったらしく、痛みでうずくまっておられた。
 
早速、診察したところ腰椎下部の椎骨の変位によって坐骨神経が圧迫されて下肢に痛みが出たようだ。患部を温め筋肉を緩めてから腰椎の変位を矯正したところ、かなりの痛みが消失した。
 
翌日もう一度往診に行ってから、クリニックに来院していただいた。
3日目には娘さんの支えで歩けるようになり、一週間経って痛みもとれ、10日目にはすっかり回復した。過去にも何度となく腰痛を起こして困っていたようだ。
 
その後、ご家族が体の不調や負傷を起こすと私のクリニックに訪れるようになった。「近                                                                                      くにこんないい所ができたので助かります」と言っていただき、近所の人たちや知り合いの人たちを多く紹介していただいた。どうも古くから八百屋さんを営んでいるので、商店街のお母さんとして慕われているようだ。正に下町のお母さんといった感じである。


Dr.中島の思い出日記(17)