痔や肛門のトラブルで私の外来を訪れる患者さんの多くが腸に効くサプリや健康食品を摂っておられます。
痔になったのは便通が悪いからだ
と思い込んで一生懸命「腸活」をやっている人が多い。
なのに痔が良くならない。
それどころか余計に悪くなった・・・なんてことも。
そもそもほぼ毎日排便があるのに、どうしてそれ以上、腸に働きかけるんですか
毎日便が出るということは腸はちゃんと動いて便を製造し、出口の肛門まで運んでくれているということ。
そこにさらに腸を動かしてどうする
問題は出口の肛門で起きています。
便秘は出口で起きているのに腸に効くモノを口から摂っても出口の問題は解決しません。
それどころか、軟便、下痢便、頻便(何度も便が出ること)になって、かえって痔を悪化させている人が多いです。
下剤にしろ、サプリにしろ、腸に効くモノを摂り過ぎると軟便、下痢便になったり、何度も便が出て肛門に負担がかかります。
軟便・下痢便が残ると切れ痔(裂肛)が悪化します。
だって傷に便が入り込みやすいから。
炎症を起こした傷は治りにくくなっていきます。
炎症のせいで傷の周りが盛り上がって腫れてくることもしばしば。
肛門の内側に向かって腫れると「肛門ポリープ」と言います。
肛門の外側に向かって腫れたものは「見張りイボ」と言います。
名前は違うけれど、両方、同じもの。
切れ痔(裂肛)の炎症のせいで出来た皮膚(上皮)のかたまり、突起物です。
そして何年も炎症を繰り返すと肛門は硬くなってつっぱるようになります。
ちょっとしたことで切れるから、やわらかい便を出すようにしていると、どんどん肛門が狭くなっていく(肛門狭窄症)。
そうなると肛門を拡げないと切れ痔(裂肛)は治らない。
治療に手間と時間がかかってしまうので、肛門が狭くなる前に受診してほしいです。
このような患者さんにずっと飲んできたサプリをやめてもらうと、便通が整うことが多い。
形のある便、久しぶりに見ました
理想的な便になりました
サプリをやめたらスッキリ出るようになりました
などなど、良かれと思って飲んでいたサプリのせいで便通まで乱れ、痔を悪化させていたとは
何度も言いますが、口から摂るものは肛門には効きません。
これから作られる便には効きますが、既に出来上がって肛門付近まで降りてきている便や、ましてや出し残した出残り便には効かないのです。
便通に良かれと思って、痔が治ると思って飲んだサプリのせいで痔を悪化させている人の多いこと
そんな典型的な患者さんが来られてアンケートを書いて下さったのでご紹介。
遠方から来られた30代女性です。
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ポイントだらけのアンケートなので、最近来られた患者さんのものなのですが採りあげます。
切れるのが怖くて酸化マグネシウムを飲んでやわらかい便を出していました。
これ、切れ痔(裂肛)の人が陥りがちなパターン。
出始めの硬い便は昨日の出残り便です。
便を出し切るようにしなければ、下剤を飲んでも便は残るので、残った便が傷を汚染し、切れ痔(裂肛)の傷はさらに悪化します。
そしてやわらかい便ばかり出していると肛門がどんどん狭くなっていきます。
今までにも何度もお伝えしていますが、酸化マグネシウムは「やわらかい便を作る薬」です。
決して「便を出す薬」ではありません。
これを飲んだからって便が出るようになるワケじゃない。
そもそも酸化マグネシウムを飲まなくても便が毎日出ている人は腸はちゃんと動いています。
さらに動かす必要もないですし、カチカチ・コロコロの便しか出ない人以外は必要の無い薬。
それにね
酸化マグネシウムを飲むと「ねちょっとした柔らかい便」になるので、かえって肛門に残りやすく切れ痔(裂肛)を悪化させます。
酸化マグネシウムのせいで切れ痔(裂肛)を悪化させている人、本当に多いです。
柔らかいのに切れることが多くなってしまい、毎日切れないか不安でした。
肛門が狭くなると、薬を飲んでやわらかい便を出しているのに、肛門が切れるようになります。
切れるからもっと薬を増やさなきゃ
と、どんどん薬を増やしている人も
