肛門科に通院しているのに肛門の診察を受けていない患者さん?! | みのり先生の診察室

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5万人以上の「オシリ」を診察してきた
肛門科専門医の女医がつづる
お尻で悩める人へのメッセージ

私の外来には、あちこちの肛門科(を掲げている施設)に通院している患者さんが、セカンドオピニオンで来られることが多いのですが、そこで衝撃的な事実が発覚。

 

なんと

 

肛門科(を掲げている施設)を受診してるはずなのに、肛門の診察を受けておられないんですゲッソリ

 

 

最近多いケースが繰り返す切れ痔治らない切れ痔で通院しているパターン。

 

 

肛門の診察をしてもらったのは初めて受診したときだけで、それ以降は切れる度に薬だけもらって帰るという「お薬通院」。

 

 

痔が治って薬だけ取りに行っているのであればいいのですが、治らないから、切れているから受診しているはずなのに、診察室に入って話だけして「それじゃあまた前と同じ薬出しておきますんで」と1分くらいで診察終了。

 

 

結局、何年もずーっと通院しているけれど治らない汗

 

治ってはまた切れるの繰り返し。

 

 

先日来られた患者さんは数年間ずっと肛門科に通っておられましたが、肛門の診察は初回のみで、そのあとはほとんど話だけで薬をもらうために受診されていました。

 

 

ずっと通院しているのに治らない。

 

それどころか薬の量がどんどん増えていき、軟便にして出しているはずなのに切れる、痛い・・・。

 

そのうち少しでも形のある便が出ると激痛で、鉛筆の太さくらいの便しか出せなくなってきました。

 

肛門が狭くなっている気がする・・・

 

そう先生に伝えたところ久しぶりに肛門の診察をしてもらいました。

 

そうしたら・・・

 

「肛門が狭くなっているので手術したほうがいい」

 

ガーン

 

 

?

治すために、ずっとまじめに通院してきたのに、手術!?

 

 

と頭の中が真っ白にガーン

 

 

ただ悪化していくのをずっと放置していたのか?

 

 

と不信感を抱き、他の肛門科を数軒受診するも診断は同じ。

 

 

「肛門狭窄で手術が必要です」と。

 

 

さんざん通った挙げ句、この結末はないやろ・・笑い泣き

 

 

と私の外来に来られました。

 

 

診察の時に必ず肛門の写真を撮るのですが、指を入れなくても狭いと分かる外観です汗

 

 

そして直腸指診をしようとしても、私の指が入らないあせる

 

これはかなり狭いあせる

 

私の人差し指は男性医師の小指と同じくらいの太さなので、普通は楽々入ります。

 

切れ痔がなければ基本的に無痛です。

 

だから私の指が入らないということは大問題。

 

かなり狭いということ。

 

 

これじゃあ便を出せないよね汗

 

今まで受診した肛門科で手術と言われたのも分かる。

 

 

でも、麻酔のジェルを塗って、少しずつ指を入れて行くと肛門が拡がってくるんです。

 

そして肛門鏡も入りました。

 

患者さんは痛そうにしていますが、これに耐えられるのであれば手術せずにブジー治療に持ち込めます。

 

ブジー治療に耐えられない場合は手術となりますが、うちの患者さんたちは全員がブジー治療を選択されました。

 

そして見事に手術なしで元通りの広さの肛門を手に入られています。

 

 

 

この患者さんもブジー治療を選択されましたが、今まで何年も肛門科に通院されていたのに勿体ない結果だなぁと思いました。

 

肛門科は肛門を診る所です。

 

お話だけして終わり・・・ではありません。

 

どんなに調子が良くても、自分では治ったと思っても、必ず肛門の診察を受けて下さい。

 

先生が診ようとしないのであれば、患者さんの方から診察をしてもらいたいと言って下さい。

 

治ったと思っていても治っていなかったり、患者さんの言う「調子がいい」が錯覚であることもしばしばあります。

 

 

せめて1〜2ヶ月に1回でも診察をしていれば、肛門が狭くなっていっているのも気づけたでしょうし、狭くならないよう対処も出来たはず。

 

切れ痔で肛門狭窄を来すケースでありがちなのが、酸化マグネシウム(マグミットやマグラックス)を飲んで軟らかい便にして、出す時の痛みを少しでも回避しようとすること。

 

軟らかい便の方が痛くないし出す時にラクだから薬に流れがちなのですが、そこでラクを取るとあとで痛いしっぺ返しがあります。

 

軟らかい便ばっかり出していると肛門はどんどん狭くなっていきます。

 

また酸化マグネシウムが効いた便というのは「ねちょっとしていてキレが悪い便」になるため、かえって肛門に残りやすく、残った便は傷を汚染し、切れ痔の炎症が進みます。

 

つまり逆効果になってしまう場合があるのです。

 

酸化マグネシウムのせいで切れ痔を悪化させている人を山ほど診てるので、ここは声を大にして言いたい。

 

酸化マグネシウムは本当に必要ですか?

 

問題は出口で起こっているのに、腸に効く下剤を飲んでも出口の問題は解決しませんよ。

 

酸化マグネシウムは「軟らかい便を作る」薬です。

 

決して「便をスッキリ出す」薬ではありません。

 

だからいくら口から薬を飲んでも出口の便はスッキリ出なかったはず。

 

 

痛いからと「軟便作り」に励むことは易きに流れること。

 

どんな便を出すかも大切ですが、切れ痔の治療で大切なことは下りてきた便をスッキリ出しきること。

 

これをしなければ切れ痔は治りません。

 

一旦治ってもまた切れます。

 

治らない切れ痔、治っては切れるの繰り返す切れ痔の背景には必ずと言っていいほど「出残り便秘」があります。

 

 

だから切れ痔の根本治療は出残り便秘を直すこと。

 

切れ痔で長年通院している人は今一度、出口の排泄に目を向けてみて下さい。

 

そして必ず肛門の診察は受けて下さいね。

 

 

薬だけ出して終わり・・・じゃダメなんです。

 

肛門科なんだもの。

ちゃんと肛門を診てもらって下さいね。

 

 

肛門を診ない肛門科なんて、専門の先生では考えられないと思いますよ。

 

 

受診するときには医師の専門もちゃんと調べて受診して下さいね。

 

 

コチラの記事を参考に探してみて下さい。

 

あなたの近くにもきっといるはずです。

 

真面目に良心的に肛門診療をやっている先生が。

 

日本の肛門科の歴史と現状〜専門の医師を見分ける〜

 

診療所のセラピードッグ「ラブ」あしあと

最近は診察室に居ますしっぽフリフリ

是非声をかけてくださいねわんわん

 

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