アストラゼネカ製ワクチン接種後の血小板減少症を伴う血栓症 | みのり先生の診察室

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日本でも始まったアストラゼネカ製ワクチン接種。

 

ヨーロッパで接種後に血栓が出来ることが判明し、一時期、接種中止にした国もありましたね。

 

日本ではどうなんだろう?と思っていたら、日本脳卒中学会と日本血栓止血学会が「アストラゼネカ社 COVID-19 ワクチン接種後の 血小板減少症を伴う血栓症の診断と治療の手引き」を出していました。

 

コチラです↓

 

アストラゼネカ社 COVID-19 ワクチン接種後の 血小板減少症を伴う血栓症の診断と治療の手引き・第 2 版 2021年6月

 

 

ちょっと専門的な内容なので、一般の方に分かりやすいよう抜粋してシェアしたいと思います。

 

興味のある方は是非、引用元をご覧下さいね。

 

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全世界で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するワクチン接種が進む中、副反応として 血小板減少を伴う血栓症が問題となっている。

 

2021 年 3 月以降、アストラゼネカ社アデノウイルスベ クターワクチン(バキスゼブリアR)接種後に、異常な血栓性イベントおよび血小板減少症をきたすことが報道され、4 月 7 日に欧州医薬品庁(EMA)は「非常にまれな副反応」として記載すべき病態と結 論づけている。


血小板減少症を伴う血栓症(Thrombosis with Thrombocytopenia Syndrome: TTS)


TTS の特徴は

 

1) ワクチン接種後 4-28 日に発症する、

 

2) 血栓症(脳静脈血栓症、内臓静脈血栓症など通常とは異なる部位に生じる)、

 

3) 血小板減少(中等度〜重度)、

 

4) 凝固線溶系マーカ ー異常(D-ダイマー著増など)、

 

5) 抗血小板第 4 因子抗体(ELISA 法)が陽性となる、

 

が挙げられ る。

 

TTS の頻度は 1 万人から 10 万人に 1 人以下と極めて低い。

 

EMA はバキスゼブリアR接種を受けた 2,500 万人のうち、86 人に血栓が見つかり、18 人が死亡したと報告している。

 

しかし、これまでに報告された TTS の症例は、出血や著明な脳浮腫を伴う重症脳静脈血栓症が多く、致死率も高い。

 

また、脳静脈血栓症以外の血栓症も報告されている。

 

極めて稀な副反応であるが、臨床医は TTS による血栓症を熟知しておく必要がある。


ワクチン接種後の TTS による血栓症の発症部位として静脈系、動脈系ともに報告がある。

 

これまで特徴的とされてきたことは重症の脳静脈血栓症が多く、通常の脳静脈血栓症に比較して出血(出血性梗塞や脳出血など)を伴う頻度が高いことである。

 

また、脳静脈血栓症と診断した場合でも、脳以外の複数部位に血栓症を合併している可能性を考慮する必要がある。

 

これまでに、内臓静脈血栓症 (門脈系血栓(症))、肺血栓塞栓症、下肢静脈血栓症、脳梗塞(動脈系)、急性冠症候群、右室内 血栓、下大静脈内血栓、脊髄周囲の静脈、大動脈内血栓などが報告されている


ワクチン接種後 4-28 日(ワクチン接種日を 0 日)に、新たに発症した血栓症に関連した以下の症状がある。ヘパリン使用の既往は問わない。

 

a. 脳卒中を疑う症状(片側顔面麻痺、片側運動麻痺、言語障害、共同偏倚、半側空間無視など)

 

b. 脳静脈血栓症を疑う症状(重度で持続する頭痛、視覚異常、痙攣発作またはそれに近い状態、悪心嘔吐など)

 

c. 内臓静脈血栓症を疑う症状(重度で持続する腹痛、悪心嘔吐など)

d. 深部静脈血栓症や肺血栓塞栓症を疑う症状(下肢痛または腫脹、胸痛や息切れなど)

 

e. 出血性梗塞、点状出血、皮下出血など出血傾向を伴う場合もある。

 

* 臨床所見でTTSを疑った場合、すべてのヘパリン類、ヘパリンコーティングカテーテル(圧ライン やヘパリンロックも)を避ける。


診断手順

 

a. ワクチン接種後に血小板数低下と血栓症を認めれば TTS の可能性を考える。

 

D-ダイマーが著増(基 準値上限の 4 倍以上)していれば TTS の可能性は高いが、D-ダイマーが軽度上昇(基準値上限の 1- 2 倍程度)の TTS 症例も報告されているため、D-ダイマー著増は診断に必須ではない。

 

TTS を疑えば、抗血小板第 4 因子抗体(ELISA)の結果を待たずに TTS として治療(後述)を開始することを 推奨する。

 

b. 画像検査で血栓症を認めない、あるいは血小板数の低下がない場合は、TTSは否定的であるが偽陰性の可能性も否定できない。

 

また、初診時に血小板減少を認めないが経時的に TTS に進行する場合もあるため、上記検査を適宜再検し、推移をみることを推奨する。

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頻度は低いとは言え知っておいて損はなさそうです。

 

アストラゼネカ製ワクチン接種後1ヶ月以内は注意して、何か症状があったらすぐに医療機関に相談してくださいね。

 

通常とは異なる部位に血栓が出来る。

 

動脈じゃなくて静脈に出来る。

 

血栓が出来るのに血小板は減少している。

 

 

ワクチン接種後に

 

・脳卒中を疑うようなマヒ症状

 

・頭痛

 

・視覚異常

 

・けいれん発作

 

・吐き気、嘔吐

 

・下肢の痛み・むくみ

 

・胸の痛みや息切れ

 

・皮下出血

 

などの症状があれば直ちに受診しましょう。

 

 

接種後1ヶ月は十分注意してくださいね。

 

 

 

 

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