そうすると下痢便が常態化し、傷が汚染され、肛門はさらに狭くなっていきます。
狭くなると柔らかい便を出しているのに切れるようになります。
そうなると切れ痔(裂肛)は治りません。
肛門を拡げないと治らないのです。
1日何回も排便があるのにすっきりしない、ペーパーで拭いても何回も汚れがついてくる・・・。
これも便が残っている典型的な症状。
スッキリ排泄できていれば紙に便は付きません。
拭いた紙は排泄のバロメーター。
必ずチェックして下さいね。
坐剤を入れても入れても便が出てくる
この患者さんのように長年、肛門に便を溜めて生きてきた人は肛門に便が溜まっているのが当たり前になり、大量に溜め込んでいるケースが多く、1回坐剤を入れただけでは全部出し切れず、何度も浣腸をしてやっと空っぽになった〜ということも
どれだけ溜めてんねん・・・
だからこんなオシリになっちゃったんだけど
病状の長い人、痔を悪化させている人は診察の時、排便に時間がかかることも多いです。
そんな便通だから、こんなオシリになった
という原因と結果の法則。
普通は坐剤を入れても便は出ません。
肛門は便の通り道であって便を溜めておく場所ではないからです。
いつも空っぽ。
そこに便は無いんです。
だから坐剤を入れて便が出る人は全員出口の便秘。
便秘が治ってくると坐剤を使う回数も減ってきて、出てくる残便の量も減ってきます。
そうなるまで頑張って下さい
その便通を治さずに、どんな治療を受けても良くならないです。
だから治療の第一歩は正しい排泄から。
ちゃんと便を出して肛門の中を空っぽにしましょう。
それだけで痔が良くなる人が多いです。
薬で痔が良くなるワケじゃないんです。
便まみれの肛門に薬を入れても効きません。
便の形状はお手本のような便が出て来たので感動しました!
私もこんな便、出せるんだ‼と‼
この患者さんのように便通を良くしようと思って摂取していたサプリのせいで、軟便・下痢便になったり、何度も便が出ている人も多いと思います。
サプリをやめたら形のあるしっかりとした便が出るようになった・・・なんていう笑えない話、実は多いです。
サプリをやめて、すっきり出せる感じがしました。
そして質の良い便はスッキリ出やすい。
間違った便秘治療で肛門を悪くしている人も多いでしょう。
そして食生活も大切です。
どんな便を作るかに関わってくるから。
小麦食べると便が出しづらくなると感じました。
「出しやすい便」というのは明らかに存在して、小麦は「出しにくい便」の代表。
是非とも抜いて欲しい。
きっと体感できるから。
この患者さんは10年以上に渡る慢性の切れ痔(裂肛)で肛門がかなり狭かったです
そして切れ痔(裂肛)が多発。
肛門を拡げないと治りません。
2週間後に来て頂いたときにはほぼ切れ痔(裂肛)は治っていましたが、肛門はまだ狭いまま。
だから肛門マッサージとブジー治療が必要です。
肛門が狭くなければ切れ痔(裂肛)は2週間くらいで完治し、2回目の通院で治療が終了します。
だから肛門が狭くなる前に受診してほしい。
だけど肛門科受診のハードルは高く、ちょっと切れたくらいでは行きませんよね。
よほどオシリがつらくない限りわざわざ肛門科なんて行かない。
だから受診した時にはひどくなってしまっていることが多い
また一般の肛門科を受診しても薬が出るだけで便通を治さないから切れ痔(裂肛)は治らない、治ってもまた切れるを繰り返す。
そうやって通院しているのに悪化させているケースも多いです
ちゃんと通院してるのにね・・・
早く治して通院を終わらせようよと言いたい。
痔が治るということは通院が終わるということ。
痔の原因となった便通を治さなければ完治しません。
だから皆さん、便通を治して下さいね。
本当は痔になる前に来てほしい
教えてあげたい
正しい排泄。
そうすれば痔になる人が減ると思います。
そんな肛門予防医療を普及させたいと思って頑張っています。
肛門科が痔になってから行く所ではなく、痔にならないために行ってみる所になるように。
患者さんのリクエストで復活させた
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