私が元皮膚科医という経歴を持つからでしょうか。
肛門の診察のあと、お肌の悩み相談を受けることが以前から多かったです。
最近多いのがシミの相談。
美容クリニックでレーザー治療されている患者さんも多いです。
だけどまたできる。
一旦消えても繰り返しできる
シミに効く化粧品はないですかという相談です。
患者さんたちがいわゆる「シミ」と言っているものには皮膚科的に「肝斑」「雀卵斑」「日光黒子」「炎症後色素沈着」など様々なものがあります。
クッキリと大きなシミはレーザーをオススメしていますが、そばかすタイプで顔全体に散らばっているシミにはトラネキサム酸ローションをオススメしてきました。
トラネキサム酸ローションは漂白剤ではないので「白抜け」もしないですし安心して使えます。
Minori Doctor's Cosmeticsのトラネキサム酸ローションは高濃度にトラネキサム酸を配合しており、こちらは実は「化粧品」ではなく「医薬部外品」なんですよ。
顔全体の「くすみ」や「色素沈着」「そばかす」にはレーザーを当てると大変なのでトラネキサム酸ローションを処方してきました。
結果、効き過ぎた患者さんもおられましたが・・・
一方、ハッキリとしたシミにはスポット使いできるものが欲しいなぁと思っていたところ、受診した患者さん数名から「ハイドロキノンのシミ取りクリームはないんですか?」と聞かれました。
以前、某大手メーカーのハイドロキノンのシミ取りクリームを取り扱っていたのですが、私自身、効果を実感できず、取り扱いをやめたのです
それにハイドロキノンはかぶれも多いし・・・。
皮膚科医だった頃、ハイドロキノンのシミ取りクリームを院内で作って患者さんに処方していたのですが、濃度が薄いと効かないし、濃くするとかぶれる。
だから濃い濃度のクリームには少しだけ炎症を抑えるステロイドを混ぜたりしていました。
シミは薄くなるかもしれないけれど、ステロイドはいやだなぁ・・・と思いながら上からの指示なので作って出していましたが、今は高濃度のハイドロキノンクリームが商品化されていたのです。
私が皮膚科医だったのはもう30年近く前になりますからねぇ
なんと、まつ毛美容液を作ってくれているメーカーさんがハイドロキノンクリームを出していたんです。
きっと中身は安全で品質にもこだわっているに違いない
と思い、サンプルを頂いて1本使い切りました。
全く刺激感もかぶれもなく、シミが確実に薄くなったので、これはスポット使いのシミ取りクリームとして使えると判断し、担当者に資料を頂きました。
ちゃんと使用試験まで皮膚科のクリニックで行われていました。
なんと濃度5%と10%で試験をやっていました。
私が皮膚科で作っていたのは最高が5%で、それで刺激感があったりかぶれる人には2%とか3%の濃度のものにしていましたからビックリです。
どちらの濃度も接触皮膚炎を起こすことなく試験を終えています。
ちなみに以前、診療所で取り扱っていたハイドロキノン化粧品の濃度は3.9%。
薄かったので効果を感じられなかったのかもしれません。
またハイドロキノン化粧品の安定性も大切。
というのもハイドロキノンは容易に自動酸化し着色劣化するからです。
皮膚科で作って処方していた時も、5g単位で出して、短期間で使い切ってもらうようにしていました。
それくらい劣化しやすいということ。
製品にするには安定性がネック。
だから「どんな成分を入れるか」「どれくらいの濃度で入れるか」ということも大切だけど、有効成分が安定して存在し、安全に使えることが重要。
そこはメーカーの技術力。
しかも敏感肌でも使える処方。
これなら患者さんにも安心して出せそうです。
ちなみにハイドロキノンの作用機序として分かっているのは
・チロシナーゼ活性阻害
・メラニン合成関連タンパク質の活性阻害
・メラノサイトDNA合成阻害
があります。
使うのは夜だけ。
化粧水のあと、シミの部分にだけ小指で付けて下さい。
顔全体に塗るのではありませんよ
そんなことしたらクリームがあっという間に無くなっちゃいます
しばらく時間をおいて、クリームが肌に浸透してから、次の乳液などのステップに進んで下さいね
一つだけ注意点があります
毛染め(白髪染め)に含まれているパラフェニレンジアミン(PPD)でかぶれる人はハイドロキノンにもかぶれる可能性があります。
構造式が似ているのです。
似たような構造式を持った物質と交叉反応を起こすことが知られています。
PPDと似たような構造式を持ったものには他に次のようなものがあります。
・PAP(パラアミノフェノール)
・PTD(パラトルエンジアミン)
・パラベン(パラオキシ安息香酸)
・PABA(パラアミノ安息香酸)
・ベンゾカイン(局所麻酔剤)
・プロカイン(局所麻酔剤)
・アゾ色素
・化粧品色素赤色225号
PABAはUVBをカットする強力な紫外線吸収剤として日焼け止めに入っています。
診療所で扱っている日焼け止めはノンケミカルなので入っていません。ご安心を。
というわけでハイドロキノンのシミ取りクリーム、取り扱いを始めましたので欲しい方は受付窓口または診察室で
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犬も紫外線は良くないようで
散歩の時には服を着せています
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