温水便座が院内で多剤耐性菌を拡散か | みのり先生の診察室

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今日は温水便座に関するメディカルトリビューンの記事をご紹介。

 

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温水便座が院内で多剤耐性菌を拡散か
欧州臨床微生物学会議
 2021年07月15日 05:05

 もはや日本人の生活様式に不可欠ともいえる温水洗浄便座(以下、温水便座)。

 

多くの医療機関でも導入されているが、温水便座を介して多剤耐性緑膿菌(MDRP)を伝播させるリスクがあると、東京医科大学病院感染制御部・感染症科准教授の中村造氏が第31回欧州臨床微生物学会議(ECCMID 2021、ウェブ開催7月9~12日)で報告。

 

ECCMIDはリリースを発表し、英国のTimes、Daily Mailなどでも報じられた。(関連記事「忘れてませんか?間仕切りカーテン感染対策」)

ノズルを介して院内拡大する可能性

 中村氏らは、2020年9月~21年1月に同院病棟トイレに設置した温水便座のノズルから検体を採取した。

 

このトイレを使用していたのは、重症敗血症2例を含むMDRP感染患者3例。

 

DNAフィンガープリント法を用いてノズルから採取した検体と3例から検出されたMDRP株が同一株かどうかを調べた。

 MDRPはイミペネム、メロペネム、アミカシン、シプロフロキサシンなど、少なくとも2種類の抗菌薬に耐性を示す株と定義した。

 解析の結果、患者検体と温水便座ノズルの検体で株が一致し、全ての検体で緑膿菌ST235クローンが優勢であった。

 

そのため、温水便座の使用を介して菌の移行が生じた可能性が示唆された。

 同氏は「今回の発表は、温水便座使用と院内感染の関連性について検討した初の報告であり、今後の感染制御策に大きな影響を及ぼすと考えられる」と述べた。

「この知見はMDRPが患者コミュニティー内で伝播される可能性を示しており、汚染された温水便座のノズルを介して院内に拡大する懸念がある」と同氏は指摘している。

 

その一方で、手指衛生や清掃・環境整備といった感染症対策が十分に行われていれば、患者の免疫系が低下した場合も感染拡大を抑制できるとしている。

 ただし今回の結果は、単一の医療機関病棟における小規模研究に基づくものであり、遺伝子解析では患者からノズルへの感染移動なのか、その逆なのかは見分けられないなどの限界もあると付言した。

(田上玲子)

 

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実はこの記事、先にYahoo! Newsで配信されていたようで、尾藤克之氏に教えて頂いて知りました。

 

Yahoo! Newsはコチラ↓

 

温水便座が院内で多剤耐性菌を拡散か

翌日に医師サイトに掲載されました。
 
 
温水洗浄便座が感染症の原因にならないのか?
 
ということについては以前から肛門科では話題になっていました。
 
肛門科で話題になってもメディアで採り上げられないため、一般の方に知れ渡ることにはなりませんでしたが、実はこのブログでも以前記事を書いています。

 

 

 

今から10年以上前の話になるのですが、肛門科の病棟で尖圭コンジローマが集団発生したことがありました。

 

肛門科の病棟ですから、入院しているのは痔で手術を受けた患者さんです。

 

術後の患者さんたちは手術の傷を清潔にしようと、病棟のトイレの温水洗浄便座を使っていました。

 

ある日、病棟回診をしている先生が数名の患者さんに尖圭コンジローマの皮疹が出現していることに気付きました。

 

当時「尖圭コンジローマ=アナルセックス」という定説が主流だったので目を疑ったそうです。

 

まさか・・・

手術後の肛門で性行為はあり得ない・・・

 

ちょうど私が学会で性行為を介さない尖圭コンジローマについて発表したところだったので、電話で相談がありました。

 

感染がどんどん拡大している

どうすればいいか?

 

と相談を受けたので、ただちに温水洗浄便座の使用を禁止し、イソジンの軟膏を塗って経過観察するようアドバイスしました。

 

皮疹の程度が軽ければ洗うのをやめて、軟膏を塗るだけで自然消退するので、いきなり治療する必要はありません。

 

手術の傷があるのに、そこにベセルナクリームを塗るわけにもいきませんからあせる

 

幸い、洗うのをやめただけで尖圭コンジローマは自然に治ってくれて事なきを得たのですが、病棟のトイレは危険だという認識が広まりました。

 

昨年末に出版した私の本

33ページでも触れています。

 

ノズルを介して感染するということも可能性はあるでしょうが、問題はそれだけではありません。

 

ノズルの格納される部分や、ノズル内に溜まっている温水は細菌が繁殖する温床になり得ます。

 

ノズルを清掃することはできますが、ノズルの内部を洗浄することは出来ませんからねぇ・・・あせる

 

そもそもオシリを洗っている人は出残り便があることが多いため、温水洗浄すると刺激で残った便が出て落下しノズルの先端に付くことがあります。

 

実際、残便を出そうとして温水で刺激して排便している患者さんも大勢おられました。

 

そのようにして洗浄した後は、便が便器内に飛び散っています。(外来のトイレで確認済み)

 

そもそも大事な場所を洗う機器。

 

他人と共用するのは気持ち悪いニヤニヤ

 

とおっしゃる患者さんが時々おられるのですが、その感覚は正しいと思います。

 

 

温水洗浄便座の危険性については肛門科のみならず、産婦人科や泌尿器科でも指摘されており、様々な弊害が報告されています。

 

後日、ビデの恐怖についても記事にしたいと思います。

 

 

そもそもね

 

スッキリ排泄出来ていれば

洗う必要なし

 

なんですよ。

 

紙に便も付きません。

 

洗わないといけないような排便が間違っているので、排便を見直しましょうねウインク

 

診療所のセラピードッグ「ラブ」あしあと

口を開けて寝ていますトイプードル

写真を撮ろうとしたら

目を開けましたわんわん

 

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化粧品と発酵素するりの記事は

コチラ下差し

 

便通・腸を整えて美肌を目指す 元皮膚科・現役肛門科の女医が教えるキレイ術

 

2020年12月25日に本を出しました!

 

是非、本屋さんで買ってくださいドキドキ