医師サイトに掲載されていた医療ニュースをご紹介。
著作権の問題があるのでこちらの論文を要約してお届けします。
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慢性便秘の改善にキウイが有効
英国栄養士会(BDA)が新たに作成した慢性便秘に関する包括的な食事ガイドラインによれば、キウイ、ライ麦パン、特定のサプリメントは、薬に頼らずに慢性便秘を管理するのに役立つ可能性があるという。
英キングス・カレッジ・ロンドン(KCL)准教授で登録栄養士でもあるEirini Dimidi氏らが作成したこのガイドラインは、「Journal of Human Nutrition and Dietetics」に10月13日掲載された。
Dimidi氏は、「本ガイドラインは医薬品ではなく、食事療法による便秘治療に焦点を当てている」と説明する。同氏は、「便秘に悩む人が、科学的エビデンスに基づいた情報を得ることで、自分で症状をコントロールして、生活の質(QOL)に多大な影響を及ぼしている症状を改善することができると感じてくれることを願っている」と話している。
効果が“はっきり”出たもの
サイリウム(psyllium)
排便回数・便性状の改善。
溶解後にゲル化して便容積と含水量を増やす。
用量は製品により異なるが、実臨床では 6–12 g/日を目安に漸増が無難。
キウイフルーツ
目安は1日2–3個で便通・腹部症状の改善
(食物繊維+アクチニジン等の影響が示唆)。
ライ麦パン(全粒ライ、黒パン)
便容積・通過時間の改善。
小麦パン置換より効果が明確。
高ミネラル水
硫酸塩/マグネシウム/重炭酸塩を多く含む天然水。
腸管内の浸透圧作用で通過時間短縮。
臨床試験では1 L/日程度で効果報告。
酸化マグネシウム
日本でも馴染みのある浸透圧下剤。
ガイドラインでも有効例として整理。
腎機能と高Mg血症リスクに注意。
プロバイオティクス(※菌株依存)
全体としては有望だが、“株”指定が重要。
混合乳酸菌製剤の一部で改善が見られる一方、効果不十分の株もある。
エビデンスが弱い/一律推奨しにくい
「とにかく繊維を増やす」一般論
可溶性/不溶性の内訳や食品の質が重要で、“量だけ”増やす戦略は非効率。
特定ハーブ系や刺激性下剤由来のサプリ
センナ等は食事ガイドの範疇では推奨根拠が乏しいと明示。
生活指導の要点
水分
高ミネラル水が試せる環境なら1日分割摂取を検討。
腎機能・高血圧・心不全等には配慮。
食の“質”>“量”
ライ麦、キウイ、プルーン等、“効いた食品”へ置換。
個別化
腹部膨満が強い症例では、発酵性炭水化物が多い食品の急増に注意。
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便秘に「食物繊維を増やしましょう」は定番ですが、実は何をどれくらい食べるかで結果は大きく変わります。
2025年、英国栄養士協会(BDA)が初のエビデンスベース食事ガイドラインを発表しました。
サイリウム、キウイ、ライ麦、高ミネラル水、酸化マグネシウム、特定のプロバイオティクスなど、効いたものがはっきりしました。
今日は医師の視点で、ポイントをわかりやすくまとめます。
この論文の結論は・・・
・サイリウムは最有力のファーストチョイス
・食材ならキウイ2–3個/日、ライ麦パンが有望
・高ミネラル水(硫酸塩・マグネシウム豊富)は1日分割で
・プロバイオは菌株選びが命
・「繊維の量だけ増やす」は時代遅れ。質と種類で攻める。
どう効くの?
サイリウム:水を抱えて便の保水・容積↑ → 蠕動刺激。
キウイ:食物繊維+酵素(アクチニジン)などが通過時間短縮に寄与。
ライ麦:アラビノキシラン等で発酵しやすく便容積↑。
高ミネラル水:浸透圧作用で水分を腸内に保持。
すぐ試せる「1週間プロトコル」を論文から考えてみました。
朝:サイリウム 1回3–4 gを十分な水で(→便性を見て漸増)。
食事:小麦パン→ライ麦パンへ置換、キウイ2個/日を追加。
水分:可能なら高ミネラル水を250 mL × 4/日で分割。
2週間評価:便回数、BSFS、腹部膨満、腹痛、QOLをスコア化。
反応乏しければ菌株指定のプロバイオを医師と相談の上、選定。
注意したいポイントとしては
・サイリウムは水とセット。水分不足は逆効果。
・腎機能障害・高Mg血症リスクがある方はMgO/高Mg水に注意。
・プロバイは株が大切。“ヨーグルトなら何でもOK”ではない。
肛門科医の立場として「慢性便秘」に対して申し上げたいことがあります。
便秘がどこで起きているのか?
腸なのか出口(肛門)なのか?
そこを突き止めなければ的外れな便秘治療になってしまいます。
この本にも書きましたが↓
肛門診療をやっていて、便秘の8割は出口で起きているので、口から入るもの(食べ物やサプリ、下剤)ではなく、出口に下りてきている便を完全に排出することが重要です。
便秘は出口で起きているのに、腸に効くモノを摂っても根本的な解決になりません。
また酸化マグネシウムは「便を出す薬」ではなく「やわらかい便を作る薬」です。
カチカチ、コロコロの便しか出ないタイプの方には適応がありますが、良い便が作られているのに出口で便が溜まっているだけという「出始めの便が硬い」タイプの人には必要ありません。
この論文で提案されているキウイやライ麦、サイリウムや高ミネラル水(酸化マグネシウム)は出口の便には効きません。
便の製造がうまくいってないのか
便の排出がうまくいってないのか
あるいは両方なのか
それによって便秘治療は異なります。
闇雲に「便通に良いから」とあれこれ試すと、下痢になったり何度も便が出たりして、かえって肛門に負担がかかっている人は多いです。
「クセにならないから」という理由で酸化マグネシウムを服用している人が多いですが、軟便・下痢便が常態化すると肛門が狭くなってしまいます。
酸化マグネシウムのせいで切れ痔(裂肛)を悪化させている人をたくさん診てきました。
「便を秘める」と書いて「便秘」と読みます。
どこにも「便が出ない」とは書いてありません。
だから毎日便が出ていてもスッキリ出ずに出口に便が残っていたら便秘です。
残った便は次の日に持ち越し。
一晩寝かせて熟成された便は硬くなります。
翌日、出始めの便が硬いのは昨日の残便。
出始めの硬い便で切れ痔(裂肛)になっている人が多いです。
その残った便を出さずに痔の治療はあり得ない。
出口の便秘が一般の人にも医師にも知られていないので、何をしても、いつまで経っても「スッキリしない」「痔が治らない」「痔を繰り返す」という人がいかに多いことか。
まずはどこで便秘をしているのか確かめましょう。
意外とお腹(腸)ではなく出口(肛門)かもしれません。
腸活してもサプリを飲んでも、乳酸菌を飲んでも、何をしても便秘が治らない、おしりの症状が良くならない人は出口の便秘を疑ってみて下さい。
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