週に1回はオシリの話を書いて
という患者さんのリクエストにお応えして大人気のアンケートを。
2年分溜め込んでいるので古いものからご紹介すべきなのですが、あまりにも衝撃的なエピソードだったので忘れないうちにシェアしたいと思います。
今日ご紹介する患者さんは40代女性。
脱肛と痔瘻で遠方から受診されました。
信じられない前医の言葉が散りばめられていました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めての病院、初めての先生で、不安が大きかったけど、看護師さんや受付、先生、皆、対応が良くて、安心して居ることが出来て良かったです。
この病院にたどり着くまで、発症してから13年程。
病院数は10ヶ所を超えていて、間違った手術や検査等でかなり振り回されました。
しかし、この病院のたった1回の診察で、病名が判明して、とてもスッキリしたし、今までの病院の医師たちはヤブ医者だったのかと思えてなりません。
この病院にたどり着くまでに
「病名判断のためには以前手術した所まで、切り開かないと分からない。切り開いたら、事務仕事に戻れるまで、約2年ほどで、まず1年間は寝たきり、次の1年間でリハビリでしょう。手術する?しないなら他、行って!」
と脅しのようなキツイ口調で言ってきた医師が、「名医」として通用してて、このキツイ医師の所に通わなければいけないのがとても嫌でした。
このキツイ医師は、行く毎に脅し
「手術しないなら手術方法教えない」
「あんたに時間さいたのに手術しないなら来なくていい」
「ここら辺は僕の弟子だらけだから、僕より腕のイイ医者はいない」
「僕の権限で診てあげてもいいけど」
などなど言われ続けていて、新しい病院でも、病名が判明するためには手術しかないのかなと不安だったけれど、手術もせず、触診だけで1回で判明してしまったので、とても感激して、嬉しくて、スッキリしたし、最後まで誰も脅してこなかったので本当に良かったです。
治療方法で説明も、思わず笑ってしまうくらい楽しい説明で、気分がとても良くなり、診察以外でも行きたいと思えるほどの所でした。
笑顔になれる対応をしていただき、ありがとうございました。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
この患者さんは12年前にPPHという術式で脱肛の手術を受けておられました。
この手術方法では痔核を切除せず、奥につり上げて押し込めているだけなので、痔核は無くなりません。
だから痔核が大きくなると、奥に押し込められていた痔核が収まりきれなくなったら脱出するようになります。
手術直後は、中に押し込められていた痔核。
それが12年間の間にどんどん大きくなって成長し、ついに脱出するようになったのでしょう。
これはあらかじめ予想できたこと。
だから当院ではこの術式は選択しません。
やったこともないです。
根本治療じゃないと思ったので。
そもそも痔の原因となった便通を直さずに手術だけ受けても、また痔になります。
この患者さんも12年間ずっと肛門に便を溜めて生きてこられたのでしょう。
そして脱肛だけではなく痔瘻もありました。
その痔瘻が前医ではおそらく4型痔瘻や高位痔瘻と診断されたのでしょうか。
手術がかなり大変なものになるため大げさに説明されたのかもしれませんが、1年間寝たきりというのはあり得ません。
そんな経験1例もないです。
4型痔瘻を当院で手術したこともありましたが、入院は長くて3週間、通院は長くて半年くらいでした。
退院後は当然、仕事に行っておられました。
1ヶ月休んだ患者さんはおられましたが、1年間寝たきりで仕事を休んだ患者さんは一人も経験がないです。
この患者さんの痔瘻は診察したところ、普通のタイプの痔瘻でした。
痔瘻の患者さんは下痢がちの方が多いのですが、診察すると便が残っているケースがほとんど。
下痢便でも残っていたら肛門が化膿しやすいので、坐剤を使って残便を出し切ってもらったところ・・・
なんと2週間後には痔瘻が良くなっていました。
これは実はよくあることで、下痢がちの痔瘻の患者さんにも坐剤を使ってもらっています。
脱肛も痔瘻も手術適応です。
手術しないと痔は無くなりません。
痔の症状がつらければすぐにでも手術をすれば楽になるでしょうが、別に今、困った症状がなければ、焦って手術をする必要はありません。
