今日ご紹介する患者さんは20代女性。
治らない切れ痔に悩み遠方から受診されました。
患者さんが書いて下さったアンケートをお読み下さい。
うちの診療所は自由診療。
保険が効きません。
だからまずは保険の効く肛門科を受診してみて、治らなかったら受診を検討するという人も多いでしょう。
実際、あちこちの肛門科(を掲げる施設)を回ってから最後に受診される患者さんが多いです。
その中で多い疾患が、通院しているのに「治らない切れ痔」「繰り返す切れ痔」です。
この患者さんのように長年通院せずに、治らなかったらすぐに受診されるケースは少ないです。
多くの方が何年もずーっと通院されています。
2週間に1回の通院を5年続けているケースも少なくありません。
その度にマグミットなどの酸化マグネシウムと強力ポステリザン軟膏やボラザG軟膏などの注入軟膏を大量にもらって、何年もずーっと使用されています。
だけど切れ痔は治らない。
一旦、痛みや出血などの症状がおさまるけれど、また繰り返す。
酸化マグネシウムを飲んでいるから軟便なのに、出始めだけが硬い。
その出始めの便が出るときに痛い、出血する
「ずっと通院しているのに治らない。治すために通院しているのに、いつまでたっても通院が終わらない。一生この通院が続くのだろうか・・・」
と悩んで来られる患者さんも多いです。
そのような患者さんに共通しているのは「便通を治さずに薬だけ使っている」ということ。
酸化マグネシウムを飲んで、便通が治っている気になっておられるので「ちゃんと便通を治しているのに切れ痔が治らないんです」と言われます。
いえいえ。
違いますよ
便通を治していないから切れ痔が治らないんです。
皆さんが考えている「便通」と私が考える「便通」が違う。
皆さんが考えている便通は「お腹(腸)」のこと。
私が考えている便通は「出口(肛門)」のこと。
いくら酸化マグネシウムを飲んで軟らかい便を作っても、スッキリ出し切れずに出口に残っていれば便秘です。
出残り便は切れ痔の傷を汚染し、切れ痔を悪化させます。
見張りイボが出来ているのは、他でもない残便がある証拠。
だから見張りイボが出来ている切れ痔の患者さんは出残り便秘があると言えて、実際、診察するとほぼ100%の患者さんで残便が確認出来ます。
肛門の中が便まみれ、傷も便まみれという状態
これじゃあどんなに通院しても切れ痔は治らないよね・・・。
だって便まみれの肛門に注入軟膏を一生懸命入れているんだもの
どうせ薬を使うならキレイに便を出し切ってから使えばいいのに・・・。
それにね
便をちゃんと出し切って肛門の中を空っぽにしたら、注入軟膏を使わなくても切れ痔は治ります。
私はよほど痛みや炎症が強くない限り、注入軟膏を出しません。
ほとんどの患者さんがワセリンとミツロウで作った手作り軟膏「Sザルベ」で治ってしまいます。
出残り便秘に使っている坐薬ですが、最初はうまく挿入できなかったり、傷があると挿入するときに痛いのでつらいかもしれません。
でもそこを乗り越えてください。
便を出さなければ切れ痔は治らないので、ここは頑張るしかありません。
くじけそうになったらお電話で相談して下さいね!
何回かけてもらっても構いません。
ささいなことでも、「こんなことで電話していいのかな」と思うようなことでも構いません。
次の受診日まで困ったこと、分からないこと、心配なことがあればお電話くださいね
この患者さんに限らず、多くの患者さんが2週間後の2回目の通院で完治して終了することが多いです。
だから2週間、頑張って使ってみてくださいね。
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