年に数回、予約外で糞詰まり(便栓塞)の患者さんが緊急受診することがあります。
もう切羽詰まって大変なことになっているので、外来が混んでいても、可能な限り診察するようにしてきました。
多くの患者さんが私の外来を受診される前に別のクリニックや、場合によっては救急外来を受診されています。
そこで便を出してもらえず、困り果てて電話をして来られるのです。
糞詰まりのことは以前記事にも書いていますが、便は急に詰まりません。
日頃の残便が蓄積した結果です。
毎日排便があったのに糞詰まり(便栓塞)になってしまった患者さんもたくさん診てきました。
うすうす詰まっていることに気づいている患者さんも多く、出口で詰まっている便を自分で何とか出そうと頑張って、指を突っ込んでかき出している人もおられます。
自己摘便は肛門を傷付けることが多いです。
それだけでなく直腸まで傷付けて大量出血された患者さんがおられたので、とても危険な行為。
自分でなんとかしようとせず医療機関を受診しましょう。
その際は肛門を専門にしている先生を探して受診して下さい。
糞詰まりの患者さんを摘便せずに帰すことはしないです。
先日来られた患者さん。
糞詰まりになって自己摘便するも改善せず、便は詰まっているのに肛門から軟便が漏れる状態に・・・。
痛みのあまり座ることもできず、気分まで悪くなって脂汗が出てきたため肛門科を掲げているクリニックを受診。
糞詰まりだから摘便してもらえると思っていたら、「摘便はできない、下剤を出しておくから飲んで出して下さい」と先生に言われ唖然・・・。
「違うんです。便が出口で詰まってるんです。摘便お願いします」
と懇願するも
「下剤飲んだら明日出るでしょうから出しておいて」
と。
「違うんです便が詰まっているのはお腹じゃなくて出口の肛門なんです
だから摘便して欲しいんですけど・・・
。下剤はお腹に効くものであって肛門には効きませんよね
」
と先生に説明するも全く分かってもらえず、出された下剤を飲んで、その足で私の外来に来られました。
診察すると粘土状の塊のような便が肛門に挟まっています。
そしてその塊の隙間から軟便が少量漏れ出ている状態。
「便が詰まっている」のに「便が漏れる」という真逆の状態が起こるのはよくあること。
出し残した便は時間が経つと水分が直腸から吸収されてどんどん固まっていきます。
出口が詰まっていても、奥の腸からはどんどん新しい便が運ばれてきます。
新しい便は柔らかいので、古くなって固まった便塊をすり抜けて出てくるので、見かけ上、毎日少しだけは便が出ていたりする。
この患者さんも少量の軟便は毎日出ていました。
だけど出し残した便はどんどん固くなり、奥から新しい便が次々と押し寄せてくる。
奥に溜まった新しい便も翌日になると固くなる。
そうやって雪だるま式に出口の便塊が大きくなっていく。
便塊が肛門を圧迫するので気持ち悪さに加え、うっ血して腫れたような感覚や、ひどくなると痛みも出てきます。
この患者さんは痛みのせいで座るのも辛そうな状態でした。
直腸診で肛門に便が挟まっているのみならず、直腸に大量の便が溜まっているのを確認。
これは自力では出せないので摘便開始
一気に大量に出すと痛みを伴うだけでなく、血圧が急に下がって心停止を起こすことがあるため、少しずつ便を出していきます。
摘便の途中で患者さんが「あー、楽になってきました・・・」と安堵。
ひとしきり摘便した後に坐薬を入れて排便。
摘便で出した便を患者さんにも見てもらいました
膿盆山盛りの便です
あー・・・
こんなに溜まってたら辛いよね
いやいや
これだけちゃうし
まだあるし
坐薬を入れていざトイレへ
出して来てもらってからもう一度診察
まだあるやん
次は浣腸をしました。
また出ました
ちゃんと出ているかどうかもう一度診察
次は全部出し切れて空っぽになっていました。
あ〜良かった・・・
楽になったと喜んで帰って行かれました。
でも・・・お昼に飲んでしまった下剤が心配
6〜8時間後くらいに効いてくるでしょうから、夜にお腹が痛くなるかも
問題は出口で起こっているのに、腸に作用する下剤を飲んでも糞詰まりは解消されません。
便が詰まっているのは腸ではなく肛門だったのです。
糞詰まり(便栓塞)は肛門領域ではメジャーな疾患で緊急性を要するもの。
摘便をせずに下剤を処方して患者さんを帰すなんてことはあり得ません。
下手をすると命に関わることもあるからです。
だから糞詰まり(便栓塞)は肛門を専門にしている医師に診てもらって下さいね。
結局、色々なクリニックをハシゴすることになるので、最初から専門の先生にかかる方が早いです。
肛門科と看板に書いてあっても専門とは限りません。
肛門を専門にしている医師は非常に少ないので、看板や資格に惑わされず、医師の経歴を調べて受診して下さい。
専門の先生の探し方はコチラの記事を参考にして下さい。
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