痔と上手く付き合うことだってできます。
幸い、この患者さんの地域に、まじめに良心的に肛門診療をやっている専門の先生がいたのでご紹介しました。
もしも手術を受けたいならそちらで受けるようオススメして。
それにしても・・・ですよ。
患者さんが名医と呼ばれている医師から言われた言葉に驚きました。
そんなこと、思っていても患者さんに口に出して言う医師がいるのかと
肛門科においては手術によって保険診療点数を稼がなければ売上げが少なくなってしまいます。
手術をする方が儲かる仕組み。
こんなこと言ってた先生がいたなぁ。
病院経営のことを考えたら、手術になりそうな患者さんに力を入れて説明し、手術の申し込みをさせることがゴールだったりする。
手術受けないなら、そんな患者に時間かけても勿体ない
そんな心理が働いたのかもしれません。
先輩医師から「診察にメリハリをつけろ。手術適応の患者に時間をかける。手術じゃない患者は流せ」と言われたこともありました。
そうやって効率よく「稼ぐ」のでしょう。
売上げを考えて高いお金を払ってくれる患者に時間をかけろという原理でしょうか。
私たちはそういう方針をとってきませんでした。
手術を受ける受けないで患者さんを区別したり、差別したり、特別扱いすることは、一切したことがありません。
オシリの治療を通して患者さんを幸せにしたい
それが診療所の理念。
今すぐ、今日、笑顔にできなくても、ちゃんと治療が終わって最後には笑顔でお別れできるように、通院が終われるようにすることが本当の治療だと考えてやってきました。
だから正直、手術件数は少ないし、自由診療だけれど大した売上げではありません。
医療はまじめに良心的にやればやるほど儲からない仕組みになっています。
なぜなら病気が治れば「患者は来なくなる」からです。
つまり腕が良ければ良いほど「患者は減る」。
それが治療のゴールだから。
病気を治すために受診したはず。
病気が治ること=通院がいらなくなること
だと思っているので、早く治して通院を終わらせ卒業できるようにしたい。
患者さんがいつまでもダラダラ通い続けることは恥。
そう思って診療してきました。
今もその気持ちは変わりません。
最近は痔が治ったあと、年に1回のオシリ検診の患者さんが増えてきました。
卒業後、年に1回私に会いに来て下さるのです。
だから診察室は笑顔がいっぱい。
痔が治った患者さんの笑顔があふれる肛門科にしたいと20年以上前からやってきて、今、まさしくそれが実現している。
半数くらいが年に1回のオシリ検診の患者さんになりました。
痔は手術しないと治らないけれど、このアンケートを書いて下さった患者さんが笑顔で去って行かれたので嬉しかったです。
あとは地元の先生に安心してお任せです。
全国にまじめに良心的に肛門診療をやっている先生がいるので、そんな先生と患者さんを繋ぐお役目もあるのかな・・・と思っています。
このブログがもっと認知されるようになったら、「まじめに良心的に肛門診療をやっている肛門科医リスト」みたいなサイトを作って紹介したい。
最近は半数以上が遠方からの患者さんです。
しかもコロナワクチン非接種者がほとんど
きっと反ワク活動で私のことを知ったのでしょうね。
私の本業は肛門科。
そろそろ反ワク活動の第一線から退いて本業に集中したいと思っています。
2021年、コロナワクチン接種が始まった頃は反ワクを声高に叫ぶ人は本当に少なかったけれど、最近は雨後の筍のようにたくさん出てこられているので、何も私が前に出なくても他の方々が頑張って下さる。
お任せしてもいいかな・・・と思い始めました。
またこの話は後日、詳しく書きたいと思いますが、やはり肛門科のお仕事が大好きな私です。
注目されなくても書き続けたい。
患者さんのリクエストで復活させた
化粧品と発酵素するりの記事は
コチラ
便通・腸を整えて美肌を目指す 元皮膚科・現役肛門科の女医が教えるキレイ術
2020年12月25日に出版し、おかげさまで9刷目となり累計発行部数が3万部を超えるベストセラーになりました
オシリを洗っている全ての人に届けたい。
お読み頂けると幸いです。
そして2冊目も出版しました↓
手に取って頂けると幸いです
公式LINEでも情報発信中
敏感肌の私でも
かぶれずに使えて
なおかつ
美容効果を実感できる
自分のために作った
オリジナルコスメはコチラ↓
ドクターズコスメならではの技術がぎっしり詰まってます