マグネシウムの重要性については患者さんにも伝えてきました。
日本人はカルシウム神話が広く深く浸透しているので、カルシウムばっかり摂っている人も多く、カルシウム過剰で関節痛を引き起こしていた患者さんもおられました。
それよりも大切なのはマグネシウムですよ
とお伝えしたら、皆さん、きょとんとされます。
うちの患者さんたちは下剤として酸化マグネシウムを服用されていた人が多いので、マグネシウムというと下剤のイメージを持っている方も多いです。
下剤として使われているのは酸化マグネシウムや硫酸マグネシウム、水酸化マグネシウムなど。
これらは便をやわらかくする作用があります。
要するにそれだけ口から摂取しても血液中に吸収されず便になって出てくれるということ。
だから口から摂るよりも皮膚から吸収することをオススメしています。
もちろんサプリメントとしてマグネシムはあります。
こちらはクエン酸マグネシウムだったりリンゴ酸マグネシウムだったりするので、下剤とは違うのですが、それでも患者さんによったら便がゆるくなる人がいます。
だから皮膚から吸収することをオススメしています。
お風呂にエプソムソルトやにがりを入れて毎日湯船に浸かってもらっています。
エプソムソルトはネットでも簡単に買えます。
特にこれがオススメというものもありません。
毎日使うものなのでコスパ重視でOK
私が使っているものはこれです↓
あと、にがりはこちらを定期便で購入しています↓
毎月1本定期的に届きます。
そして足がつるなどの症状があればマグネシウムクリームを塗っています。
マグネシウムは血液検査では足りているかどうか判断できません。
マグネシウムのほとんどが細胞内に存在するからです。
だから血中マグネシウム濃度が正常だからと言ってマグネシウムが充足しているとは言えない。
マグネシウムが足りているかどうかは、あくまでも症状で判断します。
主なマグネシウム不足症状・徴候としては以下のものがあります↓
1. 神経・筋肉系
筋けいれん(こむら返りなど)
手足のしびれ、チクチク感
筋力低下
振戦(ふるえ)
テタニー(筋肉の持続的なけいれん、痙縮)
異常な反射亢進
2. 中枢神経系
易刺激性(イライラしやすい)
不安
意識障害(混乱、昏睡)※重度の場合
けいれん発作
3. 心血管系
不整脈(心室性期外収縮、心房細動など)
血圧変動(低血圧や高血圧)
4. 消化器系
食欲不振
悪心(吐き気)、嘔吐
5. 検査所見
低マグネシウム血症(血清Mg < 1.8 mg/dL)
低カリウム血症(Mg欠乏がKの保持に影響)
低カルシウム血症(PTH分泌障害による)
注意点
マグネシウム不足は単独で起こることは少なく、低カリウム血症や低カルシウム血症を伴うことが多いです。
慢性的な軽度不足は、疲労感や軽い筋肉のこわばり程度で見逃されやすいです。
アルコール依存症、長期の利尿薬使用、消化管からの吸収不良(例:下痢、吸収不良症候群)などで起こりやすくなります。
思い当たる症状がある人だけでなく、不足していない人もお風呂にはエプソムソルトかにがりを入れることをオススメしています。
マグネシウムの過剰摂取は主に酸化マグネシウムや硫酸マグネシウムなどの下剤の過剰投与で起こっています。
特に寝たきりで腎機能の低下した高齢者や透析患者で見られ、便塊がマグネシウム結晶となって腸閉塞を起こしたケースも報告されています。
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Rectal obstruction by a giant pharmacobezoar composed of magnesium oxide(Shigekawa et al.、2010年)
・75歳の女性が長期(45年程度)にわたり便秘治療のため、酸化マグネシウムを継続的に使用。
・CT・MRIで直腸内に直径6 cmの石灰化した大きな塊(薬剤ベゾア)が認められ、直腸閉塞を発症。
・分割S状結腸ストーマ作成後、腸切開により bezoar を摘出した症例です。
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直腸内に酸化マグネシウムの塊となった便塊が詰まってしまったということなので、ある意味、便栓塞です。
糞詰まりがどこで起こるのかで治療が違ってきますが、肛門から出せなければ手術して取り出すしか方法がありません。
だからたかが便秘と侮らず、ちゃんと毎日完全に排泄をすることが大事です。
出口で詰まっている場合は毎日排便があっても出残り便秘があったという証拠。
だから出口の便秘も知ってほしい。
こちらは胃内のマグネシウム結晶の症例です↓
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A Magnesium Oxide Bezoar(Iwamuro et al.、2018年、Intern Med誌)
・75歳の日本人女性が、便秘治療として1,500 mg/日(約1.5 g/日)の酸化マグネシウムを服用。
・嘔気および食欲不振を主訴に受診。CTでは胃内に高吸収性(石灰化)物質が確認され、内視鏡により胃内でベゾアが摘出されました。
赤外線分光およびEDX(エネルギー散乱X線分析)により、その組成が酸化マグネシウムであることが明らかになったケースです。
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胃でも固まるんですね
ちょっとビックリしました。
両症例とも、高齢者で長期に酸化マグネシウムを使用し、腎機能低下の可能性も含まれる背景で、薬剤が消化管内で固まり(pharmacobezoar)腸閉塞を引き起こした稀な事例です。
胃や直腸、あるいは小腸などさまざまな部位で発生し得るため、消化管に石灰化した塊や高吸収性の異常陰影が見られた場合、マグネシウム剤のベゾアも念頭に置くべきとされています。
アントラキノン系下剤のように癖にならず安全だと思われている酸化マグネシウム。
実はこういった怖い一面もあることを知っておいて下さい。
マグネシウムの吸収は皮膚からが安全です。
便がゆるくなったり、血中マグネシウム濃度が上がりすぎたりすることもありません。
安全だと思って酸化マグネシウムを飲み続けている人は注意してくださいね。
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