溜まりに溜まっている患者さんが書いて下さったアンケートを今日もご紹介。
今日ご紹介する患者さんは40代女性。
肛門のかゆみに悩んで受診されました。
今日のブログは肛門の症例写真が出てきますので閲覧注意です。
見たくない方は読まないで下さい
悩ましい肛門のかゆみ。
皮膚科や婦人科を受診されている女性も多いですし、何軒もあちこちの肛門科を受診してから最後に来られる患者さんが多いのも、この疾患「肛門そう痒症」。
私が元皮膚科医という異色の経歴を持つ肛門科医だからということもあって、昔から肛門そうよう症の患者さんは多かったです。
他院で「かゆみの原因は痔」と言われて、手術を受けたけれど、かゆみは全く変わらない、ちっとも治まらない・・・
と困り果てて受診された患者さんも大勢診てきました。
痔でかゆみが引き起こされるケースは確かにあります。
例えば立派な脱肛(いぼ痔)で、脱出した内痔核の部分から粘液が出るため、肛門周囲がベタベタになり、かぶれて赤くなったりかゆくなったりするケースです。
中に入っていなければならない内痔核の部分が飛び出して戻らなくなっている状態。
患者さんも「汁でベタベタしてかゆい」とおっしゃっていましたが、この場合、脱肛を治療しなければずっと粘液が出てきてかぶれます。
このような症例は、かゆみの原因は痔ですから手術治療となりました。
ところが・・・
このアンケートを書いて下さった患者さんだけでなく多くの患者さんには、このような立派な脱肛はありません。
「内痔核が中にある。それがかゆみの原因だ」と言われているのですが、飛び出してこない小さな内痔核に、患者さん本人も存在に気付いていないことがほとんど。
え
肛門がかゆくて受診したのに内痔核
中にあるもののせいで
肛門の外側がかゆいって
どういうこと
と疑問を持つ人も多いです。
無症状・無自覚の小さな内痔核に対してジオン注射や手術をされた患者さんも大勢来られていますが、皆さん、かゆみは全く変わらなかったと言われています。(だからうちの診療所に来られたんですけど・・・)
私の診療経験上、脱出症状の無い小さな内痔核が肛門のかゆみの原因だったことは1例もありません。
皆無です。
むしろ何も痔がない人が多いですね。
こんな風に飛び出している痔は何もなくて、肛門周囲が白くなっているケースが多い。
でもね
いくらステロイドを塗って皮膚の治療をしても、かゆみの原因を治さなければ何度でも痒みは繰り返されます。
かゆみの原因は肛門の中の便なので、ちゃんと排泄して肛門の中を空っぽにしてもらいます。
だから治療に坐薬は必須。
正しい排泄なくして痒みの治療なし
なので、患者さんには毎日頑張って坐薬を使ってもらわなければなりません。
そこを頑張れるかどうかは患者さん次第。
多くの患者さんが方々回って困り果てて受診されるので、治るならば・・・と頑張られます。
そして数日で痒みがウソのように無くなるので、頑張ろうというモチベーションにもつながります。
治療は患者さんの生活の中にあるので、私はただただ一生懸命説明して理解してもらい、患者さんに行動を起こさせる手助けをすることしかできません。
だって私が代わりに患者さんの便を出してあげることはできませんから
自分で出すしか方法がないんですよねぇ・・・
だから治ったときに患者さんが「先生のおかげです。ありがとうございました」と言われても「いえいえ、私のおかげじゃなくて、あなたが頑張ったからですよ。治療したのはあなただから。」と答えています。
いやホンマにそうだから。
私は治し方を教えてアドバイスしてるだけですからね。
頑張って下さった患者さんに感謝ですよ
かゆみの治療と称して手術を勧める医師がいるようですが、安易に手術を受けないで下さいね。
後悔している患者さんをたくさん診ていますから。
かゆみの原因は何なのか
痔によってかゆみが引き起こされているのか
手術によってかゆみは無くなるのか
よく確かめてくださいね。
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